6 / 8
兄弟②
しおりを挟む
side ヴィンセント
この前、ルアネが僕の上で寝ていた時。凄く温かくて、これが命…と思ったのだ。ルアネはルイゼに似ていて、とても可愛かったし、ルイゼが3歳の時はこんな感じだったのか…と、思ったものだ。
その日から…弟の存在が気になって仕方がなかった。
だから、今日会いに行ってみようと思ったのだ。
弟と側室が過ごしている棟は僕の部屋がある棟の反対側にある。そちらへ向かおうと政を行っている宮を抜け弟達がいる棟へ踏み込もうとした時だった。
「ヴィンセント殿下、何故そちらへ向かうのですか?行ってはなりません」
後ろから声をかけられ振り向くと、よく僕を指南してくる公爵家の当主だった。オールバックの髪に鋭い目。威圧感のある顔で騎士みたいな出立ちなのに、この人は文官である。
「オードレッヒ公爵…。何故、貴殿に指図受けねばならんのだ」
「まさか、あの者達に会いに行く、などと戯れ言を吐くつもりはないでしょうね」
「そうだといったら?」
その言葉を発した途端に、有無を言わせない眼光が飛んできて、足がすくんだ。
そして、ゆっくり近づいてきて、両肩に手を置かれた。いや、置かれたと言うより強く捕まれた。そして、耳元で囁くように告げられる。
「あの者は、王族ではないのです。平民の血が入ったものはこの国の王子ではないのです。ただの平民の子だ。この国の王子は、アウシュリア王太子殿下とヴィンセント殿下のみなのです。貴方に弟などおりません。理解できたのなら、さぁ、部屋に戻るのです」
“貴方に弟などおりません”
その言葉が反響する。
ルイゼとルアネが僕にもくれた温かい気持ちが、偽りのモノのように、スッーと消えていく……。
「僕にも…弟が……」
目の前の公爵はため息を吐き、目線が合うようにしゃがみこんだ。そして、また囁くのだ。
「貴方に余計な事を吹き込んだのは…ルイゼ・ノエル・ハイネルセンですね。彼を……」
公爵は正に悪魔の囁きの様だった。恐怖を覚え、ドンッ!と身体を押して
「ルイゼは関係ない!!!絶対に手をだすな!」
そう叫んで、逃げ出した。
◆
公爵の反対側へ逃げ出したので、結果的に目的であった弟たちの棟へ、辿り着いてしまった。だが、部屋がわからずさ迷っていると、メイドたちが通りすぎた。声をかけようとしたら
「何故?第2王子様が?!」
「なんの用事なのかしら…!火種を持ち込まないで欲しいわ」
ヒソヒソと話、声をかける暇もなく早足で去っていってしまった。
は?なんだその態度は……?僕が何をしたと言うんだ。
そのまま、歩いていると大きな部屋の扉にたどり着いて、ここかもしれないと思いノックをした。
すると「はい」と返事があり、メイドが出てきた。僕を見るなりひきつった顔になったメイドは「少々お待ちくださいませ…」と言い部屋に引っ込んだ。
しばらく待っていると、部屋越しに声をかけられた。
「すみません、ヴィンセント殿下。ご無礼と承知の上ですが、体調があまり良くなく扉越しの対応をお許しくださいませ。今回はどのようなご用件で…」
若い女の声だった。多分、弟の母親だろう。、体調悪そうなのも本当のようで途中で、咳をしていた。
僕は、ここまできたのだ…、伝えなければと勇気をだして
「弟…を一目、みたくて」
と、伝えると扉の向こうの人たちが、一斉に息を飲むのが聞こえた。
そんなに…変なこといったか?と不安になり始めた。
「ありがとう、ございます…。ですが、まだフロガは幼く…。私も体調が良くなく、ご要望に添えずに申し訳ございません」
「な、なら……」
「すみません、今後も私たちは会わない方が…、お互いの為なのです」
明らかな拒絶だった。
「そ、そうですか…。こちらこそ、すみません…」
僕にも、弟がいるから、ルイゼとルアネのような兄弟になれるかと思って…、なりたいと思ったのに…。
それは絶対にかなわないのだと今、気づいた。
公爵の言う通り…、僕に、弟はいないんだ。
気がついたら自室に戻ってきていた。そこにはルイゼがいて「何かあったの?」と聞いてきた。
僕は「何もない」と答えたはずなのに…。
口がかってに…。
「俺には…、弟はいないらしい」
と呟いていた。
ルイゼは、悲しそうな顔をして、僕を抱き締めた。
「大人になに言われようが、フロガは君の弟なんだ…。そんな、悲しい事を言わないでくれ」
ルイゼはいつも温かいな…。と思いながら抱き締め返すと、勝手に涙がおちてきた。
