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第64話 間違いだらけの選択
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俺は、他の個体に気付かれないよう、姿勢をできるだけ低くして、エリクサラマンダーの体に触り続けている。
既に絶技を使って15分は経過している。残り半分…何とか見つからずに経過してくれ!
もしくは、ヘレンが目覚めてくれ!
その願いは、あたかも叶ったかと思った。ヘレンが目覚めたのだ!
ヘレンは目を覚ますと、
『アランさん!先程の快感は何なんですか?』
『そんな話は後です!今のトラブルで危険が増してます。さっさと街道まで逃げますよ!!
それと、まだスキルが発動してますから、今度こそ絶対に俺には触れないで下さい!!』
俺のその言葉で自分が指示を破ったことで、アランを危険に晒したことを理解したヘレンは、
『すいませんでした。アランさんがあまりにも凄かったんで、頭から指示が抜けてしまって…』
『今は、それももういいので、動けるなら直ぐに動いて下さい!!
街道へ逃げましょう!』
その時だ。近くから、
『ギィイアアー!!ギィイアアー!!!』
という鳴き声が辺りに響いた。ボスの尻尾が無くなってることに気付いた個体が仲間に知らせたのか?
『ヤバい!見つかったようです。囲まれる前に逃げましょう!!』
俺はヘレンに指示するも、ヘレンはまだ足元がおぼつかないようで、早く動けない。
『アランさん、これを!』
何かが、ヘレンさんから投げ渡される。
…マジックバッグだ!
ヘレンは剣を構えている。
『それを持って、ましろちゃんと逃げて下さい。私のせいで、こんなことになってすいませんでした。
もし私のワガママを聞いて貰えるなら、アランさんがラトルでの用事が済んだら、その尻尾を母さんのところへ持って行って貰えませんか?』
『何を言ってるんですか!?ヘレンさんが死んじゃったら、例え病気が治っても、アルマさんが幸せになれるはずないじゃないですか!?
諦めちゃ駄目です!!
きっとまだ何とかなります…』
『まさか、私の不用意な行動が母の幸せを遠ざける結果になるなんて…母さんごめんなさい!
私の死は、私の責任なんです。それでも、その死と引き換えにアランさんと母さんが救われるなら、母さんからどんなに憎まれようと罵られようと私は満足です。
だから、行ってください!』
俺には分かっていた。
今の状況が如何に危険な状況であるかを…
このまま、俺が残っても何の戦力にもならず、ましろやヘレンさんの足手まといになることを…
このままでは、下手したら全滅。。うまくいって、ましろのみ生き残れる状況であることを…
その場合、アルマも戻らぬヘレンを思いながら死ぬことを。
このまま俺がここで死ねば、死んだことすらビアンカは知らずに一生待ち続けるかもしれないことを…
俺は、そこまで分かっていて、何故かヘレンを置いていくことが出来なかった。
『すいません!』
俺はヘレンの腕に触れた。ヘレンは再び絶技の効果で体の自由が効かなくなった。
俺はヘレンの剣をマジックバッグに入れ、ヘレンを抱えて駆け出した。
『ましろ!全力で逃げる。俺たちを守ってくれ!!』
『分かったにゃ!』
(俺は甘かった…!
絶技の効果でヘレンが多少おかしくなっても、俺を男として絶対的に意識する程度…
こうなるリスクは、あの時点でも予測できていた。
命と天秤にする価値はなかった。
まして、そちらを優先させるなんて俺は愚か過ぎる!!
この愚かな俺にもう1度チャンスをくれ!このピンチを乗り切らせてくれ!!)
俺はそう祈りながら、必死に走った。行き先には、少しづつエリクサラマンダーが集まってくる。
ましろは、本日2度目の本気モードでそのエリクサラマンダーたちを撃退してくれている。
しかし、疲労が溜まっている上、多勢に無勢…
徐々に押され始めている…
そして、とうとうエリクサラマンダーの尻尾で殴られ、吹き飛ばされる。
『ましろ!!』
俺たちの目の前には2匹のエリクサラマンダーが、その長い舌をしゅるしゅる伸ばしながら近づいてくる。
(俺は、また間違えたのか?1つも捨てることが出来ずに、結局何も救えず、全てを失うことになるのか…??
