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第23話 近衛兵団団長 ブライト・ガンクレット
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言われるがままにやって来た訓練場には、1人の大男が目を瞑ったまま立っていた!
筋肉で出来た人間と表現すればいいのか…全身ガチムチの2メートルは優に越える大男であった。
俺が目の前まで近づくと…目を「カッ!」と開けたかと思うと、目から光線が出てくるんじゃないかというくらい鋭い眼光で俺を睨んでくる…
『早かったわね!?優秀な受験生なのかしら❤️
私は近衛兵団団長ブライト・ガンクレットよっ♪名前が可愛くないから、ライちゃん団長って呼んでねん♪』
(えっ!?あの体と厳つい顔でオネエキャラなのかよ!?)
俺がブライト団長の存在の濃さに驚愕していると…その巨体からは想像もできない洗練された動きでいつの間にか俺の目の前まで移動していた。
顔の目の前にあの濃い顔が広がる。
『うわっ!?』
俺は突然のことに驚き後ろに後ずさる。
『うん!かわいいお顔してるわ❤️まずは、一時審査合格よん!王家に仕えるものとして、私のように見た目の美しさも大事だからね♪じゃー、次の審査に入るわね…』
(こいつ…鏡見たことないのか?)
俺がそう考えると、ものすごい殺気が降り注ぐ。。
『あんた、今失礼なこと考えたでしょ?女の勘で分かるのよ!』
(お前は女じゃねーじゃん!)
と、つい思ってしまったのは仕方ないだろ?
俺は悪くないだろ?
ブライト団長の腹パンが俺に突き刺さる。
『女の勘で分かるって言ってんだろうが!舐めてんじゃねーぞ!この小わっぱが!!
…次は手加減してやらねーからな!』
ドスの効いた低い声が響く…
(怖すぎる…)
『失礼しました。受験番号44番アランです!』
俺は挨拶をすることでこの場を仕切り直すしかなかった。
『はい!アランちゃんね…じゃー試験を続けるわね♪私が今からこの棒でアランちゃんを手加減して攻撃するから、私が完了と言うまで耐えきって頂戴!道具は、自由に使っていいわ♪
じゃー始めるわよ♪スタート❤️』
始まると同時に、ブライト団長の素早い突きの連続攻撃が襲ってくる。俺は避けれる攻撃は避け、無理そうなものはナイフで流していく。
『へえ!全部捌けるなんて、いい目をしてるわね♪じゃーこれはどうかしら?』
持っていた棒が、横凪ぎに払われる。俺は、咄嗟にしゃがみ躱すが、通り過ぎたはずの棒が再び、今度は低い高さで戻ってくる。慌ててジャンプをして飛び越え、ギリギリで避けられた。
しかし、このままひたすら避けててもキリがない。俺は、着地と同時にブライト団長の棒を持つ手に向けて駆け出す。両手のナイフで自分に向かってくる棒を防御した。根元は威力がほとんどないため、動きを完全に防ぐことに成功する。
俺はそのまま至近距離からブライト団長の顎を目掛けて肘鉄をかます!スウェーで簡単に避けられるが、重心が後ろになったところを脚を引っ掛け、そのまま押し倒す…
…結果は倒れなかった。。ジークハルトといいブライト団長といい、この世界の物理学どうなってるんだよ!体幹が化け物なのか、化け物なステータスが成せることなのか分からないが…
勘弁して欲しい。
『へー面白い攻撃してくるのね?』
そのままブライト団長は俺を羽交い締めにしてしまう。筋肉の圧力で、呼吸も出来ない…痛すぎる。。このままではヤバい…
俺の意識が消える直前、ブライト団長から解放される…
『ゲホッ、ゴホッ…』
『大丈夫?ちょっと愛情を込めすぎたかしら?最後に質問よ!アランちゃんは耐えるように言ったのに、攻撃してきたけどどうして?』
