幕末☆妖狐戦争 ~九尾の能力がはた迷惑な件について~

カホ

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文久3年

始まりの場所(弐)

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 激戦の末、山南たちは不逞浪士を撃退した。岩城升屋の中は戦闘のため、めちゃくちゃになってしまったが、そればかりはどうしようもない。

「総長、浪士の捕縛はどうしますか?」
「君たちに任せますよ」
「わかりました」

 浪士たちの捕縛は隊士に任せ、山南は浪士に切られた左腕を抑えた。

 そこまで重傷ではないようだったが、浅くもなかった。浅葱色の羽織がみるみる血で真っ赤に染まっていく。

 このぐらいの怪我だったら、完治するだろう。これが原因で刀が握れなくなることはないと思う。

「山南さん!大丈夫か?」

 隊士たちに指示を出していた土方が山南のところに駆け寄ってきた。

「ええ」
「傷は………」
「幸いそこまで深くありませんよ。しかし、不覚を取りましたね」
「すまない。俺のせいだな」
「いいえ、土方くんはよくやりましたよ。これは私の不注意が原因です」
「いや、俺の責任だ。しかし山南さんが素直に褒め言葉を口にするとか、明日は雪でも降るのか?」
「おや、土方くんは面白いことを言いますね」

 土方との間に、ビリビリィ!と何かが通ったような気がした。

「止血だけしておけば、問題ないでしょう」
「いや、応急処置をしてもらった方がいい。出血がひどいからな」

 そう言って土方は呉服屋の番台に向かい、おろおろしている店長に尋ねた。

「すまねえ、この辺りに腕の立つ医者はいるか?」
「へ、へぇ……腕利きのお医者様ですか……?」
「ああ。できればここからそう遠くないところで頼む」
「それなら、藤山診療所の康順先生はどうでしょう……?」
「その診療所はどこにあるんだ?」
「そ、それでしたら………」

 土方はそのまま呉服屋の店長と一言二言会話を交わし、店主が頷きながら紙に何か書いている。

 しばらくすると、店長が何かを書いていた二枚の紙を受け取って土方が戻ってきた。

「山南さん、診療所の場所を聞いてきたから先に行っててくれ。俺もこいつらを屯所に連れて行ったらすぐに向かう」
「わかりました。それが地図ですか?」
「ああ」

 山南に紙を渡すと、土方は隊士と捕縛した浪士を連れて岩城升屋を出て行った。

 それを見送り、山南は懐から手ぬぐいを取り出し、傷口に巻いた。これで時間は稼げるだろう。

 手元の地図に目を落とすと、ごちゃごちゃとした図はなく、すっきりして見やすい図面が書いてある。

 目的地なのだろう場所には赤い墨で丸が書いてある。確かにそこまで遠くない。

「さて、行きますか」

 ボソッとつぶやき、山南は店長に会釈すると、岩城升屋を出た。
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