キスの呪い (終)

325号室の住人

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「ウォルフレッド様、お帰りなさいませ。」
「あぁ、ただいま。」

エントランスで主人を出迎え、頬にキスをした。

「今日もお疲れのようですね。」

今日も主人は目の下の隈と顔色が酷い。
僕は主人と食事をし、入浴し、ベッドまで主人の手を引き、お休みのキスをした。

主人はすぐに眠ってしまう。僕の呪いのせいだ。
僕に呪いを掛けた副師団長は、僕の希望通り国外追放となったと、主人の兄にあたる国王陛下から国民へ発表があったのだ。

僕は隣の部屋で自分用に淹れたお茶を手にソファの背凭れに寄り掛かった。

ふと足の間に利き手を伸ばしたくなって、慌ててティカップを両手でぎゅっと包んで目を閉じる。
頭をブンブン振ってから、深い呼吸を1つした。



実は、僕が《初夜》とはどんなものかちゃんと知った頃以来、僕と主人とは一緒に入浴はしても、それ以上のことは何もしていなかった。

「やっぱりあの頃の、主人との夜の交わりは、僕の呪いによる効果だったのかな…」

そう思ってしまう自信のない僕は、あの熱い夜を思い出して股間に右手を伸ばしてしまう。
けれど、触れてしまっても主人がするように全然気持ちよくなれない。
逆に布が擦れて痛いし、直に触れても水気がないのでただの摩擦だけだ。

僕は大きく溜め息を吐くと、寝室へ向かった。

扉を少しだけ開いて耳を澄まし、主人の寝息を確認した。

「ウォルさま…」

あの夜以降一度も呼んでいない主人の愛称を口にすると、そのまま利き手の甲へ自分の唇を押し付ける。

そのまま静かに扉を閉めて自室へ下がるというのが、まだここに来て数日の、僕の日課になりつつあった。










「かわいい…」

私の名を呟くフィンの声とその後に続くリップ音を思い出すと、私はまた頭の中のフィンをけがしながら魔法で作り出した亜空間スペースへと自分の欲をぶち撒けた。

結局、国王から貰った《淫魔の呪いもどき》は、発動してからほんの仮眠程度の時間しか効果を発揮しなかった。

まぁ、兄も初めての《呪い》で、私も兄よりも多い魔力量だから仕方ないと言えば仕方ないのだが……





実はまだ、フィンには解呪を伝えていない。

だから、私がキスで眠ってしまうのは自分の所為だと思っているようだ。

私はそれ幸いと、寝台に入ってしまった後はこうして頭の中だけでフィンを侵し、汚し、欲望は魔法で作り出した亜空間へとぶち撒けて性欲を発散している。

本当はフィンとシたいけれど、兄とアルセラとの間に王子が誕生しない限りは仕方ないというのもわかる。

けれど、最近自分のモノしか握っていないことに飽き飽きしていた。

「フィン…私は君を愛している。あぁ…早く君とシたい。」



私は、隣の部屋に隠したクリスタル製の鏡に記憶させた先程のフィンの行動を再生する。

慣れない手付きで自らの欲を宥めるフィン…
扉の近くから私を確認し、自らの手の甲へキスをするフィン…

そうすれば途端に熱くなる股間。

私はまた自分の欲を亜空間へとぶちまける。

「フィン…フィン……フィン!!」

──早くシたい、君とシたい! 挿れたい!!

そうして夜は更けていくのだった。


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