『ゴホッゴホッ…耐えるように言われてましたが、攻撃したらダメなんて言わなかったじゃないですか!?それに攻撃は最大の防御とも言いますので。』
『正解よ!アランちゃんは合格♪今日から近衛兵の仲間よ❤️』
・・おや?俺は合格したらしい…
『ありがとうございます。ブライト団長!しかし、1次や2次試験の結果と合わせて考慮し、明日の発表の筈では?』
『ライちゃん団長よ!1次や2次試験なんて形だけよ。今回は私が審査員になったからには、全て私が決めるわ❤️』
『…っ!』
俺はブライト団長の気持ちいいくらいの自由勝手に何も言えなくなっていた。
『もう1度言うわね!アランちゃんは合格よ♪一応形式的に明日の朝、合格者発表として張り出すから、明日は必ず事務所に行って内定の手続きを済ませるように!後日また会いましょう❤️』
こうして、俺の就職試験は思ってた以上に呆気なく済んでしまった。マンガとかでよくある展開だったから、迷いなく攻撃に移れたのもラッキーだったのかもな…
俺はあまりに早く試験を終えたので、訓練場の外に出て魔力操作の訓練をしながら、ビアンカを待つことにした。最初は瞑想のように目を瞑り、集中しないとできなかったが、今では他の事をしながらでも訓練ができるくらいには成長したのだ。
『何をしてるの?』
ふと、後ろから声を掛けられる。この場に似つかわしくない幼い声に不審に思いつつ振り返る。
そこには、まだ幼い7歳くらいの男の子が立っていた。服装が立派なので、恐らくこの試験の受験している、貴族の家族か何かだろう…
『俺かい?俺は今強くなるための修行をしているんだよ!坊やは迷子になったのかな?家族が心配しているかもしれないし、一緒に探してあげようね。』
『迷子なんかじゃないぞ!すぐそこで僕を探してるやつらをやっと撒いてきたんだ!!』
(かくれんぼか?)
『そうか…でも君をみんなは探してるんじゃないのかい?友達を心配させたらいけないよ!』
『あいつらは友達なんかじゃない!僕には友達なんて1人もいないんだ…これからだって友達なんて出来るわけない!』
(…苛められてるのか?こんな小さいのにかわいそうに…)
『そんなことないさ!君が最初から拒絶さえしなければ、きっとそのうち、君の良さを理解し、共に助け合える友達もできるさ!』
『出来っこない!誰も僕を見ないんだ!皆、僕の父上を見ながら僕に話しかけてくる…父上の子供でなければ僕なんて何の価値もないんだよ!』
『うーん。俺は君の父上がどこの誰だか知らない。俺は今、君自身をみてるんだけどな…』
『それじゃ、僕の友達になってくれよ!どうせ無理なんだろ?』
『分かった!今から俺と君は友達だ♪俺はアラン。今年成人して、今日は近衛兵の就職試験を受けに来たんだ。よろしくな!で、君は?』
『本当か?僕はハリー・クリスタリアだぞ!それでも本当に友達になってくれるのか?』
(この子の父親は王様だったのか。それで…)
『ハリー大丈夫だ!俺とハリーはもう友達だろ!?
父親なんて関係ない。俺は君の姉さんのエリスさんとも友達だ!
同じように父親が誰だとか知る前からな…
…だから、そんな不安そうな顔するな!』
俺はハリーの頭をごしごしと撫でる。
『それと、これは内緒なんだが、俺は実は近衛兵になるんだけど、王家や出世に興味ない。俺は将来、この王都の側にあるラトルという村の村長になる予定だ。
その時がくるまで、少しは友達のエリスさんの役に立てればいいと思っている。勿論ハリーの幸せも願ってるぞ!』
『アラン!ありがとう♪僕に友達が出来たんだ!嬉しいよ。……ヒクッ』
『嬉しい涙は我慢する必要ない!今は好きなだけ泣いたらいい…』
よっぽど嬉しかったのだろう。何分も泣き続ける。頭を撫で続けてやってると、ようやく落ち着いたのか、俺の顔をじっと見てくる。
『アラン、気になったんだけど…聞いていい?
