ボッチ英雄譚

3匹の子猫

文字の大きさ
上 下
36 / 73

第36話

しおりを挟む
「なるほど…これまでの状況はおおよそ理解した!ロンのこともだが、もうすぐここに閉じ込められているアンデットモンスターたちが自由に動けるようになるとは大変な状況だな…」


 あれから僕たちは旧王都跡地の入り口で話をしています。僕がぎりぎり行けるところまで行き、そのすぐ外側にみんながいる形です。ここならばみんながアンデットモンスターたちに襲われる心配はありません。


僕はニコルさんの作ってくれたスープを飲み、久しぶりに空腹感から解放されました。早速久しぶりに回復魔法を連発していきます。みんなと会ったことにより益々早く外に出られるようになりたいという気持ちが強くなったというのが、その理由です。


 食料はニコルさんから今の僕なら3週間は持ちそうなくらいの量をもらいました。4人はこれから王都へ戻りワイトキングのことを報告し、対策を練って来てくれるそうです。

もし僕がまだここを出られないままでも、2週間後には新たな食料を持ってここに戻って来てくれるそうです。


 僕はようやく危惧するところがなくなり、再び回復魔法のレベル上げに集中できるようになりました。



 さらに10日が経ちました。そして、とうとう僕は解呪の魔法を覚えることに成功したのです!!

その名もカースナギ。
回復魔法がレベル32で覚えることができました。


ここまで上げることを考えると、高名な回復魔法の使い手しか使えないのも理解できます。


早速僕は自分に使ってみました!


「カースナギ!」


 僕は光輝き、あっという間に呪いは消えました。そう、ここまで苦労してきたことがアホらしくなるくらいにアッサリと消えてしまったのです。

ステータスを確認してみると状態異常はすっかり消えていました。



《名 前》 ロン
《ジョブ》 ボッチlv36
《スキル》 

戦闘職(物理)

(共有スキル)
解体術lv1、受け流しlv5、見切りlv6、クイックステップlv4、気配感知lv3、腕力上昇lv4、速度上昇lv5、体力上昇lv4、疲労回復lv8、熱耐性lv4、苦痛耐性lv4、呪耐性lv15

(ウォーリア)
鎚技lv2

(拳闘士)
格闘lv2、格闘技lv1

(シーフ)
暗視lv7


戦闘職(魔法)

(共有スキル)
生活魔法lv6、マルチキャストlv4、魔力消費減少lv13、魔力回復lv12、魔力感知lv8、魔力操作lv8、魔力量上昇lv13

(僧侶)
回復魔法lv32、補助魔法lv2

(魔法盾士)
マジックベールlv2、マジックアーマーlv1


生産職

(共有スキル)
力加減lv7、素材強化lv2、鑑定lv5

(鍛治士)
鍛冶lv4、火力調整lv2

(裁縫士)
裁縫lv4、採寸lv2、糸切りlv2、魔力糸錬成lv3

(薬師)
調合lv7、薬草鑑定lv4、薬草探索lv5


特殊職

(調教師)
縄縛りlv3

(ポーター)
異空間収納lv2


《魔 法》

(生活魔法)
飲水、着火、ミニライト、クリーン、散髪、念写、空気清浄

(回復魔法)
ヒール、キュア、ハイヒール、エクストラヒール、エクストラハイヒール、リジェネ、リジェネーション、ウルトラリジェネーション、カースナギ

(補助魔法)
プロテクトアップ、スピードアップ、パワーアップ、マインドアップ

 
《攻撃技》 

(鎚)
メガインパクト、アーマーブレイク、シェイクインパクト、エネルギーブレイク

(格闘)
風裂拳、風裂脚




 完全に人間に戻ってしまうと、グールの特性が消え、激しい眠気が襲ってきました。考えるとあの夜から一睡もしていなかったのです。仕方のないことなのかもしれません。

さらにこれまで気にならなかったのですが、自分の臭いがあまりに臭くて我慢できなくなりました。

半分グールになってからはあれほど嫌だった臭いが気にならなくなっていましたが、ずっとあの臭い奴らと一緒に過ごしてきたのだから、僕自身にもその臭いが
染み付いていても仕方のないことでしょう。


「空気清浄!クリーン!クリーン!」


念の為、2回クリーンをかけて自分を清潔に戻しました。


あの時よくみんなは僕に「お前くさいぞ!」って言わなかったな?余りに弱ってたから気を使ってくれていたのかな?


 きれいになった僕は早速夢にまでみた旧王都跡地を離れることにしました。

本当に通ることができるのかドキドキしましたが、あの見えない壁に邪魔されることなく無事に外に出ることができました。


 あの夜夜営していた場所に戻ると僕は仮眠をとりました。


警戒しながら寝たつもりだったんですが、疲れていたのでしょう…いつの間にか爆睡していたようです。

気づけば丸2日は寝ていたようです。


 幸い襲撃などはなかったみたいですが、今度からは気をつけないといけません。ソロだとこういうのが命取りになると聞くからです。寝てる間に喉にナイフを刺されれば気づかないうちに死んでしまうでしょうからね…

この国には野盗たちも多く存在するのは常識で、こんなところでぐっすり寝ていたら、物を盗られようと、命を奪われようとやられた方が悪いのです。



うーん。あと2日でみんながここに戻ってくれると約束した日か…このまま王都に戻るとすれ違いになったら困るし、2日くらい当初の予定通り、アンデットモンスターたちを回復魔法で浄化して待っているかな?



 僕は食事を済ませ、再び旧王都跡地へ戻ることにしました。あんなことがあったにも関わらず、僕は不思議と怖くなかったのです。


回復魔法がこの2ヶ月で半端でなく強化されていた僕は、空気清浄と合わさって正に無双でした。

最初は12発も浄化に必要だったスケルトンもヒール1発で浄化できましたし、グールやゾンビも全てヒール1発でした。

それはさらに上位種のアンデットモンスターたちにも変わらずで、スケルトンナイトやリビングデッドすらもただのヒール1発で浄化されていきました。


 回復魔法の射程に入ったアンデットモンスターたちは次々と浄化されていきました。


これまで入ったことのないほど奥へと進んでいるのですが、未だにどのアンデットモンスターもヒール一発です。


 さらに奥に進むと、首のない鎧のアンデットモンスターが現れました。有名な魔物でデュラハーンです。

ここまでで初めてヒール1発では浄化できない相手でした。それでもヒール2発では浄化できましたし、ここからはヒールの上位のハイヒールに変えるとやはり1発で浄化されていきます。

この辺りになると本来はかなり高位な魔物となるので、それを無双している僕はボッチの特性とも相まって次々とレベルが上がっていきます。


 今も死霊の騎士とデュラハーンが侵入者である僕を殺そうと次々に襲い掛かってくるのですが、マルチキャストを使ってハイヒールをほぼ同時に使っていってます。

100匹近くいた魔物たちも僕に近づくことすらできずに浄化されていきます。


「お前か!?私の部下たちを殺してるっていうのは!!」


声をした方を見ると、かなり人間に近いアンデットモンスターでした。その口元を見ると牙が生えており、その背中にはコウモリのような羽が生えているので、おそらくはバンパイヤと呼ばれる高位のアンデットモンスターです。

さらに後ろにはマミーと呼ばれるグールの上位種がゾロゾロとついてきていました。

しおりを挟む

処理中です...