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二章 思い出の景色を探せ
二章 思い出の景色を探せ その11【二章・完】
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「こんなの酷いよ」
央都也の世話を焼きながら、心の中では邪魔だと思っていたのだ。笑顔を向けながら、心の中では弟さえいなければと思っていたのだ。
それを知らずに、央都也は雄誠に甘えていた。
兄が迷惑がっていることにも気づかずに。
央都也は「ぼくを裏切らないでね」と伝えたことがある。
雄誠は「ありえない。余計な心配をするな」と力強く返事をした。
(それも嘘だった)
耳の奥で、なにかが壊れる音がした。
これは央都也への裏切り行為だ。
「もう誰も信じられない。誰も信じない」
央都也は頭をふった。肩まである細い髪が揺れた。
また人を信じようとしていた自分がバカだった。
――人を信じるからそうなるんだ。初めから誰も信じていなければ、死ぬこともなかったのにね。
央都也は洋平に対して、そう思った。
まさに、その言葉が返ってきた。初めから誰も信じていなければ、こんなに傷つかなかったのに。
(ほら、やっぱりこうなるんだ)
頭のどこかで、自分を嘲る自分がいる。
自分は、何度同じ過ちを犯すのだろう。
「もう、いやだよ。誰か助けて」
央都也はくしゃくしゃにした顔を両手でおおった。
「……兄さん」
もう兄は頼れない。
央都也には誰もいない。そう選択してきたのは自分自身だ。
……しばらく、そのまま動けずにいた。
そして顔を上げた央都也の瞳には、暗い影が落ちていた。
「兄さんがいなくても、なんてことないよね。だってぼく、金を貯めたら誰にも会わないつもりだったんだから」
そうだ。事故物件の第三弾をしよう。
そうすれば、年内に動画配信を引退できるはずだ。
あとは誰とも会わずに、気兼ねなく一人でいられる。
もう二度と央都也が裏切られることはない。
孤独が一番、安心だ。
(もともとの計画通り)
央都也は形のいい薄い唇をめくるように笑った。
事故物件募集サイト経由で届くメールボックスを開くと、いくつかメールが溜まっていた。
メールを開いていき、内容をチェックする。
収入を得ながら賃貸物件に住んでいるが、契約書は通常通りに交わしており、連帯保証人も必要だった。部屋を破損した場合は元通りに修繕する必要があるためだ。連帯保証人には雄誠になってもらっていたので、必然的に住所を知られていた。
しかし、今回は雄誠に頼るつもりはない。新しい住所を教える気もない。
もう、雄誠とは関わらない。
だから依頼メールの中に、連帯保証人が不要な物件がないか調べているのだ。
「……あった」
物件は首都圏にあり、そう離れた場所ではなかった。
一人で暮らすには広すぎる二階建て住宅。
メールの文面には、こうあった。
――五年ほど買手がつきません。
殺人事件のあった物件です。
よろしくお願いいたします。
央都也の世話を焼きながら、心の中では邪魔だと思っていたのだ。笑顔を向けながら、心の中では弟さえいなければと思っていたのだ。
それを知らずに、央都也は雄誠に甘えていた。
兄が迷惑がっていることにも気づかずに。
央都也は「ぼくを裏切らないでね」と伝えたことがある。
雄誠は「ありえない。余計な心配をするな」と力強く返事をした。
(それも嘘だった)
耳の奥で、なにかが壊れる音がした。
これは央都也への裏切り行為だ。
「もう誰も信じられない。誰も信じない」
央都也は頭をふった。肩まである細い髪が揺れた。
また人を信じようとしていた自分がバカだった。
――人を信じるからそうなるんだ。初めから誰も信じていなければ、死ぬこともなかったのにね。
央都也は洋平に対して、そう思った。
まさに、その言葉が返ってきた。初めから誰も信じていなければ、こんなに傷つかなかったのに。
(ほら、やっぱりこうなるんだ)
頭のどこかで、自分を嘲る自分がいる。
自分は、何度同じ過ちを犯すのだろう。
「もう、いやだよ。誰か助けて」
央都也はくしゃくしゃにした顔を両手でおおった。
「……兄さん」
もう兄は頼れない。
央都也には誰もいない。そう選択してきたのは自分自身だ。
……しばらく、そのまま動けずにいた。
そして顔を上げた央都也の瞳には、暗い影が落ちていた。
「兄さんがいなくても、なんてことないよね。だってぼく、金を貯めたら誰にも会わないつもりだったんだから」
そうだ。事故物件の第三弾をしよう。
そうすれば、年内に動画配信を引退できるはずだ。
あとは誰とも会わずに、気兼ねなく一人でいられる。
もう二度と央都也が裏切られることはない。
孤独が一番、安心だ。
(もともとの計画通り)
央都也は形のいい薄い唇をめくるように笑った。
事故物件募集サイト経由で届くメールボックスを開くと、いくつかメールが溜まっていた。
メールを開いていき、内容をチェックする。
収入を得ながら賃貸物件に住んでいるが、契約書は通常通りに交わしており、連帯保証人も必要だった。部屋を破損した場合は元通りに修繕する必要があるためだ。連帯保証人には雄誠になってもらっていたので、必然的に住所を知られていた。
しかし、今回は雄誠に頼るつもりはない。新しい住所を教える気もない。
もう、雄誠とは関わらない。
だから依頼メールの中に、連帯保証人が不要な物件がないか調べているのだ。
「……あった」
物件は首都圏にあり、そう離れた場所ではなかった。
一人で暮らすには広すぎる二階建て住宅。
メールの文面には、こうあった。
――五年ほど買手がつきません。
殺人事件のあった物件です。
よろしくお願いいたします。
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