修行をしてたって言ってたけど、ただボーッとしてるようにしか見えなかったんだけど、何の修行なの?それで強くなれるの?』
『あ~…確かに見た感じは、ただボーッとしてるようにしか見えないか。。あの時、俺は体の中の魔力を動かして色々とコントロールしていたんだ。それを頑張ったらこんなことが出来るようになるんだよ!』
俺はナイフを取り出し、魔力を込める…ナイフが紫色に輝きだす。
『魔力の剣じゃないか!アランも使えるんだ!?』
『…も?ハリーの知り合いで誰か使える人がいるのか?』
『うん。近衛兵の中には何人か使える人がいるよ。僕の護衛にも1人いるよ!』
(そりゃ、そうか…魔力のコントロールさえ出来れば使える技だしな。自慢げに見せたのがなんだか恥ずかしくなってきた…)
『そうか!多分同じ技だ。俺はまだ覚えたばかりでまだまだ未熟なんだ…だから修行が必要なんだ。』
『そうか~アランも努力してるんだね!僕も帰ったらちゃんと努力しないとだな…』
『そうだな!どっちが先に立派になれるか競争だな!?』
俺はハリーに手を伸ばす。ハリーは嬉しそうに俺の手を繋ぐ。友情の握手だ。
ふと気付くと、遠くから誰かが走って近づいてくる。
『ハリー様、探しましたよ!』
ちょっとダンディーなおじ様風の男が、大きな声を上げて近づいてくる。
『ハリーお迎えが来たようだぞ!あまり、危ないことするなよ!今日も俺だから良かったが、変なやつに拐われたりしたら危ないからな!』
『うっ!分かったよ…
また、王宮で遊ぼう♪次会えるのを楽しみにしてるからな!』
『探しましたよ!ハリー様。勝手に裏口から逃げ出したりしたら、お父上が心配なさいますぞ!』
『すまなかった…心配をかけたな、レオナルド。』
『ハリー、ちゃんと謝罪できて偉いぞ!えっとレオナルドさん?今回の脱走はあまり叱らないでやって下さい…
この子なりに色々悩んでいたようでした。これから立派になれるよう努力すると言ってましたし、もう大丈夫なはずです。』
『ハリー様、そちらの御仁は?』
『ここで知り合って、友達になったアランだ!今日は、近衛兵の就職試験を受けに来てたそうだ。
レオナルドと一緒で魔力の剣も使える優秀な男だ♪』
(ぐはっ!恥ずかしい。。さっきの自慢げに言ってしまった自分を殴りたい…)
『なんですと?その若さで素晴らしい!そんな優秀な者が近衛兵の仲間になってくれるのは頼もしいな。俺は君の先輩になるレオナルドだ。アラン君だったか?
ハリー様のことも、これからもよろしく頼むよ!』
『はい!ハリーとは友達ですから♪』
『ではハリー様、王宮に戻りましょう。皆が心配をしてますので。アラン君世話になったな…』
2人はそのまま去って行った。
(またひょんなことから王家の人と知り合ったな…まあ、ハリーとはただの友達になっただけだし、また王宮で会ったときに時間あれば遊んでやればいいだろ!)
それから暫くするとビアンカがようやく2次試験を終えて、出てきたようだ。おそらく、一次試験は時間一杯使ったのだろう…
俺はビアンカに3次試験頑張れという言葉と共に、こっそり「攻撃していいんだぞ」と小声でヒントを与えておいた。
何のことか分かってないようだったが、ビアンカならこれで気づけるのは間違いないはずだ。
ちょっとせこいが、恋人と一緒に働きたいんだからこれくらいいいだろ?
予想通り、ビアンカは無事合格とブライト団長から言って貰えたようだ。これで晴れて2人で近衛兵に仲間入りである。明日からの社会人生活が楽しみになってきた!
