姉を婚約破棄に追い込んだ妹が、破滅を辿るようです。

銀灰

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【起】

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 窓際のラベンダー、銀の髪飾り。
 可愛い靴に、お気に入りの色だった口紅、紅が綺麗なイヤリングに、姉のものだったはずのドレスの意匠も。
 今も昔も、私が望んだものは全部が全部、私のものだった。

 姉は、社交界での礼節以外の取り得が何もない人だった。

 礼節! くだらない……!
 そんなものよりも“人柄”が大切だということを、あの人は知らなかった。
 どうして望んだものが手に入らないのか――考えたこともないんでしょうね。

 それが――そんな姉が。
 まさかフロスト伯爵の元へ嫁ぐことになるなんて。

 まだ婚約の段階だけれど、信じられない幸運もあったものね。
 まあ最近まで興味なんてなかったのだけれど――フロスト伯爵は存外、悪くない男だったわ。ついこの間の立食会でお顔を合わせたけれど、お家の資金繰りも順風満帆だそうですし、顔もまあ――悪くはないわね。

 姉は相変わらずだった。
 何も変わっていなかったわねぇ。

 どうして、私が望んだものは全部が全部、私のものだったのか。
 未だに分かっていない様子だったもの。

 あのねえ。
 大切なのは人柄なのよ、お姉様。

 ――立食会での顔合わせで、私、興味が湧いちゃって。
 楽しかったわね。――そして楽しそうだったわ、

 あはっ。
 お姉様、いま私、誰と逢瀬を楽しんでると思う?

 私から誘ったわけじゃないのよ?
 ――フロスト伯爵から、私を誘ってきたの。

 私悪くないわ。
 人間だもの、情に素直なことは美徳でしょ? ――お姉様は、それが分からないのだろうけれど。

 これは自然なことなのよ。
 分かってもらえるかしら? ――分からないわよね、お姉様には。

 私の勝ちよ。


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