真面目に生きたいのにジョブ遊び人って…ホンマもんの遊び人やん!

3匹の子猫

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第94話 すれ違っていたそれぞれの願い

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俺が走ってビアンカを追いかけると、思ってた以上に直ぐに追い付いた。

結合の実験が行われた部屋で、ビアンカは泣いていた…


『ビアンカ…』

『アラン?…私この姿になって最初ものすごくショックだった…でもアランが変わらずに優しく接してくれて、この姿でも生きていけるのかな?と思っていた。

でもあの生き物たちを見たら、怖くなったの…私は結局あの生き物たちと同じ…実験の結果生み出された「化け物」なのよ!


…私、人間に戻りたい!難しいことだということは分かってるけど、それを諦めたら私は自分が「化け物」だと認めたことになるような気がするの…

私の我が儘にアランも協力してくれる?』


俺はゆっくりとビアンカに近づき、後ろから抱き締めた。


『ビアンカごめん!俺が間違えていた。

俺はビアンカがここで血を吐き、苦しんでる姿をずっと見ながら、もしかしてビアンカを失うかもとすごく怖かった。結果、ビアンカの頑張りで生き残ってくれた!!

俺はそれだけで満足してしまっていた…

ビアンカが生きていて、傍に居てくれている。それ以上を求めるのを贅沢にすら感じていたんだ…


それは、あくまでも俺の気持ちしか考えてなかった!ビアンカにとっては、今でも悪夢としかいいようのない状況が続いてることにすら気付けずにいた…

こんな駄目な婚約者でごめん。一緒に元の姿に戻せるよう努力しよう!』


『ありがとう…アラン。』



ビアンカはそのまま休息を取ってもらうことにし、俺は兵士たちのところへ戻った。牢を切ることが出来るのは俺だけなので、俺が戻らないといつまでも惨く、悲しいこの作業が終わらないのだ。

俺は兵士の方たちに先ほどのお礼をいい、作業に集中した。可哀想な実験体たちは、モンスターの個体ですら、一切抵抗することなく死を受け入れていた。よほどここの環境が苦痛だったのだろう…

この作業を終えた俺たちの心は虚しさと、帝国への怒りを覚えていた。


この牢の先には、更に螺旋の下り階段が続き、下に降りると生活感のあるスペースが広がった。どうやらグロクテスの生活空間のようだ。

そこには様々な本や、グロクテスが書いただろう資料がところ狭しと置かれていた。資料は全て日本語で書かれており、この世界の人間には暗号にしか見えないだろう。

俺は、資料も本もグロクテスを追う手がかりになるかもしれないので、全て残らずマジックバッグにしまった。


それからこの部屋を隈無く探したが、先に続く道は見つけることが出来なかった。おそらくは何処かに結合や分解を使わないと出入り出来ない逃げ道でもあるのだろう。厄介な能力だ。


俺はこれ以上のここでの探索を諦め、牢に捕らえられた人たちを救出し、この秘密基地から外へ出た。兵士の方たちに救出した人たちを任せ、俺は重力装置を回収し、ビアンカを抱き締めエリーに乗って崖下まで下ってみた。

崖下は真っ暗で俺には何も見えなかったのだが、エリーとビアンカの目には十分黙視可能らしく、探索は任せることにした。探索すること数分で2人は秘密基地への入り口を探し当ててくれた。

中に入るとそこは広い空間に馬小屋と、幾つかの馬車が置かれていた。いざという時はここから逃げるように準備していたのだろう。

しばらく調査をしたが、ここには逃げ先を示すような手がかりは何も残っていなかった。

諦めて砦に戻ろうかと提案したところ、ビアンカがどちらに行ったか匂いで分かるといい始めた。俺たちはエリーに乗って急ぎ追いかけた。

するとあっという間に行き止まりまで到着したのだった。途中には分かれ道も見当たらず行き止まりの先には崖…下を覗き込むと、森が広がっており、そこまで高くはないが、それでも下までの高さ30メートル程はあるようだ。


『匂いはここに残ってるわ!間違いなくここには来たみたい。』

エリーから降り、辺りを探るビアンカは言う。

『崖をまたあの重力の装置で降りたのか?それとも、この辺りにまた秘密の通路が隠されているのか…ビアンカ、匂いはどこに繋がってるかわかるか?』

『そこまでは分からないみたい…一度崖を降りて近くに匂いが残ってるか確認してみましょう?それで下か、隠し通路かハッキリするでしょ?』

『そうだな!エリー頼む。』


俺たちは崖の下まで降りてみた。…が、その辺りには匂いは残っていなかった。

『ということは、何らか別の方法で何処かへ抜ける方法があるということか…

…あのグロクテス博士には、この世界の常識があまりにも当てはまらないから、行動の予測が難しいな…』


上へ戻り、しばらく其処らの壁などを調べたが何も見つけられなかった。念のため崖の両側の上まで登ってビアンカに確認してもらったが上にも匂いは残っていなかった。


結局その日は何も発見出来ず、暗くなる前に諦めて砦に戻ることとなった。


砦に戻ると俺は、グロクテスの残した資料を読み漁った。横でビアンカが資料を見るが、何を書いてるか解らないのだろう…顔をしかめて離れていった。


結論から言うと、グロクテスの潜伏先への手がかりは何もなかった。

それでも、グロクテスの研究についてはおおよそ理解することが出来たため、どうにかビアンカの体から、モンスターの要素だけを分離する方法を考察してみたがなかなかに難しいようだ。


グロクテスの研究によると、モンスターの魔石は死亡すると外に自動的に排出されるが、意図的に排出される前に取り出した魔石は、そのモンスターの特徴を形成する要素を詰め込んだまま取り出せるらしい。それを、そのモンスターの「核」と呼んでいたようだ。

モンスターの核は、取り出して1分もすると普通の魔石と変わらない物に変化するらしく、直ぐに結合をしなければ、そのモンスターの要素は消えてしまうらしい。


どうやらビアンカの体には、ダイヤウルフの核が両手両足の付け根の部分と首と心臓の全部で6箇所が結合されており、意図的に全てを分離するのはかなり難しそうだ。

日本の外科技術ならもしかすると上手く核だけを切り離すことも可能かもしれないが、この世界ではオペという外科的な治療法すらないのが現実だ。


『ビアンカに1つ尋ねたい…

もし完全に人間に戻れなくても、大きな苦痛と引き換えに、今より人間の体に近づける可能性があるとしたら挑戦してみたいか?』


俺の言葉にビアンカは驚いた顔をして、真剣な顔で見つめ返してきた。

『アラン…そんな方法があるの?』

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