筋肉で出来た人間と表現すればいいのか…全身ガチムチの2メートルは優に越える大男であった。
俺が目の前まで近づくと…目を「カッ!」と開けたかと思うと、目から光線が出てくるんじゃないかというくらい鋭い眼光で俺を睨んでくる…
『早かったわね!?優秀な受験生なのかしら❤️
私は近衛兵団団長ブライト・ガンクレットよっ♪名前が可愛くないから、ライちゃん団長って呼んでねん♪』
(えっ!?あの体と厳つい顔でオネエキャラなのかよ!?)
俺がブライト団長の存在の濃さに驚愕していると…その巨体からは想像もできない洗練された動きでいつの間にか俺の目の前まで移動していた。
顔の目の前にあの濃い顔が広がる。
『うわっ!?』
俺は突然のことに驚き後ろに後ずさる。
『うん!かわいいお顔してるわ❤️まずは、一時審査合格よん!王家に仕えるものとして、私のように見た目の美しさも大事だからね♪じゃー、次の審査に入るわね…』
(こいつ…鏡見たことないのか?)
俺がそう考えると、ものすごい殺気が降り注ぐ。。
『あんた、今失礼なこと考えたでしょ?女の勘で分かるのよ!』
(お前は女じゃねーじゃん!)
と、つい思ってしまったのは仕方ないだろ?
俺は悪くないだろ?
ブライト団長の腹パンが俺に突き刺さる。
『女の勘で分かるって言ってんだろうが!舐めてんじゃねーぞ!この小わっぱが!!
…次は手加減してやらねーからな!』
ドスの効いた低い声が響く…
(怖すぎる…)
『失礼しました。受験番号44番アランです!』
俺は挨拶をすることでこの場を仕切り直すしかなかった。
『はい!アランちゃんね…じゃー試験を続けるわね♪私が今からこの棒でアランちゃんを手加減して攻撃するから、私が完了と言うまで耐えきって頂戴!道具は、自由に使っていいわ♪
じゃー始めるわよ♪スタート❤️』
始まると同時に、ブライト団長の素早い突きの連続攻撃が襲ってくる。俺は避けれる攻撃は避け、無理そうなものはナイフで流していく。
『へえ!全部捌けるなんて、いい目をしてるわね♪じゃーこれはどうかしら?』
持っていた棒が、横凪ぎに払われる。俺は、咄嗟にしゃがみ躱すが、通り過ぎたはずの棒が再び、今度は低い高さで戻ってくる。慌ててジャンプをして飛び越え、ギリギリで避けられた。
しかし、このままひたすら避けててもキリがない。俺は、着地と同時にブライト団長の棒を持つ手に向けて駆け出す。両手のナイフで自分に向かってくる棒を防御した。根元は威力がほとんどないため、動きを完全に防ぐことに成功する。
俺はそのまま至近距離からブライト団長の顎を目掛けて肘鉄をかます!スウェーで簡単に避けられるが、重心が後ろになったところを脚を引っ掛け、そのまま押し倒す…
…結果は倒れなかった。。ジークハルトといいブライト団長といい、この世界の物理学どうなってるんだよ!体幹が化け物なのか、化け物なステータスが成せることなのか分からないが…
勘弁して欲しい。
『へー面白い攻撃してくるのね?』
そのままブライト団長は俺を羽交い締めにしてしまう。筋肉の圧力で、呼吸も出来ない…痛すぎる。。このままではヤバい…
俺の意識が消える直前、ブライト団長から解放される…
『ゲホッ、ゴホッ…』
『大丈夫?ちょっと愛情を込めすぎたかしら?最後に質問よ!アランちゃんは耐えるように言ったのに、攻撃してきたけどどうして?』
『ゴホッゴホッ…耐えるように言われてましたが、攻撃したらダメなんて言わなかったじゃないですか!?それに攻撃は最大の防御とも言いますので。』
『正解よ!アランちゃんは合格♪今日から近衛兵の仲間よ❤️』
