【完】名前すら知らない、僕のつがい

325号室の住人

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 エピローグ


いろいろあった僕が眠っていると、腰に重みを感じて目が覚めた。

彼は部屋の外で髪を整えてもらったようで、綺麗な短髪になっていた。
長い頃にはそれが重石になってストンと落ちていた彼の金髪の毛先はふにゃふにゃで、少し毛先をすいたようで髪の密度が落ち着いたのか、髪色が以前より薄く感じる。

そしてその姿は、どこからどう見ても、夢の中の人物だった。



──そうか。彼が僕の、【運命】だったのか…



そう認識してからのエッチは、とても気持ち良かった。
彼はまだ、たぶん僕が彼を【運命】だと認識していることに気付いていないのだろう。
僕を自分に繋ぎ止めようと必死で、力いっぱい腰を引いては壁の向こうへ侵入する勢いでガツガツと穿つ。

僕はと言えばその激しさが新鮮で嬌声が止まらないし…

実を言えばもう数時間前から頭の中が真っ白で快楽の海に揺蕩っている状態だ。






《君は私の【運命のつがい】なんだ。絶対にそうだ。私はあの時、運命を感じたのだから! 絶対に、絶対に!》
《そうだよ、僕…リツキの運命は貴方だ!》
《リツキは私の【運命】…【つがい】》
《愛してるぅ! 名前呼んで…》
《リツキ! リツ!!》

「ぁんっ…ぁぁああああーーーーー!!!」

僕はその時にまた身籠ったらしく、次に目が覚めるとまた傍らには仔犬が3匹居た。






こうして、【運命のつがい】に導かれるようにしてこの世界にやって来た僕は、気付けばこの国の国母となっていた。

なぜなら彼が、この狼獣人の国の王だったからだ。
長年、【つがい】を探していたものの出会うことができなかった彼は、見た目は若いけれど寿命の半分を越えていた。
とは言え、この国の彼らの寿命は200を簡単に超えてくる。
彼の年齢である100は、日本のソレとは全く違って……

「ァ…ぁんっ……もっと激しくしてぇ!」
《「激しく」?…激しくと言ったか? こう、か?》
《いい! そこっ…ァンッ…ィくぅ!》

全くオジサン感なしの、いわゆる絶倫というやつだ。
ちなみに名前は、エリ…エリリ…えと、現地での発音が難しく、フルネームでは呼べない代わりに、【エリリン】とかわいらしいニックネームをつけてやった。
彼はいたく気に入って、最近では家臣や国民にも【エリリン】と呼ばせているほど、どうやら僕は愛されているみたいだ。

こうして突如異世界転移してしまった僕だけど、【運命のつがい】に愛されながらも幸せに暮らしています。









今から3年前になるかしら。
弟が失踪した。

高校の卒業式の後、私と待ち合わせしていたのに家出はありえないからと、失踪で落ち着いたのだけれど、私は知っている。


私の高校時代、弟の律希リツキは不思議な異世界の夢をみるようになった。
その時のことを手描きでBL漫画に仕上げた私の原稿が、律希が失踪してからこっち、勝手にページが増えるようになったからだ。

異世界に転移した律希は、美貌の獣人王に美味しくいただかれ、出産して、婚姻して王妃になって、毎日毎日獣人王に愛されている。

私はその不思議な連載を毎日ウハウハで読み進めている。

そう。弟は失踪ではない。
ヲタの夢の夢、異世界転移を果たしたのだ。

私が日本での生を終えた時、異世界転生するなら絶対に律希がいる世界がいいな…



こちらから律希に連絡を取ることはできないけれど、姉は今日も元気に、律希のエッチを漫画で読んでいます。



      おしまい
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