美しすぎる引きこもりYouTuberは視聴者と謎解きを~訳あり物件で霊の未練を晴らします~

じゅん

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三章 央都也の居場所

三章 央都也の居場所 その4

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(さすがに緊張するな)
 五年経っているとはいえ、殺人現場なんて初めて見る。央都也は呼吸を整えた。といっても、思いきり吸いたい空気ではない。

「先に伝えておくけど、今日は兄は来ないんだ。だから幽霊がいても、みんなに見せることができないかもしれない。ごめんね」

 残念、見たかったのに、というコメントが多数流れた。
(幽霊なんて見えなくていいんだけどね)

 見えなければいないのと同じ、というスタンスは、基本的には変わらない。
 それに殺害された霊が言うことなんて、恨みつらみに決まっている。あまり聞きたくない。

「さて、クライマックスといきますか」

 央都也はゆっくりとドアを開け、電気をつけた。二階の角部屋で、六畳の洋間だ。床はフローリングで、ほかの部屋と同じく埃で白っぽくなっている。

「思ったほど物がないな。どんな殺され方だったのかわからないけど、もしかしたらある程度、荷物が別の部屋とかに移動されたのかもしれないね。“オレルーム”って書いてあったし、男性の部屋のようだね。壁に書かれていた、“マサル”って人の部屋かもしれない」

 バイクが写ったカレンダーが壁に貼られ、埃が積もったオーディオ機器、テレビ、ビデオゲーム、木製のバットなどがある。

「カレンダーは、五年前の五月になっているね。あ、これはレンタルのDVDだ。レシートも間違いなく、五年前の五月の日付だね。五年以上も借りっぱなしか。警察とかが返してあげないものなんだね。延滞料金がすごそう」

《今さら返されても、店も困るよな》
《リアルな呪いのDVDになりそう》
《貞子っぽいのが出てくるのか》
《それはそれで話題になるのでは》

「血痕とかはなさそうだね。刺殺じゃなかったのかな。それとも、拭き取られたのかな」

《その部屋は危険だ。すぐに出るんだ!》
 ドキリとする書き込みが流れてきた。

「そりゃ、殺害現場だしね……」

《確かに、本当にヤバいって。寒気がとまらないよ。前回とかと違う》
《私もそう思う。ペケくん、もういいよ。その部屋は出たほうがいい》
《適当なこと書くなって。なにか見えてんの?》
《見えはしないんだけど……》
《結局、どんな殺人事件があったんだっけ?》

「未成年同士の殺人なんだって。調べればどんな事件かわかるみたいだけど、怖くて調べなかった。ごめんね」

《五年前の未成年殺人とかで検索したら、出てこないかな》
《案外、たくさんヒットしたりして》
《未成年の犯罪、よくニュースで見るもんなあ》

 そんなコメントの中、
《X、今すぐそこから出てくれ!》
 と、チャットに連投している人物がいた。

《しつこいな、もういいって》
《反応するなよ。荒らしは無視が一番》
《この人の名前、“Xの兄”ってなってるけど。本物のペケくんのお兄さんだったりする?》

(えっ?)

 流れてしまうコメントをなるべく拾おうとしていて、投稿者名は見ていなかった。確かに投稿者名は“Xの兄”になっている。

《本物の兄だ。諸事情で、俺はXのいる物件の場所を知らない。俺が番号を知っているXのスマホの電源が切れていて連絡もつかないから、ここから語りかけている。そこには質の悪い霊がいる。X、すぐに出るんだ》
《だってさ、ペケくん。本当のお兄さん?》

 央都也はコメントを見ながら、眉間にしわを寄せる。
 スマートフォンの電源のことまで知っているので、この書き込みは雄誠の可能性が高そうだ。

(今更なに、心配したふり? それとも、ぼくになにかがあったら寝覚めが悪いのかな。ぼくなんか放っておいて、結婚でもなんでもすればいいのに)

「さあ、その人は偽物じゃないかな。兄さんは仕事中だと思うけど」

 そろそろ引き上げ時だと思っていたが、やめた。
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