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第52話

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「このまま日本に帰っていいと思うか?」


「日本政府のこの島への対応次第じゃない?まさか日本が原住民を苦しめるような支配はしないだろうけど…」


「原住民が普通の人間ではないからなー、どう対応をするつもりなのか次第では、しばらく残って状況を見定める必要があるのかもな?」


「まさか私たちが国家間の問題どころか、種族間の問題まで関わることになるなんてね…」


「本当だな!俺ただの玩具の設計士だぞ?」


「そんなこと言ったら私なんて元看護師で、今じゃ只の専業主婦よ?」


「だよな…でも先日の戦闘でも思ったけど、俺たちかなり人間離れした力を持ってしまったよな!地球では俺なんてもう化け物と言っていいレベルだとおもうぞ?

小説みたいに異世界で俺ツエーってしてるのと、現実の地球でしてるのとじゃ天と地ほど状況に差があるぞ!

地球には魔王や邪神は存在しないからな…大きな力を持った個人は恐怖の対象にしかならないからな…


今後トラブルに巻き込まれなければいいけどな…

正直今回のことアメリカがこのまま黙っているとは思えないんだよな。まあこれだけ世界各国に非難されてる状況でさすがにすぐには動きはしないだろう!

マイケルたちに口止めもしてないし、俺たちが過去を映像化できる装置を持ってることも各国にすぐに伝わるだろうしな…下手なことしたら、今回のアメリカの二の舞だしな!!」


「その為にマイケルさんたちにあの映像を見せつけたの?パパってそんなに計略を練るタイプだったっけ?」


「多分賢者の石の影響で少しだけ頭が良くなったんだと思うよ!少しだけな…元々ちゃんと考えてはいたんだぞ!」


「へー!そういうことにしといてあげるね。

そういえば、あの映像を見てびっくりしたんだけど、マイケルさんや、無線の相手はちゃんと英語で会話していたのよね!私には日本語で会話してるようにしか聞こえなかったのに!!」


「あー!それは俺もだ。どうやら異空間に行った影響なのか、言語を自動変換するような能力を得たんじゃないかな?あの石碑の文字も読めたのはその影響なんじゃないか?」


「あー、そういえば見たことない文字だったのにすらすら読めたわね!」


「まあ、便利だから文句はないけどな!!」


「それもそうね。便利だわ。」




 しかし、人間の欲とは俺たちの予想を遥かに越えるものだった!


夜いつものように俺の魔法で作った家で休んでいると、この島に上陸する怪しい気配を複数捉えた。


《トモヤ!》


《カオス、分かってる。どうやら侵入者の狙いは俺たちのようだ!》


怪しい気配は俺たちを囲むように配置されていく。


《カオス、レイラ手伝ってくれるか?

奴等が何者なのか探りたい。俺は外に出て奴らの相手をする。2人は家に近づく奴等をできるだけ音を立てずに殺していってくれるか?》


《面倒なことするんだな?分かった!》


《いいわよ!》



 俺は外で見張りをしてる風に、岩にのんびりと座っていた。



「社 智也さんだね?初めまして。」


10人の全身黒ずくめの男たちが、俺に様々な銃を向けて近づいてくる。


「何者だ?」


「私たちはある国の諜報部員です!君たち家族をその国に招待したいのです。その国のお偉方が君の使ったという兵器と過去を映像化する装置に大変興味を示してるのですよ。

君が他の国に引き込まれる前に、是非お連れしたいのですが、このまま黙ってついてきてくれますよね?

あっ!抵抗はされない方が身のためですよ!最悪他国に技術が渡るくらいなら殺しても構わないと命令されておりますので…

そ、れ、に、…もし抵抗されるとご家族が吹き飛ぶことになってます。


あまりお勧めできません。』


「どこの国に招待されたのかも言えないのか?それならお断りだ!」


「おやおや?もしかして、脅しだけで何もされないとでも思ってます?私たちの依頼者は君のご家族には正直興味ないのです。」


「俺の家族に何かできるわけないだろ!あちらに向かった5人はもうとっくに死んでるからな!」


「何だと!?仕方ない。殺れ!」


男は無線で指示を出すが、当然何も起こらない。



「俺はお前たちがこの島に上陸する前からその気配に気づいていた。殺そうと思えばいつでもできた。俺は俺たちの家族に危害を加えようとさえしなければ、殺すつもりはなかった!

しかしお前たちは俺がわざわざ会いに出てやってるのにも関わらず、家族に近づき、さらには爆破しようとした!

