性なる勇者シュヴァンツと七人の花嫁

ひらきみ

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八十発目 おかえり

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「僕、お姉さんを買いたいんです」

「何だい、坊や。駄菓子を買うのとはわけは違うんだよ。第一、金は持ってるのかい?」

 街の娼婦はキセルを吸い煙を吐き出しながら言った。黒く長い髪に挑発的な露出度の高い服装。この地区の壁際には夕刻を過ぎると数々の娼婦が立ち客を待つのが通例となっている。俺は懐から金を出して見せる。たまたま希少性の高い魔物と出くわし仕留めて皮を剥いで道具屋に売り飛ばしたところなかなかの値になったのだ。

「へえ、冷やかしじゃないみたいだねえ」

 娼婦はキセルを咥えながら言う。その口紅が塗られた唇で様々な男のものを咥えこんでは満足させてきたのだろう。



「震えちゃって。可愛いこと。童貞かい?」

 一時の寝床として借りた宿屋のベッドで娼婦はこう言った。化粧品と香水ともうひとつ何ともいえない生々しい香りが鼻を突く。これが大人の女の香りというやつか。お互い一糸まとわない姿である。なるほど百戦錬磨の前では全てお見通しというわけか。隠していても仕方ない。ここはひとつ正直に行こう。

「はい、そうなんです」

「そうなのかい。まあ、お姉さんに任せなさい」

 そう言って娼婦は俺のこれ以上ないほどそそり立った男根に舌を這わせそれを口の中に思い切り入れ頬張りだした。

「すごい・・・!」

 男根にこれまで感じたことない生々しい刺激が加わり俺も思わず声を漏らす。

「お楽しみはまだまだこれからだよ。坊や」

 そう言って娼婦は股に俺のいきり立った男根を充てがい一気にその膣内に招き入れた。柔肉と女の蜜が合わさり我が男根を包み込む。

「すごい・・・」

 これまでの人生の中で味わったことのない生々しい感覚に思わず声が漏れる。

「何がすごいんだい。本番はこれからだよ!」

 娼婦は俺の上で腰を上下させる。そのたびに豊かで卑猥な乳房がぷるんぷるんと揺れる。今まで感じたことの無い快楽の濁流が男根だけでなく全身を包み込みあっという間に下腹部から熱い塊が込み上げ尿道を駆け抜ける。

「おっと!駄目だよ。膣内で出しちゃあ」

「すみません・・・」

「全く・・・ところで初体験の感想はどうだい?」

「とにかく、すごいです・・・」

 それを聞くと娼婦はフッと笑い精液塗れの男根を口に含む。

「あ、汚い・・・」

 そう言ったものの身体は正直で射精してしぼみ気味だった俺の男根は娼婦の口の中でたちまち大きくなっていく。
 
「さすが若いだけあるねえ」

 娼婦は山のごとくそそり立った俺の男根を見て笑みを浮かべる。

「もう一回するかい?」

「良いんですか?」

「ああ、あんた立派なもんを持ってるしねえ。これで色んな女を鳴かせるんだろうね、これから・・」

 そう言って娼婦は微笑み俺の男根に口づけをした。それから俺たちはあらゆる体位で交わった。全てが終わり娼婦が去った後、俺はベッドに横たわり天井をぼんやりと眺めていた。

「すげえな・・・女って・・・」

 思わず独り言ちる。

「エルフィ、いるんだろ。気配を消して盗み見とは趣味が悪いぞ」

「はいはい。元勇者ヘルトで修行を終えた後にやることがコレなのかしら」

 エルフィは俺の頭上に浮遊しながら皮肉を言う。

「これは始まりさ。これからあらゆる美女という美女を抱きまくってやるんだ」

 俺は天井に手を伸ばす。そしてその手をぐっと握りしめる。それからというもの俺はその言葉通りあらゆる女を抱きまくった。我が、美しい、性なる勇者シュヴァンツの七人の花嫁、ミルヒ、アインスとエレン、シュヴェーアト、マギー、リリス、シスタヴェリア。そしてメイドのアリサ・・・彼女たちと過ごした日々はまさに天国だった。

 だが彼女たちを守るために俺は戦い今こうして本当の天国に・・•いや、俺のような男が天国に行けるとは自信があまりない。地獄へ・・・いやいや、それもあんまりな気がする。一応は世界を救ったんだぜ、それも二回もだ。神様とやらがいるのなら多少はお目こぼしがあってもいいってもんだ。そんな事を思いながら俺は真っ暗闇の海に底に沈んでいった。ここはどこだろう。辺りは真っ暗で何も見えない。何も聞こえない・・・いや、聞こえる・・・俺を呼ぶ声が・・・

「あなた・・・」

 これはミルヒの声か・・・?

「シュヴェンツ・・・」
「シュヴァンツ・・・」

 これは双子の姉妹、アインスとエレンの声・・・

「帰ってこいシュヴァンツ・・・」

 これはシュヴェーアトの声・・・

「お前がいないとわらわは一体、誰の精を吸ったらええんじゃ・・・」

 リリス?こいつは相変わらずだな・・・

「まだ勇者様と試してない体位があるのです・・・あとあと、飲尿とか緊縛とか露出とか・・・」

 シスタヴェリア?こいつも相変わらず変態だな・・・

「私と子供を残してどこに行くんですか?全くあなたという人は・・・」

 これはアリサの声か?確かにお前たち親子を残してしまい心苦しい・・・

「最後まで女泣かせのアホ、さっさと帰ってきなさい・・・」

 これは、忘れるはずもない。旅の相棒、エルフィ・・・

 気付くと頭上にはゆらゆらと揺れる光源が見える。この暗闇の海に突如として差した光源だ。自然と体が動き頭上の光に向かって泳いで浮上していく。みんなの声がする方へ・・・理屈はどうでもいい。とにかくあいつらにまた会いたいんだ・・・

「おかえりなさいませ・・・・・・旦那さま・・・」

 マギーは俺を見下ろしながら言う。その紫の瞳からは次々と大粒の涙が溢れ出し俺の頬を濡らすのだった。

 


 
 
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