60 / 78
番外編 瑠可/楓
番外編 Luka-16
しおりを挟む
ボクは楓兄に気持ちを伝えて両思いになった。
所謂、恋人同士。
頬の腫れは、その日完全に引かなくて楓兄に笑われたけど、結季くんはすごく心配してくれた。
結季くんに楓兄に告白して両思いになったことを伝えたら、「おめでとう!」と抱きしめてくれた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
無事に両思いになって涙も落ち着いた頃に、大事なことを思い出した。
「か、楓兄!」
「なんだよ、つか、名前戻ってる」
「そんなことより、め、面接っっ!」
「あー、ま、いっか」
「良くない!」
あまりにもあっけらかんに笑う楓兄にボクは焦った。
篠崎さんが電話をかけた時、面接の直前だったはず。
それから30分ほどでボクの元に来た。
それは、面接を蹴って来たってことだ。
ボクのせいで、ここまで頑張った楓兄の努力が泡となったのに、当の本人は気に求めていない様子に申し訳なさを超えて腹が立った。
「入りたいって言ってた会社じゃない。それをボクのせいでダメにして、なんで笑ってるの……あ、違……ご、ごめんなさい…」
「瑠可のせいじゃない。俺のために来たんだ」
「楓…」
「惚れたやつ守れない奴がまともな仕事なんかできるわけない。だから、これが正解」
「ほれっ…」
『惚れたやつ』って臆面なく言う楓兄にボクの顔はゆでだこみたいに真っ赤になる。
嬉し恥ずかしすぎて涙が出そう。
「ほーら、これ以上泣いたらまたブサイクな顔になるぞ」
ボクは自分から楓兄に抱きついた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
それから、毎日、楓兄と連絡をして、週末はデートした。
といっても、楓兄は就活中で忙しいから、ちょっとお茶だけとか、ご飯だけで、まともなデートはしてない。
先週は楓兄がたまたま1日空いているからと映画を観に行くことになったのに、何見るか話してる途中で楓兄のスマホに着信があって、呼び出されたからって映画はまた今度になった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
そんなボクは少しだけ不満だ。
デートができないことじゃない。
今は少しの間でも顔が見れるだけで幸せだから。
問題はそこじゃない!
楓兄はボクと会うと手を繋いだりハグしたりしてくれるけど、それ以上のことはしてくれない。
ぶっちゃけ、ボクはキスしたりその先のこととか、もっとイチャイチャしたいのにぃ!
楓兄がボクのことを好きでいてくれるのは一緒にいたら感じる。
それだけじゃ足りないんだよぉー。
傍で結季くんと皇貴先輩を見てるからそう思っちゃう。
2人が羨ましい。
そんな欲求不満なボクに楓兄からメッセージが来た。
映画のリベンジの連絡だった。
映画リベンジの当日はよく晴れた。
楓兄が寮まで迎えに来てくれて、手を繋いで出掛けた。
ご飯食べて。
映画見て。
お茶して。
散歩して…。
「そろそろ帰るか」
「えっ…」
それだけ?
また、何もないの?
「瑠可?」
「…ヤダ。まだ帰らない」
「るー」
「なんで、なんで楓は何もしてくれないの?ボクは楓とキスしたい。その先も……楓が好きだから…好きなのに」
「瑠可」
楓兄の胸を何度も叩くボクを優しく包んで背中をさすってくれる。
「ううっ」
「瑠可……ちょ…マジで痛い」
ボクが真剣に訴えて泣いているのに、デリカシーないんだから。
その胸にゴンって頭突きをしたら頭の上から「うっ」て呻き声が聞こえた。
「あのなぁ、俺はしないんじゃなくて、できないの」
「なんで?」
尋ねると、視線を逸らされた。
その顔は少し赤い。
「なんでって……こう見えて、俺、いっぱいいっぱいなんだよ」
こっちを見て言い放つ楓兄の顔は真っ赤になっていて、すごく可愛い。
意外にヘタレな楓兄に背伸びをしてキスをしようとしたけど、少し届かなくてボクの唇は顎に当たった。
「へっ…?」
驚いて目をまんまるにする楓兄も可愛いくてクスクスと笑う。
笑ってて気づかないうちに、グッと顔を近づけてきた楓兄にキスをされた。
「ふえっ?」
最初は触れるだけ。
次はキスの上唇、下唇を食まれて舐められた。
その次は少しだけ開けた口に楓兄の舌が入ってきた。
楓兄の胸に添えた手にドクンドクンと速い鼓動が伝わって、ボクの心臓も同じくらいドキドキした。
