結婚を前提に異世界にきてくれませんか？

第2部

2-28

「クリスマス、パーティーですか？先輩と、2人で？」
「えっ？イヤイヤイヤ。シフシさんと3人だろ。仲間はずれにするなよ」

オレが慌てて否定すると、「そうですね」とペロっと舌を出してイチゴくんは笑う。
その顔、絶対本気だっただろ。

「それならチキンとケーキはシフシに作ってもらいますね。折角ですし」

たしかにシフシさんの料理は美味かった。
つか、さっきは仲間はずれにしてたシフシさんに作らせるって、イチゴくんそこそこ意地悪だな。

「折角だからこそ、ウチのコンビニのチキンとケーキにしようぜ。結構美味いんだぜ。まあ、買うっつっても売れ残ったやつになるけど……」

24日に売れ残ったケーキとチキンは翌日ちょっと値引きが入る。
チキンは売り切れても25日も販売するから翌朝入荷分を買えばいい。
メインのケーキは必ず売れ残りが出るから大丈夫だ。
毎年店長が買い取ってその時シフト入っているみんなで美味しくいただいていたから。
去年オレは受験の追い込みで休みを取っていたけど、店長に呼ばれ塾に行く前に寄ったらご馳走してもらった。
「この後、頭いっぱい働かせるんから糖分たくさん取らなきゃね」って。
その優しさに目と鼻から雨が降った。

だから、今年はオレも残ったケーキを買って帰ろうと思っていた。
うちは家で母さんがケーキやチキンを買うから買って帰らなくても問題はないんだけど、今年はケーキはなくなっている可能性が高い。
だから保険をかけておこう、と思っていたけど予定変更だ。
今年はクリスマスを知らないイチゴくんに庶民のクリスマスの楽しさを教えてやろう。

「じゃあ、当日バイト終わったらチキンとケーキ買って淡雪くん家チに直行だ」
「はいっ！」


駅前でイチゴくんと別れたオレは、電車に乗り込むとポケットからスマホを取り出し検索を始めた。