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本編
8月 ② side Khoki
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あの熱が忘れられない。
放たれるフェロモンは官能的なのにとても心地よくて、熱い吐息ごと唇を塞ぐと頭が痺れるくらい気持ち良かった。
苦しそうな様子に唇を離すと荒い呼吸で酸素を求めて吸い込むのに、息も整わない内に首の後ろに回した腕を引き寄せて「もっと、もっと」と涙を浮かべて強請る唇にまた引き寄せられて塞ぐ。
何度も何度もそうした。
あんなこと初めてだった。
最後までしなかったのも初めてだった。
いつもの俺なら、相手のことなんて気遣うことはせず、好き勝手にやっていた。
相手も気持ち良く喘いでいるから、気にする必要はないから。
あの後、気を失った結季に俺の精液を口移しで飲ませると発情期が落ち着いた。
服を整えてから保健室に運び、後のことを保健医に任せた。
結季はそのまま夏休みが入るまで休んだらしい。
終業式の日、廊下で保健医に呼び止められ、結季があの時飲んだ薬が欲しいとしつこく聞かれたけどないと答えたと教えてくれた。
そりゃ言えるわけないよな。
そのまま夏休み入り、俺も実家に帰省しているため、始業式まで結季に会えない。
休み中、俺と会いたいと連絡してくるヤツはいたが、俺は別に会わなくても平気だった。
のに、結季に会えないことは、すごくもどかしかった。
声が聞きたいなんて……。
こんなことなら、連絡先くらい交換しておくべきだったと今更ながら後悔した。
「お兄ちゃん、プール行こ」
9つ下の妹がノックもせずに部屋に入ってきた。
妹とは半分だけ血が繋がっている。
母親と再婚相手の間にできた子だ。
義父は血の繋がらない俺を実の子供として育ててくれている。
だから、本当の父親について知りたいとは思うことはなかった。
いや、再婚する前から知りたいとは思っていなかった。
妹は俺の顔を覗き込みながら「行こう」と腕を引っ張る。
妹は人と違う俺の瞳に気にする様子もなく覗き込んだ。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
子供の頃に発現したこの瞳は、暫くコンタクトで誤魔化していた。
中学に上がると、俺は声を掛けてきた女に誘われてセックスを覚えた。
アルファである俺は、どこに行っても男女問わず誘われて、相手に誘われるまま望む行為をした。
そんな日々を過ごしていると、毎日のコンタクト脱着が煩わしくなり、裸眼で出掛けるようになった。
好奇の目で俺を見る人が増え、前より誘われることが増えた。
皆、俺の金の瞳がコンタクトだと思ってよく似合うと褒めてくれたが、裸眼と気付く人はいなかった。
試しに裸眼だと教えたことがあった。
だけど怯えた目をされたから、すぐ冗談だと言った。
それ以来、この瞳が裸眼だということを俺から言うことはなくなったし、褒められても聞き流すようにした。
家族は俺の瞳を見ても全く動じない。
至って普通だ。
それは、俺にとって一番ありがたい事だった。
高校に上がると、より声を掛けられることが増えた。。
ある日、オメガの男に誘われてホテル行くとその男が発情期に入った。
発情期のオメガとの行為は何度かあったが、なぜか俺にはそのフェロモンで理性を失うことはなかった。
その日も俺は至っていつも通りにオメガの男を抱いた。すると男は何を勘違いしたのか、項を噛んで欲しいと何度も強請ってきた。
いつもは聞き流していたが、耳元でキャンキャン騒がれイライラした。遂に男を黙らせるため項ではなく肩を噛んだ。
すると、男の発情期は止まった。
それからは、面倒くさいオメガの発情期に遭遇した時は身体のどこかを噛むようになった。
だが、あの日の結季には効かなかった。
それどころか、俺は初めてオメガのフェロモンに当てられた。
結季は俺が出会った人の中では、全てが想定外の男だった。
俺の瞳について聞くことはせず、「目が綺麗」と言い嬉しそうに顔を寄せてきた。
そして、発情期の熱に翻弄された結季の「お星さまみたいだ」の言葉に、遠い昔の記憶を思い出させた。
俺は結季のことをもっと知りたくなった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「お兄ちゃーん」
俺の悩みなんて妹は気にも留めない。
俺は支度をして茶色に見えるコンタクトを着けると、妹に手を引かれ市民プールに行った。
