真面目に生きたいのにジョブ遊び人って…ホンマもんの遊び人やん!

3匹の子猫

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第72話 閑話 エメラルドの伝説4

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マルテミスでの一件の後、エメラルドは、王都を治める王族を押さえた後の反抗勢力に対抗するための力を溜め込んでいた。


正直、王や王子たちを篭絡するのは容易い。今すぐにでも、行動を起こせば可能だろう。

しかし、突然権力を持つと出てくるのが、多くの反抗勢力だ。特に暗殺者に日々狙われるのは、堪ったものではない。


今、行っているのは、王国内で有名な武力・知力の持ち主を1人ずつ訪ね、下僕へと変えていっている作業だ。

そのついでに、訪れた先の男の有力者は全て下僕とし、将来に向けて力を蓄えさせているのだ。



マルテミスで下僕になった兵は邪魔だったので、王都の衛兵や門番などに就職させて、潜り込ませている。


国を治めるには優秀な人間が多くいるのだ。

今ではエメラルドの下僕は、王都各地に500人を超えている。



『姉さん、次はどこに向かうんだ?』
エメラルドに声を掛けたのは、ライドウである。

『馬鹿ライドウ!姉さんにはちゃんと敬語を使わねーか!!』
ライドウを諌めてるのは、ライドウの双子の兄であるカイドウである。

『姉さんが、そんなの全然気にしてねーのに、何でカイドウが口を挟むんだよ!?』


この2人は、こう見えてこの国でも数少ないSランク冒険者である。

2人とも1次ジョブは「武道家」、2次ジョブは、

兄のカイドウは、簡単な回復魔法も使える「モンク」
弟のライドウは、破壊する格闘を極めた「グラップラー」

のそれぞれ高レベル者である。

ずっと2人で「マッスル」というパーティー名で冒険者をしていた。


『喧嘩は止めなさい!敬語なんてどうでもいいわ。意味さえ伝われば好きなように話せばいいわ。


次に向かうのは、ごろつきの街「リバーサル」よ!


噂によれば、この街に犯罪組織である「暗殺者ギルド」と「人身売買ギルド」があるそうよ!この2つの組織を傘下に収めるのが今回の目的!!

2人はこの危険な街の人間から、私を守りきるのが仕事よ!』


『『分かったよ姉さん!』』
声が揃う辺りは仲のいい兄弟なのだろう…


リバーサルを外から見ると、まるで監獄のように高い塀に囲まれている。入り口は鋼鉄の門が1つのみ。その入り口には2人の屈強そうな門番が立っていた。

『ここを通りたければ、手形を見せるか、1人500ルピー払え!』

その門番たちは、凄んで言ってくる。

手形とはおそらく、街の関係者からの紹介状のようなものだろう…犯罪者は横の繋がりを大事にするからこそのものだろう。

『どちらもないわ!お前たち2人を屈服させたら通してくれるかしら?』

エメラルドが言った。


本当は現在お金は腐るほどある。辺境伯の隠してた財産に、各地の権力者を軒並み下僕にしてきたために、1つのマジックバッグの中身は全て金貨だったりもする。

おそらく、1億ルピーはくだらないだろう。


『ガッハッハッ!そんなかわいい顔した女が俺たちを屈服させるだと?出来るもんならやってみろ!!』

『絶技!』
小さい声でスキルを発動させ、

『私のパンチを受けて見なさい…』

わざとそう言い、ノロノロと弱い女のパンチの振りをして殴りかかる。案の定、男たちはあまりにもひょろひょろなパンチに避けようとすらしない。

パンチが当たった瞬間、男はあまりの気持ちよさに立ってることすら出来なくなる。

『やられた振りまでしてやるなんて、サービス精神旺盛だな?オイ。』

もう1人も気づいてないようなので、途中までひょろひょろな振りをして、突然素早く動き触れる。同じく崩れ去る。

今はまだ、あまり騒ぎにしたくはないので、この門番2人を調教のスキルを使い痛め付け下僕にしてしまう。痛め付けた傷は、カイドウが魔法で回復させてしまう。


『あなたたちは、指示があるまで今まで通り動きなさい!私たちが街に入った情報は残さないでね!』


この門番のシステムは、手形で入る者が何か街で問題を起こせば紹介者も同罪とする戒めとなり、高いお金で入れば、金を持ったカモが街にいると街中にすぐに情報が回るのがオチである。

それが分かっていたために、門番の2人には、騒ぎを起こさず、静かに下僕に変えたのだ。


街の中に入ると、まずは調教のスキルの効果が切れる前に今日からの拠点探しである。

できるだけ高級な家を探し、ライドウとカイドウの気配感知で家の人間のところへ行き、男は下僕へと変え、女がいるようなら、邪魔そうなら殺す。それで、その家は拠点へ早変わりである。

その家主だった新しい下僕からの情報により、人身売買ギルドの場所が分かった。

食事と休息を十分に取ったら出発である。


『いつものように、女は反抗的なら殺していいわ!男は全員下僕にしちゃうから気絶させるのは構わないけど、殺さないでね!』

人身売買ギルドとは、聞いてそのままの、国の許可された合法の奴隷商人とは違い、非合法な方法で人を売り買いすることを生業にする組織である。人さらいをして、帝国に売り付けたりもしているそうだ。


普通の犯罪者レベルの人間に、ライドウ、カイドウの化け物を止めることは叶わない。男は全員気絶させられ、女は少しでも反抗的な動きを取れば殺すが、そうでなければ気絶だけにしてやってる。

