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次の世界
しおりを挟む『ケイ…』
ある日、目が覚めると……いや、眠った時だっただろうか。
ソーマに抱き締められた。
『ケイ……』
次は耳元にキスをしてくる。
「今日はヤケに積極的じゃないか? ソーマ。」
『ケイ……待っていたのですよ。』
「待って……?」
『はい。日本人…異世界人の寿命、長すぎやしませんか?
私がこの世界に来て、もう神は休暇を終えましたし、あの二人は次の世界に旅立ちました。
神は妻子を呼び寄せて毎日イチャイチャして……』
「あぁー、それはー、申し訳ないとは思うけど…」
『だから私は、ずっとケイを待っていたのですよ! この百年間、ずっとずっと、待っていたのですよ!』
「え…百年?」
『百年です。私が没し、この白い世界に旅立ちました。それから百年。ケイはいつまでも若々しく、チャーミングで、私は雲の隙間からこうして覗きながら、いつもハラハラしていました。』
「ハラハラ?」
『そうですよ! ルフネの息子も、兄上の孫も、皆、ケイを性的対象としていやらしい目つきで…』
「え? ハイクもスタンリーも、いつも僕に親切だっただけだよ?」
『いいえ。私がこちらへ来てからと言うもの、鼻の下を伸ばしてケイを見ていた。
私は! ここへ来てしまった者は、いくら祈っても下へは戻れないのですよ!
できることなら言いたかった。「ケイは私の妻である!」と。』
ソーマは言うと、触れるだけのキスをした。
『だから、責任を取ってください。私を、これだけヤキモキさせたのですから。』
ソーマと舌を絡ませた。
じゅくじゅくと、音をさせながら。
この場所は、基本的に音らしい音がない。
僕たちが話す声が止まれば、快感を誘う水音しかしなくなった。
『ケイ。貴方は私の妻です。私は、貴方の夫だった筈だ。
待ち望んだ最愛が、やっとこちらへ来てくれたのです。今日はある意味、私達の《初夜》ですよね。
先に旅立った私がここに来て、百年。頭の中では毎晩貴方をイかせていました。
今日はその全てを貴方には教えましょう。
貴方は、私の脳内で何度果てたか、数えていてくださいね。』
僕は、ソーマに身を委ねた。
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