1 / 5
【起】
しおりを挟む
窓際のラベンダー、銀の髪飾り。
可愛い靴に、お気に入りの色だった口紅、紅が綺麗なイヤリングに、姉のものだったはずのドレスの意匠も。
今も昔も、私が望んだものは全部が全部、私のものだった。
姉は、社交界での礼節以外の取り得が何もない人だった。
礼節! くだらない……!
そんなものよりも“人柄”が大切だということを、あの人は知らなかった。
どうして望んだものが手に入らないのか――考えたこともないんでしょうね。
それが――そんな姉が。
まさかフロスト伯爵の元へ嫁ぐことになるなんて。
まだ婚約の段階だけれど、信じられない幸運もあったものね。
まあ最近まで興味なんてなかったのだけれど――フロスト伯爵は存外、悪くない男だったわ。ついこの間の立食会でお顔を合わせたけれど、お家の資金繰りも順風満帆だそうですし、顔もまあ――悪くはないわね。
姉は相変わらずだった。
何も変わっていなかったわねぇ。
どうして、私が望んだものは全部が全部、私のものだったのか。
未だに分かっていない様子だったもの。
あのねえ。
大切なのは人柄なのよ、お姉様。
――立食会での顔合わせで、私、興味が湧いちゃって。
楽しかったわね。――そして楽しそうだったわ、彼。
あはっ。
お姉様、いま私、誰と逢瀬を楽しんでると思う?
私から誘ったわけじゃないのよ?
――フロスト伯爵から、私を誘ってきたの。
私悪くないわ。
人間だもの、情に素直なことは美徳でしょ? ――お姉様は、それが分からないのだろうけれど。
これは自然なことなのよ。
分かってもらえるかしら? ――分からないわよね、お姉様には。
ちゃんと生きてる私の勝ちよ。
可愛い靴に、お気に入りの色だった口紅、紅が綺麗なイヤリングに、姉のものだったはずのドレスの意匠も。
今も昔も、私が望んだものは全部が全部、私のものだった。
姉は、社交界での礼節以外の取り得が何もない人だった。
礼節! くだらない……!
そんなものよりも“人柄”が大切だということを、あの人は知らなかった。
どうして望んだものが手に入らないのか――考えたこともないんでしょうね。
それが――そんな姉が。
まさかフロスト伯爵の元へ嫁ぐことになるなんて。
まだ婚約の段階だけれど、信じられない幸運もあったものね。
まあ最近まで興味なんてなかったのだけれど――フロスト伯爵は存外、悪くない男だったわ。ついこの間の立食会でお顔を合わせたけれど、お家の資金繰りも順風満帆だそうですし、顔もまあ――悪くはないわね。
姉は相変わらずだった。
何も変わっていなかったわねぇ。
どうして、私が望んだものは全部が全部、私のものだったのか。
未だに分かっていない様子だったもの。
あのねえ。
大切なのは人柄なのよ、お姉様。
――立食会での顔合わせで、私、興味が湧いちゃって。
楽しかったわね。――そして楽しそうだったわ、彼。
あはっ。
お姉様、いま私、誰と逢瀬を楽しんでると思う?
私から誘ったわけじゃないのよ?
――フロスト伯爵から、私を誘ってきたの。
私悪くないわ。
人間だもの、情に素直なことは美徳でしょ? ――お姉様は、それが分からないのだろうけれど。
これは自然なことなのよ。
分かってもらえるかしら? ――分からないわよね、お姉様には。
ちゃんと生きてる私の勝ちよ。
417
あなたにおすすめの小説
お得意の嘘泣きで男を惑わす義妹ですが…肝心の愛する彼に嫌われては、お終いですね。
coco
恋愛
女の涙は武器だと、嘘泣きを繰り返す義妹。
しかしその可愛さと儚さに、皆は騙されてしまう。
そんな彼女ですが…愛する彼に嫌われては、お終いですね─。
天使のように愛らしい妹に婚約者を奪われましたが…彼女の悪行を、神様は見ていました。
coco
恋愛
我儘だけど、皆に愛される天使の様に愛らしい妹。
そんな彼女に、ついに婚約者まで奪われてしまった私は、神に祈りを捧げた─。
姉の代わりになど嫁ぎません!私は殿方との縁がなく地味で可哀相な女ではないのだから─。
coco
恋愛
殿方との縁がなく地味で可哀相な女。
お姉様は私の事をそう言うけど…あの、何か勘違いしてません?
私は、あなたの代わりになど嫁ぎませんので─。
あなたの瞳に映るのは妹だけ…闇の中で生きる私など、きっと一生愛されはしない。
coco
恋愛
家に籠り人前に出ない私。
そんな私にも、婚約者は居た。
だけど彼は、随分前から自身の義妹に夢中になってしまい…?
良い家の出の婚約者ができて勘違いし私をやたらと見下してきていた姉がいましたが、彼女は捨てられた途端自滅してゆきました。
四季
恋愛
良い家の出の婚約者ができて勘違いし私をやたらと見下してきていた姉がいましたが……
婚約者が義妹と結ばれる事を望むので、ある秘密を告白し婚約破棄しようと思います─。
coco
恋愛
私が居ながら、義妹と結ばれる事を望む彼婚約者。
醜い化け物の私は、気色悪いですって…?
では、あなたにある秘密を告白し、婚約破棄しようと思います─。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる