ボッチ英雄譚

3匹の子猫

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第53話

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「僕は部外者ですが、ちょっといいですか?」


「何ですか君は…状況を考えて下さい。」


「薬を飲めるようにする為にひとまず、魔石化してる喉や口元に薬をかけてしまえばよいのではないてすか?

僕たち冒険者は気絶して回復薬を飲めない仲間がいる場合、ひとまずその傷口に直接かけます。効果は薄いですが、一時しのぎにはなります。」


「もしかすると効果はあるのかもしれないが、霊薬シクレーションがそんなに大量に用意できる筈もないだろう?」


「少なくともあと2つは作れます!いや、あと4つは作れます!!」


「本当か!?」


先生よりも先にラルクさんが食いつきました!


「はい。先ほど僕が練習用に作った霊薬シクレーションです。この材料として使ったのは納品で余った花びらを使用しました。これは正直評価Hなのでいまいちの出来です。

同じようにドラゴンバスターさんや疾風迅雷さんも余った花びらをギルドで売る為に持っています。それも使えばおそらくは評価C以上の霊薬シクレーションが残り4つ作成できる筈です!」


「おい!すぐにドラゴンバスターと疾風迅雷を呼び戻せ!!ギルドに向かってる筈だ!!!」


「分かりました!」


すぐに執事の男性が部屋から飛び出ていきました。


「ロン、急いで残り2つの霊薬シクレーションを作成してくれ!!」


「分かりました!それまでこの2つの薬をかけて、サファイアさんの喉や口を少しでも解放しておいて下さい。」



 僕は傍の部屋を借りて再び調合に集中しました。さすがに3度目となるとかなりコツを掴んできました。


「1つはC評価、もう1つはB評価のものができました!」


僕が部屋に戻ると、真っ赤な目をして涙を浮かべたラルクさんが僕を見ていました。


「ロン!お前のいう通りだったぞ!!サファイアに薬をかけることで口元や喉がかなり正常化したのだ!!」


「しかし、薬を飲ませるにはまだまだ足りません。早くその薬を下さい!」


先生が僕から薬を奪い取りエメラルドさんの治療に専念しました。


「ご主人様、ドラゴンバスターと疾風迅雷の皆様に戻って頂きました!部屋の外に待って頂いております。すぐに対応お願いします。」


「分かった!」


結果は、残りの花びらをそれぞれ白金貨1枚ずつで買い取ることで、話がついたようでした。


 僕は早速それらを使い、残り2つの霊薬シクレーションを作成しました!!評価はどちらもBでした!!


「完成しました!今度は両方B評価です!これでどうにかサファイアさんを救って下さい!!」



 それから10分、僕はもうすることもなかったので執事に案内され、別の部屋で待機してました。

そこへラルクさんや治療に当たっていた先生、そして綺麗な女性が入ってきました。


ラルクさんは部屋に入るなり、僕の肩をガシッと掴み、抱き締められました。


「ロン!よくやってくれた!!

お前のお陰で、私は娘を失わずに済んだ!心の底から感謝する!!!」


「あなたがロン様ですね?私はサファイアの母、つまりこの人の妻です。この度は、私たちの娘をお救い頂き感謝致します。」


と綺麗な女性は深々と頭を下げられました。


「まさか冒険者に君のような薬師がいるとは驚いたよ!今回は僕も勉強になった!!本当にサファイアさんを救うことができて良かった!

私はこの貴族街で治療士をしているハクレイ·マトソンだ!」


ハクレイさんは僕に握手を求め、力強い握手を結びました。



「サファイアさんは助かられたんですね!?本当に良かったです!!安心しました。

それでは僕は冒険者ギルドへ報告もありますのでこれで失礼します。」



 僕が満足気に部屋を出ていこうとすると、


「待ちたまえ!今回のこと何の報酬も渡さずに帰す筈がないであろう!ひとまずこれを受け取りたまえ!!」


それは白金貨10枚でした。


「えっ?こんなにですか?」


「いや、それでも少なすぎる!だが今回ロンが我々にしてくれたことはお金では計算できないのだ!だから私は誓おう!!

イライザー家当主、ラルク·ハイ·イライザーとして宣言する!我が一族は生涯何があろうとロンの後ろ盾になることを!!

今日よりロンは我らイライザー家の盟友となった!!!」



えっ?えっ?えっ?どういうこと?後ろ盾って?盟友って?全く状況が分からないよー!!


「あの…その…そんなに言ってもらえて嬉しいです…ありがとうございます。」


僕はこう返すだけで精一杯でした。



 僕にはこれがどんなに凄いことなのか全く理解できていませんでした。その力の凄さを知るのにはそう時間はかかりませんでした。

翌朝から僕のところには、多くの貴族から「養子にならないか?」、「うちの娘と結婚してくれ!」と押し寄せるようになりました。


 さらには大きな商人たちからも同じように養子や縁組みの話が殺到しました。それだけに留まらず、これまて僕になんて見向きもしなかった女性冒険者たちからも次々と誘惑されるようになりました。



「フィヨルドさん、僕はどうすればよいのですか?」


 僕は逃げ回るのにも疲れてしまい、逃げ込んだ現在冒険者ギルドで再会したドラゴンバスターのフィヨルドさんに相談をしているところです。


「結論から言おう!どうしようもない!!あれから何があって、あのラルクさんからそれだけ気に入られたのかは知らないが、彼が一族当主としてロンの後ろ盾になったんだ!

それはこの国でロンに少しでも悪さをすれば、この国にはいられなくなるってことだ!逆にロンを身内に入れてしまえば、その一族はあらゆる面で優遇されるようになるということだ!!」


「あらゆる面ですか?」


「イライザー家の凄さを分かってないのか?政治、経済、武力どれにおいてもこの国でイライザー家に勝る家はない!

つまりは君が誰かと結婚でもしない限りはこの騒ぎは収まりはしないのさっ!」


「そんなー!こんな状況じゃ、どこにもゆっくり過ごせる場所がないじゃないですか!?」


「だろうな…だが!マイナスばかりではないぞ!イライザー家の後ろ盾を持つロンにはたとえ王であっても不利益な依頼を強要できないだろうし、冒険者ギルドもロンが受けようとする依頼にはチェックを入れ、少しでも怪しい点があれば受けること自体を止めておくよう勧められるだろう。

犯罪組織たちもイライザー家に睨まれれば壊滅は免れない!ロンの周りの人間におかしなことをしようとすることはなくなる。

さらには商業ギルドからも何かと優遇されると思うぞ!」


「そんなに悪目立ちするなら、これまでのままの方が良かったですよ。。困りました。」


「普通は泣いて喜ぶようなことなんだがな?冒険者なんて目立ちたがり屋の集まりのような存在だしな!世間に認められることはそれだけでステータスだ!

まあ、今さら元には戻れんからな!ゆっくりとする場所を欲しいのなら、ホームでも買うことだ!」


「ホームですか?Cランク冒険者の僕が持っていいものなんでしょうか?」


「何を言っているんだ?昨日の稼ぎだけでも小さなホームくらいは十分に買えるだろう?ホームを持つのはランクは関係ない!稼ぎ次第だ!!

実力さえあれば、年齢や生まれも関係なく成り上がれる!!それが冒険者のいいところだ!

ロン!誰にも遠慮するな!!お前の実力で稼いだ金だ!好きなだけお前の欲しいものを買え!!そして、それが次の仕事を成功させる為の原動力にもなる!!


まあ…借金だけはするな!俺も昔それで一度苦労したことがある。」


「フィヨルドさんがですか?意外です!」


「まあな…カッコ悪いから他の奴には内緒で頼む!」


「わ、分かりました。」



 ホームか…昨日の稼ぎは白金貨11枚。正直貴族が住むような豪邸でも買えそうです。今のまま宿で生活は…今朝のあの状況を考えると宿に迷惑になりそうです。

カッシュたちがたまたま護衛の依頼でいなかったことが不幸中の幸いでした。


よし!決めた!!

今からホームを探しに商業ギルドに行ってみよう!

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