ごめん…ビアンカ。。俺死んじゃいそうだ…
もう一度会いたかった…)
俺はヘレンをそっと地面に置いて、両手にナイフを構える。
『でも、最後まで諦めてなんかやるもんか!!』
俺が向かってくるのを見て、エリクサラマンダーは、動き出す。俺の足元に向けて、尻尾が鞭のように襲ってくる。
俺は、ジャンプで上へ避け、そのままエリクサラマンダーの体に飛び付き、ナイフを差し込む。
勿論魔力を込めており、そのまま体を切り裂いた。
しかし、その隙にもう1匹のエリクサラマンダーの口が大きく開かれ、俺の目の前に迫っていた。なんとか避けようとするも、左手を丸ごと食われてしまった…
『ぐぅあーー!!』
痛みから左手のあったところは熱く燃えているようだった。
しかし、俺もまだ諦めてなんてやるつもりはない。俺の左手を咀嚼して油断しているエリクサラマンダーの首を切り裂く。
落ちた首のその口からは、ぐちゃぐちゃになった俺の左手だった物体が転がり落ちる…
右手で押さえつけて止血をしようとするが、なかなか血が止まらない。ずっと動いていたから血がよく巡ってるのだろう…
また新たなエリクサラマンダーが寄ってきているようだ。逃げようにも血が足りないのか、フラフラしている。
このままでは、もって5分ってとこか?
(ここまでか…?
転生までして、俺の人生に何か意味はあったのかな?
いや、まだだ!諦めるな!!
まだ何か方法があるかもしれないだろう!?)
そこで、1つだけ閃いたことをダメ元で実行する。
目の前に転がっているエリクサラマンダーの尻尾の表面を魔法剣で切り裂き、無理やりかぶりついた!
肉は硬く、まずい。
(でも、俺は人の肉をも完食した男だ!可能性が僅かでもあるなら掴め!!)
なんとか咀嚼し、飲み込む。そうすると、みるみるうちに血が止まり、左手の痛みは消えていった…
(取り敢えず1つ可能性を手繰り寄せた!まだだ。。左手は失ったが、俺はまだ生きている!!)
エリクサラマンダーの尻尾は重い病にも効く薬になると聞いていたので、回復効果もあるのではないかと試したのだが上手くいった。
ピンチは続いてるが、俺はまだ最後の瞬間まで諦めない!!
既に絶技を使って15分は経過している。残り半分…何とか見つからずに経過してくれ!
もしくは、ヘレンが目覚めてくれ!
その願いは、あたかも叶ったかと思った。ヘレンが目覚めたのだ!
ヘレンは目を覚ますと、
『アランさん!先程の快感は何なんですか?』
『そんな話は後です!今のトラブルで危険が増してます。さっさと街道まで逃げますよ!!
それと、まだスキルが発動してますから、今度こそ絶対に俺には触れないで下さい!!』
俺のその言葉で自分が指示を破ったことで、アランを危険に晒したことを理解したヘレンは、
『すいませんでした。アランさんがあまりにも凄かったんで、頭から指示が抜けてしまって…』
『今は、それももういいので、動けるなら直ぐに動いて下さい!!
街道へ逃げましょう!』
その時だ。近くから、
『ギィイアアー!!ギィイアアー!!!』
という鳴き声が辺りに響いた。ボスの尻尾が無くなってることに気付いた個体が仲間に知らせたのか?
『ヤバい!見つかったようです。囲まれる前に逃げましょう!!』
俺はヘレンに指示するも、ヘレンはまだ足元がおぼつかないようで、早く動けない。
『アランさん、これを!』
何かが、ヘレンさんから投げ渡される。
…マジックバッグだ!
ヘレンは剣を構えている。
『それを持って、ましろちゃんと逃げて下さい。私のせいで、こんなことになってすいませんでした。
もし私のワガママを聞いて貰えるなら、アランさんがラトルでの用事が済んだら、その尻尾を母さんのところへ持って行って貰えませんか?』
『何を言ってるんですか!?ヘレンさんが死んじゃったら、例え病気が治っても、アルマさんが幸せになれるはずないじゃないですか!?
諦めちゃ駄目です!!
きっとまだ何とかなります…』
『まさか、私の不用意な行動が母の幸せを遠ざける結果になるなんて…母さんごめんなさい!