・・おや?俺は合格したらしい…
『ありがとうございます。ブライト団長!しかし、1次や2次試験の結果と合わせて考慮し、明日の発表の筈では?』
『ライちゃん団長よ!1次や2次試験なんて形だけよ。今回は私が審査員になったからには、全て私が決めるわ❤️』
『…っ!』
俺はブライト団長の気持ちいいくらいの自由勝手に何も言えなくなっていた。
『もう1度言うわね!アランちゃんは合格よ♪一応形式的に明日の朝、合格者発表として張り出すから、明日は必ず事務所に行って内定の手続きを済ませるように!後日また会いましょう❤️』
こうして、俺の就職試験は思ってた以上に呆気なく済んでしまった。マンガとかでよくある展開だったから、迷いなく攻撃に移れたのもラッキーだったのかもな…
俺はあまりに早く試験を終えたので、訓練場の外に出て魔力操作の訓練をしながら、ビアンカを待つことにした。最初は瞑想のように目を瞑り、集中しないとできなかったが、今では他の事をしながらでも訓練ができるくらいには成長したのだ。
『何をしてるの?』
ふと、後ろから声を掛けられる。この場に似つかわしくない幼い声に不審に思いつつ振り返る。
そこには、まだ幼い7歳くらいの男の子が立っていた。服装が立派なので、恐らくこの試験の受験している、貴族の家族か何かだろう…
『俺かい?俺は今強くなるための修行をしているんだよ!坊やは迷子になったのかな?家族が心配しているかもしれないし、一緒に探してあげようね。』
『迷子なんかじゃないぞ!すぐそこで僕を探してるやつらをやっと撒いてきたんだ!!』
(かくれんぼか?)
『そうか…でも君をみんなは探してるんじゃないのかい?友達を心配させたらいけないよ!』
『あいつらは友達なんかじゃない!僕には友達なんて1人もいないんだ…これからだって友達なんて出来るわけない!』
(…苛められてるのか?こんな小さいのにかわいそうに…)
『そんなことないさ!君が最初から拒絶さえしなければ、きっとそのうち、君の良さを理解し、共に助け合える友達もできるさ!』
『出来っこない!誰も僕を見ないんだ!皆、僕の父上を見ながら僕に話しかけてくる…父上の子供でなければ僕なんて何の価値もないんだよ!』
『うーん。俺は君の父上がどこの誰だか知らない。俺は今、君自身をみてるんだけどな…』
『それじゃ、僕の友達になってくれよ!どうせ無理なんだろ?』
『分かった!今から俺と君は友達だ♪俺はアラン。今年成人して、今日は近衛兵の就職試験を受けに来たんだ。よろしくな!で、君は?』
『本当か?僕はハリー・クリスタリアだぞ!それでも本当に友達になってくれるのか?』
(この子の父親は王様だったのか。それで…)
『ハリー大丈夫だ!俺とハリーはもう友達だろ!?
父親なんて関係ない。俺は君の姉さんのエリスさんとも友達だ!
同じように父親が誰だとか知る前からな…
…だから、そんな不安そうな顔するな!』
俺はハリーの頭をごしごしと撫でる。
『それと、これは内緒なんだが、俺は実は近衛兵になるんだけど、王家や出世に興味ない。俺は将来、この王都の側にあるラトルという村の村長になる予定だ。
その時がくるまで、少しは友達のエリスさんの役に立てればいいと思っている。勿論ハリーの幸せも願ってるぞ!』
『アラン!ありがとう♪僕に友達が出来たんだ!嬉しいよ。……ヒクッ』
『嬉しい涙は我慢する必要ない!今は好きなだけ泣いたらいい…』
よっぽど嬉しかったのだろう。何分も泣き続ける。頭を撫で続けてやってると、ようやく落ち着いたのか、俺の顔をじっと見てくる。
『アラン、気になったんだけど…聞いていい?