もう少し…。
もう少し…。
楓兄はそう言って、口腔内に差し込んだ舌はボクの舌をずっと絡めて離さなかった。
長い長いキスは、ボクの心だけでなく身体も満たされたはずなのに、まだ足りなかった。
「か、かえでぇ」
「ん?」
キスの合間に名前を呼ぶと、楓兄は止めてボクの顔を覗き込む。
頬を撫でられ、涙を流していたことに気づく。
「ボク……楓の番になりたい…。お願い、ボクを楓の番にして…」
泣きながら訴えるボクを楓兄は目を大きくして少しの間見つめ合った後、フワッと笑った。
その目から一筋涙が溢れた。
「瑠可…ありがとう」
楓兄は優しいキスをしてくれた。
その唇は少しだけ震えていた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
11月。
発情期を迎えたボクは楓の番になった。
ボクの人生で一番幸せで、最初の瞬間だった。
こらから、ボクは楓とたくさんの幸せな瞬間を迎えるんだ。
そんな幸せな未来が待っている。
side Luka end
____________________
【瑠可視点】の話はここで終わりです。
次は【楓視点】の話になります。
ここまでの話の楓バージョンになります。
瑠可からは見えなかった楓に興味がありましたら、引き続きよろしくお願いします。
所謂、恋人同士。
頬の腫れは、その日完全に引かなくて楓兄に笑われたけど、結季くんはすごく心配してくれた。
結季くんに楓兄に告白して両思いになったことを伝えたら、「おめでとう!」と抱きしめてくれた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
無事に両思いになって涙も落ち着いた頃に、大事なことを思い出した。
「か、楓兄!」
「なんだよ、つか、名前戻ってる」
「そんなことより、め、面接っっ!」
「あー、ま、いっか」
「良くない!」
あまりにもあっけらかんに笑う楓兄にボクは焦った。
篠崎さんが電話をかけた時、面接の直前だったはず。
それから30分ほどでボクの元に来た。
それは、面接を蹴って来たってことだ。
ボクのせいで、ここまで頑張った楓兄の努力が泡となったのに、当の本人は気に求めていない様子に申し訳なさを超えて腹が立った。
「入りたいって言ってた会社じゃない。それをボクのせいでダメにして、なんで笑ってるの……あ、違……ご、ごめんなさい…」
「瑠可のせいじゃない。俺のために来たんだ」
「楓…」
「惚れたやつ守れない奴がまともな仕事なんかできるわけない。だから、これが正解」
「ほれっ…」
『惚れたやつ』って臆面なく言う楓兄にボクの顔はゆでだこみたいに真っ赤になる。
嬉し恥ずかしすぎて涙が出そう。
「ほーら、これ以上泣いたらまたブサイクな顔になるぞ」
ボクは自分から楓兄に抱きついた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
それから、毎日、楓兄と連絡をして、週末はデートした。
といっても、楓兄は就活中で忙しいから、ちょっとお茶だけとか、ご飯だけで、まともなデートはしてない。
先週は楓兄がたまたま1日空いているからと映画を観に行くことになったのに、何見るか話してる途中で楓兄のスマホに着信があって、呼び出されたからって映画はまた今度になった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
そんなボクは少しだけ不満だ。
デートができないことじゃない。
今は少しの間でも顔が見れるだけで幸せだから。
問題はそこじゃない!
楓兄はボクと会うと手を繋いだりハグしたりしてくれるけど、それ以上のことはしてくれない。
ぶっちゃけ、ボクはキスしたりその先のこととか、もっとイチャイチャしたいのにぃ!
楓兄がボクのことを好きでいてくれるのは一緒にいたら感じる。
それだけじゃ足りないんだよぉー。
傍で結季くんと皇貴先輩を見てるからそう思っちゃう。
2人が羨ましい。
そんな欲求不満なボクに楓兄からメッセージが来た。
映画のリベンジの連絡だった。
映画リベンジの当日はよく晴れた。
楓兄が寮まで迎えに来てくれて、手を繋いで出掛けた。
ご飯食べて。
映画見て。
お茶して。
散歩して…。
「そろそろ帰るか」
「えっ…」
それだけ?
また、何もないの?