何故かルイゼと出会ってから…、勝手に…涙が溢れるようになって困るのだ。
これじゃ、僕が泣き虫みたいじゃないか…。
この前、ルアネが僕の上で寝ていた時。凄く温かくて、これが命…と思ったのだ。ルアネはルイゼに似ていて、とても可愛かったし、ルイゼが3歳の時はこんな感じだったのか…と、思ったものだ。
その日から…弟の存在が気になって仕方がなかった。
だから、今日会いに行ってみようと思ったのだ。
弟と側室が過ごしている棟は僕の部屋がある棟の反対側にある。そちらへ向かおうと政を行っている宮を抜け弟達がいる棟へ踏み込もうとした時だった。
「ヴィンセント殿下、何故そちらへ向かうのですか?行ってはなりません」
後ろから声をかけられ振り向くと、よく僕を指南してくる公爵家の当主だった。オールバックの髪に鋭い目。威圧感のある顔で騎士みたいな出立ちなのに、この人は文官である。
「オードレッヒ公爵…。何故、貴殿に指図受けねばならんのだ」
「まさか、あの者達に会いに行く、などと戯れ言を吐くつもりはないでしょうね」
「そうだといったら?」
その言葉を発した途端に、有無を言わせない眼光が飛んできて、足がすくんだ。
そして、ゆっくり近づいてきて、両肩に手を置かれた。いや、置かれたと言うより強く捕まれた。そして、耳元で囁くように告げられる。
「あの者は、王族ではないのです。平民の血が入ったものはこの国の王子ではないのです。ただの平民の子だ。この国の王子は、アウシュリア王太子殿下とヴィンセント殿下のみなのです。貴方に弟などおりません。理解できたのなら、さぁ、部屋に戻るのです」
“貴方に弟などおりません”
その言葉が反響する。
ルイゼとルアネが僕にもくれた温かい気持ちが、偽りのモノのように、スッーと消えていく……。
「僕にも…弟が……」
目の前の公爵はため息を吐き、目線が合うようにしゃがみこんだ。そして、また囁くのだ。
「貴方に余計な事を吹き込んだのは…ルイゼ・ノエル・ハイネルセンですね。彼を……」
公爵は正に悪魔の囁きの様だった。恐怖を覚え、ドンッ!と身体を押して
「ルイゼは関係ない!!!絶対に手をだすな!」
そう叫んで、逃げ出した。
◆
公爵の反対側へ逃げ出したので、結果的に目的であった弟たちの棟へ、辿り着いてしまった。だが、部屋がわからずさ迷っていると、メイドたちが通りすぎた。声をかけようとしたら
「何故?第2王子様が?!」
「なんの用事なのかしら…!火種を持ち込まないで欲しいわ」
ヒソヒソと話、声をかける暇もなく早足で去っていってしまった。
は?なんだその態度は……?僕が何をしたと言うんだ。
そのまま、歩いていると大きな部屋の扉にたどり着いて、ここかもしれないと思いノックをした。
すると「はい」と返事があり、メイドが出てきた。僕を見るなりひきつった顔になったメイドは「少々お待ちくださいませ…」と言い部屋に引っ込んだ。
しばらく待っていると、部屋越しに声をかけられた。
「すみません、ヴィンセント殿下。ご無礼と承知の上ですが、体調があまり良くなく扉越しの対応をお許しくださいませ。今回はどのようなご用件で…」
若い女の声だった。多分、弟の母親だろう。、体調悪そうなのも本当のようで途中で、咳をしていた。
僕は、ここまできたのだ…、伝えなければと勇気をだして
「弟…を一目、みたくて」
と、伝えると扉の向こうの人たちが、一斉に息を飲むのが聞こえた。
そんなに…変なこといったか?と不安になり始めた。
「ありがとう、ございます…。ですが、まだフロガは幼く…。私も体調が良くなく、ご要望に添えずに申し訳ございません」
「な、なら……」
「すみません、今後も私たちは会わない方が…、お互いの為なのです」
明らかな拒絶だった。
「そ、そうですか…。こちらこそ、すみません…」
僕にも、弟がいるから、ルイゼとルアネのような兄弟になれるかと思って…、なりたいと思ったのに…。
それは絶対にかなわないのだと今、気づいた。
公爵の言う通り…、僕に、弟はいないんだ。
気がついたら自室に戻ってきていた。そこにはルイゼがいて「何かあったの?」と聞いてきた。
僕は「何もない」と答えたはずなのに…。
口がかってに…。
「俺には…、弟はいないらしい」
と呟いていた。
ルイゼは、悲しそうな顔をして、僕を抱き締めた。
「大人になに言われようが、フロガは君の弟なんだ…。そんな、悲しい事を言わないでくれ」