修行をしてたって言ってたけど、ただボーッとしてるようにしか見えなかったんだけど、何の修行なの?それで強くなれるの?』
『あ~…確かに見た感じは、ただボーッとしてるようにしか見えないか。。あの時、俺は体の中の魔力を動かして色々とコントロールしていたんだ。それを頑張ったらこんなことが出来るようになるんだよ!』
俺はナイフを取り出し、魔力を込める…ナイフが紫色に輝きだす。
『魔力の剣じゃないか!アランも使えるんだ!?』
『…も?ハリーの知り合いで誰か使える人がいるのか?』
『うん。近衛兵の中には何人か使える人がいるよ。僕の護衛にも1人いるよ!』
(そりゃ、そうか…魔力のコントロールさえ出来れば使える技だしな。自慢げに見せたのがなんだか恥ずかしくなってきた…)
『そうか!多分同じ技だ。俺はまだ覚えたばかりでまだまだ未熟なんだ…だから修行が必要なんだ。』
『そうか~アランも努力してるんだね!僕も帰ったらちゃんと努力しないとだな…』
『そうだな!どっちが先に立派になれるか競争だな!?』
俺はハリーに手を伸ばす。ハリーは嬉しそうに俺の手を繋ぐ。友情の握手だ。
ふと気付くと、遠くから誰かが走って近づいてくる。
『ハリー様、探しましたよ!』
ちょっとダンディーなおじ様風の男が、大きな声を上げて近づいてくる。
『ハリーお迎えが来たようだぞ!あまり、危ないことするなよ!今日も俺だから良かったが、変なやつに拐われたりしたら危ないからな!』
『うっ!分かったよ…
また、王宮で遊ぼう♪次会えるのを楽しみにしてるからな!』
『探しましたよ!ハリー様。勝手に裏口から逃げ出したりしたら、お父上が心配なさいますぞ!』
『すまなかった…心配をかけたな、レオナルド。』
『ハリー、ちゃんと謝罪できて偉いぞ!えっとレオナルドさん?今回の脱走はあまり叱らないでやって下さい…
この子なりに色々悩んでいたようでした。これから立派になれるよう努力すると言ってましたし、もう大丈夫なはずです。』
『ハリー様、そちらの御仁は?』
『ここで知り合って、友達になったアランだ!今日は、近衛兵の就職試験を受けに来てたそうだ。
レオナルドと一緒で魔力の剣も使える優秀な男だ♪』
(ぐはっ!恥ずかしい。。さっきの自慢げに言ってしまった自分を殴りたい…)
『なんですと?その若さで素晴らしい!そんな優秀な者が近衛兵の仲間になってくれるのは頼もしいな。俺は君の先輩になるレオナルドだ。アラン君だったか?
ハリー様のことも、これからもよろしく頼むよ!』
『はい!ハリーとは友達ですから♪』
『ではハリー様、王宮に戻りましょう。皆が心配をしてますので。アラン君世話になったな…』
2人はそのまま去って行った。
(またひょんなことから王家の人と知り合ったな…まあ、ハリーとはただの友達になっただけだし、また王宮で会ったときに時間あれば遊んでやればいいだろ!)
それから暫くするとビアンカがようやく2次試験を終えて、出てきたようだ。おそらく、一次試験は時間一杯使ったのだろう…
俺はビアンカに3次試験頑張れという言葉と共に、こっそり「攻撃していいんだぞ」と小声でヒントを与えておいた。
何のことか分かってないようだったが、ビアンカならこれで気づけるのは間違いないはずだ。
ちょっとせこいが、恋人と一緒に働きたいんだからこれくらいいいだろ?
予想通り、ビアンカは無事合格とブライト団長から言って貰えたようだ。これで晴れて2人で近衛兵に仲間入りである。明日からの社会人生活が楽しみになってきた!
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