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一章 初めての事故物件
一章 初めての事故物件 その8
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「ひぅっ」
央都也は驚きすぎて固まった。心臓が飛び出すかと思った。それから目を反らせずに後退って距離を取ると、玄関にいる雄誠に飛びついた。
「兄さん、誰かいるっ!」
「出たか」
雄誠は央都也を張り付けたまま玄関を上がり、フローリングの部屋が見える位置まで数歩歩いた。
「ああ、よかった」
近くで雄誠の安堵の声が聞こえて、央都也は顔を上げた。
「よかったって、なにが?」
「質の悪い霊ではないようだ。安心した。じゃあ俺は帰る」
「えっ、いやいや、帰らないでよ! あれって幽霊なの? もうちょっと説明してよ!」
央都也は兄を必死に引き留めた。
(さっきまで部屋にはなにもなかったのに!)
よく見ると、突然現れた男の姿は透けていた。
恐怖と混乱に陥っていた央都也は、雄誠に「無害な幽霊だから、この部屋で暮らしても問題ない」と何度も言われて、なんとか落ち着いてきた。
「無害と言われても……」
人嫌いの央都也にとって、人である限り幽霊でも近くにいるのはストレスになる。
しかし、さっきから幽霊は動かないし、マネキンだと思い込めば乗り越えられる気がしてきた。
すると今度は、雄誠の話を視聴者に聞かせたら盛り上がるだろうという下心がムクムクと湧いてくる。
二人はフレーム外で話し合い、雄誠は帽子、メガネ、マスクを着用することを条件に、霊に関わる説明をカメラの前ですることを承諾した。
「ごめんね、長らくお待たせしました。ということで、ぼくの兄です」
央都也は慣れた作り笑顔をカメラに向けた。
「はじめまして」
雄誠が頭を下げた。学生時代は剣道をしていたせいか、背筋が伸びて武士を彷彿とさせる。
《目しか見えない! でも私にはわかる! イケメンに違いない!》
《細マッチョ系だね》
《身長高そう》
「ぼくより十一センチ高いよ」
《じゃあ百八十七センチだ》
《デカすぎ!》
央都也の予想通り、チャットは大盛り上がりだ。
雄誠にもチャットのコメントが読みやすいように、パソコンを起動して動画を流し、その正面で二人並んでベッドの上に座った。そして二人の後ろには、姿が透けた男性の幽霊も映る配置にしている。
(なんという、ベストアングル)
こんな突発的なイベントでも角度を意識する、ユーチューバーの鏡だと央都也は自画自賛した。
(まさか、本当に幽霊がいるなんて)
旅館の落武者も、見間違いではなかったのか。
(実際に見えるんだから。信じるしかないよね)
背後にいる幽霊をパソコン画面越しに見る。こんなにしっかりと画面に映るなんて。映像をテレビ局に売れるんじゃないだろうか。
《マジで幽霊が映ってるのかよ》
《サクラじゃねえだろうな?》
《嘘ついても仕方がないでしょ》
《透けた男の人が、ペケくんたちの後ろに立ってるよ》
「見えない人もいるの?」
どうやら、すべての視聴者に霊が見えるわけではないらしい。
央都也は驚きすぎて固まった。心臓が飛び出すかと思った。それから目を反らせずに後退って距離を取ると、玄関にいる雄誠に飛びついた。
「兄さん、誰かいるっ!」
「出たか」
雄誠は央都也を張り付けたまま玄関を上がり、フローリングの部屋が見える位置まで数歩歩いた。
「ああ、よかった」
近くで雄誠の安堵の声が聞こえて、央都也は顔を上げた。
「よかったって、なにが?」
「質の悪い霊ではないようだ。安心した。じゃあ俺は帰る」
「えっ、いやいや、帰らないでよ! あれって幽霊なの? もうちょっと説明してよ!」
央都也は兄を必死に引き留めた。
(さっきまで部屋にはなにもなかったのに!)
よく見ると、突然現れた男の姿は透けていた。
恐怖と混乱に陥っていた央都也は、雄誠に「無害な幽霊だから、この部屋で暮らしても問題ない」と何度も言われて、なんとか落ち着いてきた。
「無害と言われても……」
人嫌いの央都也にとって、人である限り幽霊でも近くにいるのはストレスになる。
しかし、さっきから幽霊は動かないし、マネキンだと思い込めば乗り越えられる気がしてきた。
すると今度は、雄誠の話を視聴者に聞かせたら盛り上がるだろうという下心がムクムクと湧いてくる。
二人はフレーム外で話し合い、雄誠は帽子、メガネ、マスクを着用することを条件に、霊に関わる説明をカメラの前ですることを承諾した。
「ごめんね、長らくお待たせしました。ということで、ぼくの兄です」
央都也は慣れた作り笑顔をカメラに向けた。
「はじめまして」
雄誠が頭を下げた。学生時代は剣道をしていたせいか、背筋が伸びて武士を彷彿とさせる。
《目しか見えない! でも私にはわかる! イケメンに違いない!》
《細マッチョ系だね》
《身長高そう》
「ぼくより十一センチ高いよ」
《じゃあ百八十七センチだ》
《デカすぎ!》
央都也の予想通り、チャットは大盛り上がりだ。
雄誠にもチャットのコメントが読みやすいように、パソコンを起動して動画を流し、その正面で二人並んでベッドの上に座った。そして二人の後ろには、姿が透けた男性の幽霊も映る配置にしている。
(なんという、ベストアングル)
こんな突発的なイベントでも角度を意識する、ユーチューバーの鏡だと央都也は自画自賛した。
(まさか、本当に幽霊がいるなんて)
旅館の落武者も、見間違いではなかったのか。
(実際に見えるんだから。信じるしかないよね)
背後にいる幽霊をパソコン画面越しに見る。こんなにしっかりと画面に映るなんて。映像をテレビ局に売れるんじゃないだろうか。
《マジで幽霊が映ってるのかよ》
《サクラじゃねえだろうな?》
《嘘ついても仕方がないでしょ》
《透けた男の人が、ペケくんたちの後ろに立ってるよ》
「見えない人もいるの?」
どうやら、すべての視聴者に霊が見えるわけではないらしい。
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