偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!

時々雨

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兄弟②

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side ヴィンセント

 この前、ルアネが僕の上で寝ていた時。凄く温かくて、これが命…と思ったのだ。ルアネはルイゼに似ていて、とても可愛かったし、ルイゼが3歳の時はこんな感じだったのか…と、思ったものだ。

 その日から…弟の存在が気になって仕方がなかった。

 だから、今日会いに行ってみようと思ったのだ。

 弟と側室が過ごしている棟は僕の部屋がある棟の反対側にある。そちらへ向かおうと政を行っている宮を抜け弟達がいる棟へ踏み込もうとした時だった。

「ヴィンセント殿下、何故そちらへ向かうのですか?行ってはなりません」

 後ろから声をかけられ振り向くと、よく僕を指南してくる公爵家の当主だった。オールバックの髪に鋭い目。威圧感のある顔で騎士みたいな出立ちなのに、この人は文官である。

「オードレッヒ公爵…。何故、貴殿に指図受けねばならんのだ」

「まさか、あの者達に会いに行く、などと戯れ言を吐くつもりはないでしょうね」

「そうだといったら?」

 その言葉を発した途端に、有無を言わせない眼光が飛んできて、足がすくんだ。

 そして、ゆっくり近づいてきて、両肩に手を置かれた。いや、置かれたと言うより強く捕まれた。そして、耳元で囁くように告げられる。

「あの者は、王族ではないのです。平民の血が入ったものはこの国の王子ではないのです。ただの平民の子だ。この国の王子は、アウシュリア王太子殿下とヴィンセント殿下のみなのです。貴方に弟などおりません。理解できたのなら、さぁ、部屋に戻るのです」

“貴方に弟などおりません”

 その言葉が反響する。

 ルイゼとルアネが僕にもくれた温かい気持ちが、偽りのモノのように、スッーと消えていく……。

「僕にも…弟が……」

 目の前の公爵はため息を吐き、目線が合うようにしゃがみこんだ。そして、また囁くのだ。

「貴方に余計な事を吹き込んだのは…ルイゼ・ノエル・ハイネルセンですね。彼を……」

 公爵は正に悪魔の囁きの様だった。恐怖を覚え、ドンッ!と身体を押して

「ルイゼは関係ない!!!絶対に手をだすな!」

 そう叫んで、逃げ出した。





 公爵の反対側へ逃げ出したので、結果的に目的であった弟たちの棟へ、辿り着いてしまった。だが、部屋がわからずさ迷っていると、メイドたちが通りすぎた。声をかけようとしたら

「何故?第2王子様が?!」

「なんの用事なのかしら…!火種を持ち込まないで欲しいわ」

 ヒソヒソと話、声をかける暇もなく早足で去っていってしまった。

 は?なんだその態度は……?僕が何をしたと言うんだ。


 そのまま、歩いていると大きな部屋の扉にたどり着いて、ここかもしれないと思いノックをした。

 すると「はい」と返事があり、メイドが出てきた。僕を見るなりひきつった顔になったメイドは「少々お待ちくださいませ…」と言い部屋に引っ込んだ。

 しばらく待っていると、部屋越しに声をかけられた。

「すみません、ヴィンセント殿下。ご無礼と承知の上ですが、体調があまり良くなく扉越しの対応をお許しくださいませ。今回はどのようなご用件で…」

 若い女の声だった。多分、弟の母親だろう。、体調悪そうなのも本当のようで途中で、咳をしていた。

 僕は、ここまできたのだ…、伝えなければと勇気をだして

「弟…を一目、みたくて」

 と、伝えると扉の向こうの人たちが、一斉に息を飲むのが聞こえた。

 そんなに…変なこといったか?と不安になり始めた。

「ありがとう、ございます…。ですが、まだフロガは幼く…。私も体調が良くなく、ご要望に添えずに申し訳ございません」

「な、なら……」

「すみません、今後も私たちは会わない方が…、お互いの為なのです」
 
 明らかな拒絶だった。
 
「そ、そうですか…。こちらこそ、すみません…」

 僕にも、弟がいるから、ルイゼとルアネのような兄弟になれるかと思って…、なりたいと思ったのに…。

 それは絶対にかなわないのだと今、気づいた。

 公爵の言う通り…、僕に、弟はいないんだ。




 気がついたら自室に戻ってきていた。そこにはルイゼがいて「何かあったの?」と聞いてきた。

 僕は「何もない」と答えたはずなのに…。

 口がかってに…。

「俺には…、弟はいないらしい」

 と呟いていた。

 ルイゼは、悲しそうな顔をして、僕を抱き締めた。

「大人になに言われようが、フロガは君の弟なんだ…。そんな、悲しい事を言わないでくれ」

 ルイゼはいつも温かいな…。と思いながら抱き締め返すと、勝手に涙がおちてきた。

 何故かルイゼと出会ってから…、勝手に…涙が溢れるようになって困るのだ。

 これじゃ、僕が泣き虫みたいじゃないか…。
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