俺はお前たちを…いや!命令した奴等も許さない!」


「許さなければどうするというのです?この状況を武器もなくどうにかできるとでも?」


 俺はこいつらはもう話す価値を感じられず動き出した。縮地で男たちの一番遠くにいた男の前に移動し殴った。首から上は破裂し、真っ黒なマスクの中は肉と血が混じった液体と化していた。


「なっ?消えた!どこにいった?」


俺はそこからは縮地すら使わず、近くの奴を順に殴っていった。



「もう残ってるのはお前だけだぞ!」


ずっと俺に話し掛けていたリーダーと思わしき男に向けて俺は声を掛けた。


「馬鹿な!!その動き…人間の限界を越えている!な、何なんだお前は…化け物…化け物め!!!」


そう言うと男は俺に向けてマシンガンを撃ってきた。


俺はあえて避けもせず、ゆっくりと近づいていった。マシンガンの弾程度なら、痛みどころかかゆみにすらならない。埃にでも当たったような気分だ。


「なっ!?当たってるのに…当たってるのにーー!!!」



俺はマイケルたちにしたように、殺さないようお腹を軽く殴り気絶させた。


両手両足を縛り上げ、口の中の歯を全て抜いていった。こういう諜報部員は大抵口の中に自殺用の毒をしこんでいるのは定番だからだ。自殺なんてさせてやらない。

案の定、歯に糸が巻き付いており、喉の奥に毒の入った小さな袋が繋がっていた。身体検査をすると、他にもペン型の毒も持っていた。




「起きたか?」


「ふがふごあ…!!」


「しゃべりにくいだろう?歯を全部抜いておいた!この毒も取り除いておいてやったから感謝しろ!」


「ふぐぁ…あぅ…ん…」


「ここはお前たちが乗ってきた船の中だ!!船に残っていた奴等は全て殺しといた。俺はお前たちの依頼者にもう俺たちに関わらないよう警告するためにここに来たんだ!」


「ふがー!ふごー!」


「何て言ってるかさっぱり分からないな。話を聞けそうなら聞こうと思ってたけど、もう次の作戦に移行して構わないか…


この場所が何なのかお前なら分かってるだろう?

そう、通信をする為の場所だ!今からお前らの依頼主に通信を繋ぐ。」


俺は船や通信の操作の仕方は分からないが、過去の映像をそのまま真似して同じように操作していく。


「おっ!できたみたいだ」



『こちらブラック!コード7896!』


「うー!?」


男が目を見開いた。


作戦開始前の過去の映像を見ているからこそ、このコードが分かるのだが、男は何故俺がそんなことを知ってるのか恐怖してるようだ。


『ブラックか!?作戦の首尾はどうだ?』


「うー!!うぉーー!!」


『ブラック?何を言ってるんだ?』


『それは俺から説明しよう。俺は社 智也だ!

お願いもしてないのに、ご丁寧な招待を頂いたみたいで、正直迷惑している。』


『そうか!作戦は成功したのだな!ではすぐに本船へ合流して国へ戻るんだ!!座標32.5420528, -39.5976344に向かえ!』


「うがっ!あぅあうあー!」


『おっ!勝手に本船の場所を教えてくれてありがとう!これからは俺にはもう関わらないことをお勧めするよ!せめてものお礼にブラック君だけは生かしてお返しするよ!』


『何?どういうことだ!?ブラック答えろ!』


『作戦は失敗してたってことさ!そして、間もなく本船とやらも全滅することになる。』



 俺はまた新たな兵器を作り出した。今度は無人遠隔操作型ミサイルだ!カイルとジェシーが使っていた戦闘機を素材登録したことで、ミサイルも作ることができるようになったのだ。


俺は座標を登録すると、早速発射した!目の前にはミサイルから見える映像が映し出されている。海面からそれほど高く飛ばしていない為、おそらくレーダーにも引っ掛かりにくい筈だ!


座標の場所に行くと、大型の軍船が移動を開始していた。先ほどの通信を受け、位置を移動したのだろう…



だが、遅い!!

船の周りを一度確認した上、ミサイルを命中させた。

このミサイルは火薬だけでなく、古代の技術も融合させていた為、命中とともにそこからバリアの球体を作りだし、外に爆発の影響が漏れない設計となっている。


つまり球体の外は爆発音や振動すら漏れないが、逆に球体内部はミサイルの爆発により圧力が増大し、温度も加速度的に上昇していく。


球体のバリアが解除されたとき、一瞬炎が吹き荒れ、既に燃やすものを失った炎はすぐに消え去った。軍船は残骸すら残らず消え去った。


「あぅあー!!」


ブラックはその映像を横で見ながらただ涙を流していた。


「ブラック、お前の国はイギリスだったのか!軍船に国旗があったもんな。これに懲りたらもう俺たちには関わるなよ!

じゃーなー!」


手足の拘束を解いてやり、俺は島へと戻った。



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