夏休みは、あと半月以上残っている。
長いな…。
放たれるフェロモンは官能的なのにとても心地よくて、熱い吐息ごと唇を塞ぐと頭が痺れるくらい気持ち良かった。
苦しそうな様子に唇を離すと荒い呼吸で酸素を求めて吸い込むのに、息も整わない内に首の後ろに回した腕を引き寄せて「もっと、もっと」と涙を浮かべて強請る唇にまた引き寄せられて塞ぐ。
何度も何度もそうした。
あんなこと初めてだった。
最後までしなかったのも初めてだった。
いつもの俺なら、相手のことなんて気遣うことはせず、好き勝手にやっていた。
相手も気持ち良く喘いでいるから、気にする必要はないから。
あの後、気を失った結季に俺の精液を口移しで飲ませると発情期が落ち着いた。
服を整えてから保健室に運び、後のことを保健医に任せた。
結季はそのまま夏休みが入るまで休んだらしい。
終業式の日、廊下で保健医に呼び止められ、結季があの時飲んだ薬が欲しいとしつこく聞かれたけどないと答えたと教えてくれた。
そりゃ言えるわけないよな。
そのまま夏休み入り、俺も実家に帰省しているため、始業式まで結季に会えない。
休み中、俺と会いたいと連絡してくるヤツはいたが、俺は別に会わなくても平気だった。
のに、結季に会えないことは、すごくもどかしかった。
声が聞きたいなんて……。
こんなことなら、連絡先くらい交換しておくべきだったと今更ながら後悔した。
「お兄ちゃん、プール行こ」
9つ下の妹がノックもせずに部屋に入ってきた。
妹とは半分だけ血が繋がっている。
母親と再婚相手の間にできた子だ。
義父は血の繋がらない俺を実の子供として育ててくれている。
だから、本当の父親について知りたいとは思うことはなかった。
いや、再婚する前から知りたいとは思っていなかった。
妹は俺の顔を覗き込みながら「行こう」と腕を引っ張る。
妹は人と違う俺の瞳に気にする様子もなく覗き込んだ。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
子供の頃に発現したこの瞳は、暫くコンタクトで誤魔化していた。
中学に上がると、俺は声を掛けてきた女に誘われてセックスを覚えた。
アルファである俺は、どこに行っても男女問わず誘われて、相手に誘われるまま望む行為をした。
そんな日々を過ごしていると、毎日のコンタクト脱着が煩わしくなり、裸眼で出掛けるようになった。
好奇の目で俺を見る人が増え、前より誘われることが増えた。
皆、俺の金の瞳がコンタクトだと思ってよく似合うと褒めてくれたが、裸眼と気付く人はいなかった。
試しに裸眼だと教えたことがあった。
だけど怯えた目をされたから、すぐ冗談だと言った。
それ以来、この瞳が裸眼だということを俺から言うことはなくなったし、褒められても聞き流すようにした。
家族は俺の瞳を見ても全く動じない。
至って普通だ。
それは、俺にとって一番ありがたい事だった。
高校に上がると、より声を掛けられることが増えた。。
ある日、オメガの男に誘われてホテル行くとその男が発情期に入った。
発情期のオメガとの行為は何度かあったが、なぜか俺にはそのフェロモンで理性を失うことはなかった。
その日も俺は至っていつも通りにオメガの男を抱いた。すると男は何を勘違いしたのか、項を噛んで欲しいと何度も強請ってきた。
いつもは聞き流していたが、耳元でキャンキャン騒がれイライラした。遂に男を黙らせるため項ではなく肩を噛んだ。
すると、男の発情期は止まった。
それからは、面倒くさいオメガの発情期に遭遇した時は身体のどこかを噛むようになった。
だが、あの日の結季には効かなかった。
それどころか、俺は初めてオメガのフェロモンに当てられた。
結季は俺が出会った人の中では、全てが想定外の男だった。
俺の瞳について聞くことはせず、「目が綺麗」と言い嬉しそうに顔を寄せてきた。
そして、発情期の熱に翻弄された結季の「お星さまみたいだ」の言葉に、遠い昔の記憶を思い出させた。
俺は結季のことをもっと知りたくなった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「お兄ちゃーん」
俺の悩みなんて妹は気にも留めない。
俺は支度をして茶色に見えるコンタクトを着けると、妹に手を引かれ市民プールに行った。
夏休みは、あと半月以上残っている。
長いな…。
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