ライドウ、カイドウにかかると気配を読むことが出来るため隠れることすら許されない。

ボスの男は、隠し通路を使い逃げようとしたが、気配が建物の外に移動していることに気づいたカイドウが隠し通路から出ようとしているところを押さえ、確保された。


エメラルドは、調教のスキルを発動させ、男全員に鞭で攻撃する。色々な武器で調教を試したが、鞭が痛みの割には傷が後々残りにくく、中距離で次々と痛め付けられるので、下僕を作るには中々に適した武器なのだ。

男どもを鞭で喜ばせている姿は現代の知識を持つものなら、正に女王様である。


勿論エメラルド自身には、そのような知識はないのだが、本能的にそれを選ぶ辺りに、そのように文化が発展してきた自然な力を感じる。

予定通り、30分ほどで人身売買ギルドは傘下に治めることが出来た。


問題は暗殺者ギルド。人身売買ギルドの下僕たちの情報から、アジトの場所は分かったのだが、情報によると幹部全員が女なのだ。調教が使えず、遊び人のスキルも効かない。


しかし、将来に向けて必ず押さえておきたいギルドなのである。流石に幹部を全員すげ替えるのは、ギルドの運営そのものを阻害しかねないし、

その過程で失敗したら自らの命を奪われかねない。
そんな命をベットするようなギャンブルをする気はない…


暗殺者ギルドに関しては、正攻法で攻めるしかない。



エメラルドは、真っ正面から暗殺者ギルドに入っていった。勿論横にはライドウとカイドウを連れている。

受付でギルドマスターへの面会を希望し、人身売買ギルド長の紹介状を渡し、大きな仕事の依頼だと告げる。


待つこと30分…


ギルドマスターの部屋に案内された。

『私が暗殺者ギルドのマスターを勤める「ゼロ」と申します。わざわざ私に直接依頼の話とは、余程の相手の殺しを希望されるのですね?

当ギルドでは、お金次第でどのような相手でも暗殺させて頂きます。料金は相手次第…前金で半額、成功報酬で残りを頂きます。』

ゼロは丁寧ながら、全く感情の籠っていない声で説明をした。それに対しエメラルドは、ニッコリと微笑み、

『私の依頼は、この先私や、リストを渡す私の下僕を殺したいと依頼してくる全ての者の死、もしくはその情報よ。』


『はい?私どもに依頼者を騙し、殺す、もしくは情報を売れというのですか?

こう見えて、このような仕事は信頼第一なのです。お客様を裏切る行為は出来ません。

せっかく人身売買ギルドのマスターからの紹介だから会ってみれば、時間の無駄でしたね…お引き取り下さい。』


『もうすぐ私は、この世の権力の頂点に立つわ!王や教皇でさえ私にひれ伏すことになるでしょう。

その時に、おそらく私への暗殺の依頼が多く舞い込んでくるわ!』


『虚言癖?妄想癖?しかし、そんなこと言っていたらあなたそれだけで消されるわよ?』


エメラルドは、ニッコリと笑い、1枚の紙と、とても重そうな大きな袋をマジックバッグから取り出し、中身を見せる。中には大量の金貨が詰まってるのが分かる…


『今の発言を信用出来ないなら私と賭けてみない?私があなたの言うように虚言癖や妄想癖なのか、本当に権力の頂点に立つことが出来るのか?

私はこの5000万ルピーを今から1年以内に権力の頂点に立つことが出来るに賭けるわ!

もし、私が勝ったらその5000万ルピーを依頼料として、先程の依頼を受けて頂戴!!もし、私が負けたら、そのままその金はこのギルドのものよ。

暗殺者ギルドには損のない賭けでしょ?勿論、賭けに乗るのなら、誓約の証で誓って頂きますけど…』


『とても正気とは思えないわね…

5000万ルピーもの金を持ってるのもそうだけど、誓約の証まで使ったらたったの1年でそれだけの権力を持てなかった時点で、あなたは何も得ることなく、この金を失うのよ?

普通に考えて金を捨てるようなものだわ!!』


『そちらにとって、受けたくない依頼を受けてもらおうって立場ですから、それくらいのサービスはしないと受けてもらえないでしょ?

それでどう?この賭け受けてもらえるかしら?』

ゼロはしばらくの沈黙の後、
『誓約の内容次第ね!

他に私たちに不利になる内容が記載されてないか確認できたら考えてあげるわ!

私たちギルドでは、その権力を得るために何の力も貸すことはないわ。』


エメラルドはニッコリと笑う。
『前向きになってもらえてうれしいわ。

こちらからの条件は、暗殺者ギルドが私たちの邪魔をしない文言くらいね!5000万ルピーが欲しいからって、誓約した途端私を暗殺されたら堪らないしね…』


『何もしなくても1年待てば手に入るというのに、わざわざそんなことしないわ。

分かったわ!誓約しましょう!』


こうして、5000万ルピー、日本円で言えば50億円という大きな金額の賭けをすることになったのだ。


エメラルドはゼロの反応次第では、この賭けに倍の1億ルピーまで使ってでもよいと考えていた。それほどまでにエメラルドの中で暗殺者ギルドを重要視していたのだ。


この賭けのお陰で、権力を得た後の反抗勢力のあぶり出し、撲滅に大きな効果をあげることが出来たのは間違いない!

そして、エメラルドやその下僕が、暗殺者ギルドからの暗殺からは、生涯狙われずに済むという安心も得ることが出来たのだ!


エメラルドは、懸念していたことが全て解決したため、とうとう権力を取りに王都へ向かうのだった…


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