結婚を前提に異世界にきてくれませんか？

第2部

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昨日のお茶会でバラ園でオレとマリフェス様がいるところに突進してきたマルタ嬢は何もないところで躓いた。
反射的に飛び出したオレは地面に落ちる前にマルタ嬢を受け止めることができたのだが、そのままマルタ嬢に潰されてしまった。

「マルタ様、お怪我はないですか？」

飛び起きたマルタ嬢に声を掛けたのだが……

「イヤーッ！平民が伯爵家のわたくしに触れるなんて、無礼者っ」

バシッ

マルタ嬢から繰り出された張り手……じゃなくて平手にオレは吹っ飛び地面に叩きつけられた。

「マ、マルタさんっ、貴女を助けたユームさんに何をなさってるの。謝りなさいっ」

マリフェス様はマルタ嬢を叱りつけると、オレを助け起こしてくれた。

「でもっ、マリフェスさまぁ」

まさか自分が叱られるとは思っていなかったマルタ嬢は涙を浮かべた。

「あ、あのっ。オ……じゃなくて、私は大丈夫ですから、マリフェス様はマルタ様と戻ってください」
「でも、貴女、血が出ているわ……」

ポケットから綺麗なハンカチを取り出しオレの血を拭いてくれたマリフェス様にオレは精一杯の笑顔を向けた。
幸いマルタ嬢のドレスは無事だったが潰されたオレのドレスは汚れて破れてしまった。
これではもうお茶会の場には戻れない。

「王妃様には少し疲れてしまったので部屋に戻りますとお伝えください。お願いします」

頭を下げたオレにマリフェス様は頷くと、マルタ嬢の手を取ってお茶会の席に戻っていった。

マリフェス様たちが去った後、シフシさんがオレを迎えにきてくれた。
マリフェス様からコッソリ事情を聞いた王妃様が呼んでくれたらしい。
イチゴくんが迎えに来ようとしたらしいが、女の姿のオレと一緒にいたらあらぬ疑いを掛けられてしまうだろうとシフシさんが止めたそうだ。

部屋に戻るとイチゴくんが待っていて、オレの有様にショックを受けた。
涙目で「無茶しすぎですっ」とめちゃくちゃ怒られ、それにびっくりしたオレも涙目になった。

マルタ嬢を助けようとしたオレは、そのマルタ嬢の平手打ちを喰らって頬が腫れたうえ爪で傷を作った。

それと、マルタ嬢に潰された時、また左足首を捻挫した。