召喚から始まる異世界生活〈召喚された無能な俺に助けを求めてきたので、魔法が使えず魔力のみで命を返りみる事なく戦ってたら、実は異世界最強!〉

アンドリュー

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感謝の言葉

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地上で懸命にベルトレの治療を行っていた一同の頭上では未だ、一ノ瀬とクラインが鳥人族に脚で掴まれ、空中にとどまっていた。爆発の後、レドナとマルクスを確認するため、爆煙を凝視しているクラインだったが、先程の戦闘中に予想以上に魔力を消費した一ノ瀬は、気だるさを感じる体で何故か頭から血を流すクラインを横目でみていた。

「、、、クライン?さっきまで鳥人族に肩を掴まれていたと思うんだだけど?何で今は頭を掴まれてるんだ?」







まるでキーホルダーの様に首から下を揺らしながら腕を組み、鳥の鉤爪のような三本の足の爪で頭部を落とすまいと掴まれている頭からは血を流し続けており、クラインはそのままの態勢で、目線もかえずにノ瀬に答えた。

「先程魔法を放った際、爆発による爆風で私を離してしまった彼女が再度飛ばされる私を掴んでくれたのですが、掴み所が悪く今に至っています。」







戦闘で無傷だったたのに、あたかも接戦だったかのように血を流し続けるクラインを一ノ瀬は哀れんだ目で見ていた。そんな中、収まりつつある爆煙の向こうから二人の影が見えてきた。







「ハア、ハア、、な、何とか、命を拾ったわ。何故上位魔法を扱える術者がこんな所に!?マルクス動ける?」

辛うじて助かったレドナは、脇に抱えるマルクスに言葉をなげかけたが、未だ気絶しているマルクスは屍のようにピクリともしなかった。その様子を眺めていたクラインはレドナに声をかけた。







「これ以上まだやり合うつもりならば、今度こそ貴様らを消し炭ににするが、どうする?」

クラインは、更なる被害を出さない為、この場から二人を退散させようとしたが、あと一歩で魔導禁書が手に入る手前、引くわけに行かないレドナはクラインの申し出を断りかけた時、双方の間にある人物が現れた。







「「「!?」」」

そこには、かつての人形に戻っていたベルトレがいた。使い魔の契約により姿が変えられていたベルトレが元の姿で現れた事に皆おどろき、一ノ瀬達を掴んでいる鳥人族でさえ驚きを隠せずにいた。







「レドナ、貴様が欲していたのはこれだろ。」

「それは、魔導禁書!!」

ベルトレは大樹の裂け目から姿を見せていた魔導禁書を持ち出し、不意にレドナの前に掲げて見せた。







「今この書物は我の手の内にある。その脇に抱えた荷物を持ってこの姿の我から今この場で奪ってみせるか?これから世界中にある魔導禁書を我輩達は集めていき、いずれ貴様らの国の魔導禁書も奪いに行くだろう。それまでに魔王に国の守りを固めておくように伝えるんだな。」







ベルトレの言葉に反感しかけるレドナを前に、ベルトレは目の前に幾つもの魔方陣を出現させ、先程と比べ物にならない程の水の剣を出現させた。その数は先ほど出現させた剣の10倍にもおよぶ千にもとどくほどの数であった。







「、、くっ!」

その圧倒的な魔法を目にしたレドナはマルクスを抱えたまま、ベルトレ達に背を向け去っていった。暫くその背を見送ったベルトレは魔法を消して一ノ瀬達と共に地上に降りていった。









「ベル!傷は大丈夫ですか!?」

地上に降り立ったベルトレにレイヤがかけてきた。その背後に降りたクラインと一ノ瀬の元にロゼッタと集落の皆が集まり、三人に感謝を述べていった。







暫くした後、一同は、レドナの放った魔法により亀裂のはいった大樹と共に二つに割れてしまったレイヤ達の家にいた。皆一様に悲しみを表情にうかべていたが、未だ元の姿のままのベルトレがあるものを床の上で見つけた。それは、亀裂の始まる場所に有った、かつて三人に与え、アダムとイヴが最後に使用した短剣であった。その短剣を見たレイヤも自身が持つ同じ形の短剣を取り出した時、ベルトレが持つ魔導禁書から光が放たれた。







その光は一ノ瀬が召還された時の様に人形に集まり、光の中に二人の影が現れた。

「アダム兄様、!」

「イヴ、、!」

そこには、淡く光輝くかつてのままのアダムとイヴが居た。二人は一同を見回し、レイヤとベルトレを見据え、優しく微笑んだ。ベルトレは、つたない足取りで二人の前に進み、開いたままの口から、二人に語りかけた。







「アダム、イヴ、、我はお前達を守れなかった!何度も命を助けてもらっていたのに、ただただ与えられるだけだった!何も返す事もできなかった!愛してると言うたった一言さえ、最後まで告げることができなかった!!我さえいなければ、二人はあの日、あの本を使う事は無かった!!」







二人の前に膝から泣き崩れたベルトレにイヴはゆっくり近寄り、ベルトレと目線を合わせるように膝をおり、触れる事の出来ないその両手をベルトレの両頬に添わせた。ボロボロな泣き顔でベルトレは両頬に感じる温もりをかんじ優しく微笑むイヴを見た。次第にアダムと共に光の中に薄れて行くイヴは音にならない言葉をベルトレに呟いた。













(ありがとう、私も貴方を、愛しています。)





そう口を動かしたイヴは、アダムと共にベルトレの前から消えていった。



「ありがとうは、我の言葉だ。」

声を出して泣くレイヤとベルトレの前には、未だ二本の短剣がそこにあった。
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