私の死は、私の責任なんです。それでも、その死と引き換えにアランさんと母さんが救われるなら、母さんからどんなに憎まれようと罵られようと私は満足です。
だから、行ってください!』
俺には分かっていた。
今の状況が如何に危険な状況であるかを…
このまま、俺が残っても何の戦力にもならず、ましろやヘレンさんの足手まといになることを…
このままでは、下手したら全滅。。うまくいって、ましろのみ生き残れる状況であることを…
その場合、アルマも戻らぬヘレンを思いながら死ぬことを。
このまま俺がここで死ねば、死んだことすらビアンカは知らずに一生待ち続けるかもしれないことを…
俺は、そこまで分かっていて、何故かヘレンを置いていくことが出来なかった。
『すいません!』
俺はヘレンの腕に触れた。ヘレンは再び絶技の効果で体の自由が効かなくなった。
俺はヘレンの剣をマジックバッグに入れ、ヘレンを抱えて駆け出した。
『ましろ!全力で逃げる。俺たちを守ってくれ!!』
『分かったにゃ!』
(俺は甘かった…!
絶技の効果でヘレンが多少おかしくなっても、俺を男として絶対的に意識する程度…
こうなるリスクは、あの時点でも予測できていた。
命と天秤にする価値はなかった。
まして、そちらを優先させるなんて俺は愚か過ぎる!!
この愚かな俺にもう1度チャンスをくれ!このピンチを乗り切らせてくれ!!)
俺はそう祈りながら、必死に走った。行き先には、少しづつエリクサラマンダーが集まってくる。
ましろは、本日2度目の本気モードでそのエリクサラマンダーたちを撃退してくれている。
しかし、疲労が溜まっている上、多勢に無勢…
徐々に押され始めている…
そして、とうとうエリクサラマンダーの尻尾で殴られ、吹き飛ばされる。
『ましろ!!』
俺たちの目の前には2匹のエリクサラマンダーが、その長い舌をしゅるしゅる伸ばしながら近づいてくる。
(俺は、また間違えたのか?1つも捨てることが出来ずに、結局何も救えず、全てを失うことになるのか…??
ごめん…ビアンカ。。俺死んじゃいそうだ…
もう一度会いたかった…)
俺はヘレンをそっと地面に置いて、両手にナイフを構える。
『でも、最後まで諦めてなんかやるもんか!!』
俺が向かってくるのを見て、エリクサラマンダーは、動き出す。俺の足元に向けて、尻尾が鞭のように襲ってくる。
俺は、ジャンプで上へ避け、そのままエリクサラマンダーの体に飛び付き、ナイフを差し込む。
勿論魔力を込めており、そのまま体を切り裂いた。
しかし、その隙にもう1匹のエリクサラマンダーの口が大きく開かれ、俺の目の前に迫っていた。なんとか避けようとするも、左手を丸ごと食われてしまった…
『ぐぅあーー!!』
痛みから左手のあったところは熱く燃えているようだった。
しかし、俺もまだ諦めてなんてやるつもりはない。俺の左手を咀嚼して油断しているエリクサラマンダーの首を切り裂く。
落ちた首のその口からは、ぐちゃぐちゃになった俺の左手だった物体が転がり落ちる…
右手で押さえつけて止血をしようとするが、なかなか血が止まらない。ずっと動いていたから血がよく巡ってるのだろう…
また新たなエリクサラマンダーが寄ってきているようだ。逃げようにも血が足りないのか、フラフラしている。
このままでは、もって5分ってとこか?
(ここまでか…?
転生までして、俺の人生に何か意味はあったのかな?
いや、まだだ!諦めるな!!
まだ何か方法があるかもしれないだろう!?)
そこで、1つだけ閃いたことをダメ元で実行する。
目の前に転がっているエリクサラマンダーの尻尾の表面を魔法剣で切り裂き、無理やりかぶりついた!
肉は硬く、まずい。
(でも、俺は人の肉をも完食した男だ!可能性が僅かでもあるなら掴め!!)
なんとか咀嚼し、飲み込む。そうすると、みるみるうちに血が止まり、左手の痛みは消えていった…
(取り敢えず1つ可能性を手繰り寄せた!まだだ。。左手は失ったが、俺はまだ生きている!!)
エリクサラマンダーの尻尾は重い病にも効く薬になると聞いていたので、回復効果もあるのではないかと試したのだが上手くいった。
ピンチは続いてるが、俺はまだ最後の瞬間まで諦めない!!
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