ルイゼはいつも温かいな…。と思いながら抱き締め返すと、勝手に涙がおちてきた。
何故かルイゼと出会ってから…、勝手に…涙が溢れるようになって困るのだ。
これじゃ、僕が泣き虫みたいじゃないか…。
73
あなたにおすすめの小説
既読無視の年下幼馴染みの部屋に行ったら、アイドルグッズだらけだった。しかも推しは俺
スノウマン(ユッキー)
BL
国民的アイドルの朝比奈 春人(あさひな はると)はいつもラインを既読無視する年下の幼馴染、三上 直(みかみ なお)の部屋をとある理由で訪れる。すると部屋の中はアイドルのグッズだらけだった、しかも全部春人の。
『幼馴染の弟ポジジョン×国民的アイドルのお兄さん』になる前のドタバタコメディです。
脳筋剣士と鈍感薬師 ~騎士様、こいつです~
季エス
BL
「ルカーシュは、駄目よ」
その時胸に到来した思いは安堵であり、寂しさでもあった。
ルカーシュは薬師だ。幼馴染と共に、魔王を倒すために村を出た。彼は剣士だった。薬師のルカーシュは足手纏いだった。途中で仲間が増えたが、それでも足手纏いである事に変わりはなかった。そうしてついに、追い出される日が来たのだ。
ルカーシュはそっと、瞼を伏せた。
明日、明日になったら、笑おう。そして、礼と別れを言うのだ。
だから、今だけは、泣いてもいいかな。
氷の侯爵はおっさん騎士を溺愛したい〜枯れおじの呪いを解くには恋が必要らしいです~
禅
BL
少年だったルイを庇って呪いを受けた騎士ディオン。
それから年月が経ち、ルイは青年に、ディオンはおっさん騎士になっていた。
魔法を使うと呪いが進むディオン。その呪いを解呪しようと試行錯誤なルイ。
そんなとき、ひょんなことから恋をすれば呪いが解けるのでは、となりルイがディオンに恋をさせようと様々な奇行を始める。
二人は呪いを解くことができるのか、そして二人の関係は――――――
※完結まで毎日投稿します
※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
君さえ笑ってくれれば最高
大根
BL
ダリオ・ジュレの悩みは1つ。「氷の貴公子」の異名を持つ婚約者、ロベルト・トンプソンがただ1度も笑顔を見せてくれないことだ。感情が顔に出やすいダリオとは対照的な彼の態度に不安を覚えたダリオは、どうにかロベルトの笑顔を引き出そうと毎週様々な作戦を仕掛けるが。
(クーデレ?溺愛美形攻め × 顔に出やすい素直平凡受け)
異世界BLです。
完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました
禅
BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。
その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。
そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。
その目的は――――――
異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話
※小説家になろうにも掲載中
かえり、みち
真田晃
BL
エセ関西弁の幼馴染みと、歩いて帰る。
明るいコイツのお陰で、外灯の少ない真っ暗な田舎道も怖くなかった。
なのに、何故だろう。
何処か懐かしさを感じてしまう。
コイツとはいつも一緒に帰っているのに。大切な何かを、俺は──忘れてしまっている、のか?
第一章:シリアスver.
第二章:コミカルver.
【完結】偏屈司書は黒犬将軍の溺愛を受ける
アザトースト
BL
ブランは自他ともに認める偏屈である。
他人にとっての自分とは無関心と嫌悪の狭間に位置していることを良く良く知っていたし、こんな自分に恋人なんて出来るわけがないと思っていた。そもそも作りたくもない。
司書として本に溺れるような日々を送る中、ブランに転機が訪れる。
幼馴染のオニキスがとある契約を持ちかけてきたのだ。
ブランとオニキス、それぞれの利害が一致した契約関係。
二人の関係はどのように変化するのか。
短編です。すぐに終わる予定です。
毎日投稿します。
♡や感想、大変励みになりますので宜しければ片手間に♡押してって下さい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる