真面目に生きたいのにジョブ遊び人って…ホンマもんの遊び人やん!

3匹の子猫

文字の大きさ
55 / 99

第55話 脱獄

しおりを挟む
その日は、俺がアーガイアに来てからちょうど30日目の朝だった。

朝から、緊張のためかリアムですら、ピリピリしているのが分かる。


(2歳から、この鉱山しか世界を知らないんだもんな…

外の世界に出ることは、俺なんかよりよっぽど重いことに決まってるよな。。

生き別れた母親を探すって言ってたけど、当てはあるのかな?)


俺は、リアムのこれからを思い、色々落ち着いたら、同郷の友として、会いに行こうと決心するのだった。


鉱山での労働の時間になると、リアムの言っていた仲間たちと合流し、素早く行動を開始する。



向かう場所は、いつもリアムが入っていた毒ガスの充満する洞窟だ。

リアムが、毒ガスの洞窟の奥から、外へ繋がる横穴を掘ったそうだ。

さらに前日から、毒ガスが洞窟内に、ほとんど漏れ出さないよう、ガスの通り道を防いできたそうだ。

『洞窟内の毒ガスは、かなり薄くなってるはずだ。布を濡らして、それを通して息をしろ!

出来るだけ短時間で抜けるぞ!俺について来るんだ。』
リアムが、指示をしてくる。


俺たちは、あっという間に、リアムの掘った横穴にたどり着いた。

『後は、ここをまっすぐ一本道だ。

みんなは、そこを駆けて外に出てくれ!出口付近には誰もいない。俺は気配で、皆が安全な地点に出たところで、毒ガスを再び洞窟内に流れるようにする。

それで、追っ手は絶対に来れなくなる。
よし、行け!』



この作戦は、正直リアムがいなければとても実現出来ない、無茶苦茶な作戦だった。

しかし、逆を言えば誰にも想像もできないだろう。

誰が入るだけでも命の危険がある毒ガスの充満する洞窟の奥から、かなりの距離のある外まで横穴を掘るだろう?

俺たちがいなくなった後、この脱出経路に気づける者がいるのかすら怪しいだろう…

リアムは最後に、横穴の出口まできれいに壊して見つからないようにしていた。完璧だ。

戦闘どころか、誰にも気づかれることなく、脱獄は成功した。



俺は何もせず、何も考えもせず、リアムと出会っただけで、この脱獄という難題を、いとも簡単にクリアできた。

この幸運を無駄にしないよう、必ずビアンカのところへ無事にたどり着くことを改めて誓うのだった。



俺は、まずはリアムにお礼をしなければと声を掛ける。
『リアム、ありがとう。お前のお陰でアッサリと脱獄できた。本当に助かった!

これで、婚約者を迎えに行けるよ。俺はこの国の王都へ向かうが、リアムはこれからどこへ向かうんだ?

母親の居場所の検討はついてるのか?』


『どういたしまして。
無事に予定通り成功して良かったよ!

俺の母の現在の居場所は分からない。
だから、先ずは原点である、祖父に会いに行ってみるよ。

帝国アルデバラン内にある、商業都市フィオーレという街だね。』


『リアムは、帝国の出身だったのか?
それじゃー、なかなか簡単には会えないかもな…

もし婚約者と会って、国外に逃げることになったら、俺たちも帝国へ逃げればいいのかもな?』

『大丈夫!そんな遠くない未来に、きっとまた会えるよ。
…何となくそんな気がする。

アランの気配はともかく、ましろちゃんの気配は分かりやすいから、近くにいるようだったら、俺から必ず会いに行くのは約束するよ!』

『あー!絶対にまた会おう!!』
俺は拳をつき出す。

『同郷の友との約束だ!必ず又会おう!!』
リアムは俺の拳に合わせた。



俺たちは、それから、それぞれの目的のために別々の道を歩み出した。

出会いから1ヶ月…期間は短いが、本当の親友との出会いだと思った。この出会いに感謝し、この恩に報いるためにも、今はビアンカの元へ向かうことにした。

『リアム、いいやつだったにゃ!ダーリンの次に気に入ったにゃ。』

『それ、リアムに言ってあげたら、超喜んだだろうに…』

『嫌にゃ!揉みくちゃにされるだけにゃ…』


『よし!俺たちも王都に向かうぞ!?

しかし、どうやって向かうかだな…
全部歩きだと、急いでも10日以上は最低でもかかりそうだ…

近くの街で、乗り合い馬車で向かうにしろ、金も物も武器さえもない。どうやって、金を稼ぐかだな…』

『それは簡単にゃ。私がモンスターを倒したら、ルピー落とすにゃ。私なら武器もいらないにゃ!』

『じゃーお願いできるか?』

『任せるにゃ♪』


こうして、無一文、ぼろ服1枚からの新たな旅が始まった。

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...