「瑠可?」
「…ヤダ。まだ帰らない」
「るー」
「なんで、なんで楓は何もしてくれないの?ボクは楓とキスしたい。その先も……楓が好きだから…好きなのに」
「瑠可」
楓兄の胸を何度も叩くボクを優しく包んで背中をさすってくれる。
「ううっ」
「瑠可……ちょ…マジで痛い」
ボクが真剣に訴えて泣いているのに、デリカシーないんだから。
その胸にゴンって頭突きをしたら頭の上から「うっ」て呻き声が聞こえた。
「あのなぁ、俺はしないんじゃなくて、できないの」
「なんで?」
尋ねると、視線を逸らされた。
その顔は少し赤い。
「なんでって……こう見えて、俺、いっぱいいっぱいなんだよ」
こっちを見て言い放つ楓兄の顔は真っ赤になっていて、すごく可愛い。
意外にヘタレな楓兄に背伸びをしてキスをしようとしたけど、少し届かなくてボクの唇は顎に当たった。
「へっ…?」
驚いて目をまんまるにする楓兄も可愛いくてクスクスと笑う。
笑ってて気づかないうちに、グッと顔を近づけてきた楓兄にキスをされた。
「ふえっ?」
最初は触れるだけ。
次はキスの上唇、下唇を食まれて舐められた。
その次は少しだけ開けた口に楓兄の舌が入ってきた。
楓兄の胸に添えた手にドクンドクンと速い鼓動が伝わって、ボクの心臓も同じくらいドキドキした。
もう少し…。
もう少し…。
楓兄はそう言って、口腔内に差し込んだ舌はボクの舌をずっと絡めて離さなかった。
長い長いキスは、ボクの心だけでなく身体も満たされたはずなのに、まだ足りなかった。
「か、かえでぇ」
「ん?」
キスの合間に名前を呼ぶと、楓兄は止めてボクの顔を覗き込む。
頬を撫でられ、涙を流していたことに気づく。
「ボク……楓の番になりたい…。お願い、ボクを楓の番にして…」
泣きながら訴えるボクを楓兄は目を大きくして少しの間見つめ合った後、フワッと笑った。
その目から一筋涙が溢れた。
「瑠可…ありがとう」
楓兄は優しいキスをしてくれた。
その唇は少しだけ震えていた。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
11月。
発情期を迎えたボクは楓の番になった。
ボクの人生で一番幸せで、最初の瞬間だった。
こらから、ボクは楓とたくさんの幸せな瞬間を迎えるんだ。
そんな幸せな未来が待っている。
side Luka end
____________________
【瑠可視点】の話はここで終わりです。
次は【楓視点】の話になります。
ここまでの話の楓バージョンになります。
瑠可からは見えなかった楓に興味がありましたら、引き続きよろしくお願いします。
24
あなたにおすすめの小説
あなたの家族にしてください
秋月真鳥
BL
ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。
情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。
闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。
そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。
サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。
対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。
それなのに、なぜ。
番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。
一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。
ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。
すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。
※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
【本編完結】あれで付き合ってないの? ~ 幼馴染以上恋人未満 ~
一ノ瀬麻紀
BL
産まれた時から一緒の二人は、距離感バグった幼馴染。
そんな『幼馴染以上恋人未満』の二人が、周りから「え? あれでまだ付き合ってないの?」と言われつつ、見守られているお話。
オメガバースですが、Rなし全年齢BLとなっています。
(ほんのりRの番外編は『麻紀の色々置き場』に載せてあります)
番外編やスピンオフも公開していますので、楽しんでいただけると嬉しいです。
11/15 より、「太陽の話」(スピンオフ2)を公開しました。完結済。
表紙と挿絵は、トリュフさん(@trufflechocolat)
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
泡にはならない/泡にはさせない
玲
BL
――やっと見つけた、オレの『運命』……のはずなのに秒でフラれました。――
明るくてお調子者、だけど憎めない。そんなアルファの大学生・加原 夏樹(かはらなつき)が、ふとした瞬間に嗅いだ香り。今までに経験したことのない、心の奥底をかき乱す“それ”に導かれるまま、出会ったのは——まるで人魚のようなスイマーだった。白磁の肌、滴る水、鋭く澄んだ瞳、そしてフェロモンが、理性を吹き飛ばす。出会った瞬間、確信した。
「『運命だ』!オレと『番』になってくれ!」
衝動のままに告げた愛の言葉。けれど……。
「運命論者は、間に合ってますんで。」
返ってきたのは、冷たい拒絶……。
これは、『運命』に憧れる一途なアルファと、『運命』なんて信じない冷静なオメガの、正反対なふたりが織りなす、もどかしくて、熱くて、ちょっと切ない恋のはじまり。
オメガバースという世界の中で、「個」として「愛」を選び取るための物語。
彼が彼を選ぶまで。彼が彼を認めるまで。
——『運命』が、ただの言葉ではなくなるその日まで。
追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜
あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。
行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。
異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる