悪役令嬢の育て方 本編終わり

325号室の住人

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元悪役令嬢と、現辺境伯令嬢 2

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『懐かしい記憶、思い出させてくれてありがとう。
でもね。だからこそこの髪質が! もっとハリやコシがあった直毛の銀髪だったのよ。
だから、女神時代はこの絵巻物みたいな黒髪ではなかったの。
あぁ、早く大きくなりたいわぁ~。』

「それなら、女神だった頃の記憶はあるのですか?」
『あるわ。まぁ、もちろん力は受け継いではいないけれど、ある程度の魔法は使えるわよ。念話や、耳が良いのも、全部魔法の力だし。』

「それじゃ、もちろんこの国のマナーや歴史や文化にも精通し…」
『そんな訳ないじゃない!! アタシはあくまでも上から見ていただけなんだもの。』
「ならば、ルイーズ様にはこの国の正しい言葉と、隣国の言葉も学んでいただかなくてはなりません。明日は隣国の本を読み聞かせましょうね。」
『げ…』
「それに、だんだん握力が強くなってきた頃ですもの。早速明日からはカトラリーを持って食事しましょうか。手掴みの野生児食べは、そろそろ卒業ですよ。」
『ガーン…』
「もしカトラリーで溢さず上手に食べられるようになったら…
かわいらしいワンピースやドレスを仕立てましょうね。」
『新しい服? わかった。アタシやるわ!』
「ならば、明日一緒にデザインを考えましょう。今日はどんなドレスにしたいのか、よく考えながら、たっぷり眠ってくださいね。」
「あぁい!」



王太子妃教育の一貫で隣国のことを調べた時、隣国の学園は13歳~15歳で、卒業と同時に成人として認められるため婚姻もできるとあった。

13歳で留学の為この邸を経つとなれば、他所の子のように成長を待ってからの教育では詰め込み教育になってしまうだろうと思う。

その点前世の記憶の残る今のルイーズ様ならば、鼻先に人参をぶら下げるように、教育の入口となるような最初の一歩を踏み出させることができるはずだ。

厳しい教育はできるだけ避けたい。
子どもから笑顔を奪うような教育も避けたい。
それに、思い合った人と婚姻させてあげたいし、できることなら隣国に関わることなく成人して欲しい。

でも2国分の教育をしっかり身に着けさせなければ、もしもストーリー通りとなって留学することになった時、困るのはルイーズ様自身となってしまうもの。
ルイーズ様にはきちんと立ち向かえる人に育って欲しいなぁ。

そんなことを考えながら、ジン様を待たずに先に眠ってしまった。


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