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■第四章 橋を架ける
プロローグ 雪解け
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ノースオーシャン領がようやく暖かくなり、雪が溶け始めた。黒い大地からは草の芽があちらこちらに生え始めている。春の息吹だ。
「よし! 今のうちに領地を大きくしよう! まずは炭鉱までの道を開通させるよ」
僕は領主として今年の目標を掲げた。
「分かったわ!」「おし、それなら鉄が作り放題だな!」
雪が溶けて『そり』が使えなくなるため、馬車が通る道を作っておかなければ、石炭の運搬に苦労することになるだろう。
石炭は暖を取る燃料にもなるため、食料や家造りと並んで最優先課題だ。
家造りや柵の補修をやるチームと、道を造るチーム、そして畑を造るチームの三つに分け、作業を同時進行させていく。
「アッシュ、柱の位置はこれでいいかい?」
「はい、それで大丈夫です」
他の職人達に家造りの作業をやってもらい、彼らだけでも家を建てられるように指導する。
本当は専門の好きなことを好きなだけやって暮らせるのが一番だが、今の領地経営は人手不足だ。全員が割り振られた作業に一丸となって取り組む必要があった。
幸い、食べ物についてはビニールハウスがあるので、すでに収穫の目処が立っている。
ボックスホームに先住していたバドの部下達十名と合わせて、二十人ほどの食料なら、余裕でなんとかなりそうだ。
「じゃ、僕は石灰を探してきます。何か分からない事があったら、作業を中止して待っていて下さい」
「あいよ。アッシュ、気をつけて行くんだぞ」
「はい」
モルタルが不足しているので、材料の石灰を見つけなければ、新しい家が建てられない。
「さて、貝殻が出てくる地層を探さないと」
「お供します」
ギルが護衛として付いてきてくれる。白銀に輝く剣と鎧を装備し、立派な騎士に見える。
鍛冶職人のアイゼンさんに新調してもらったものだ。
「待ってぇ! アッシュ、アタシも手伝うわ!」
栗色の髪を三つ編みにし、紺のリボンでおしゃれした少女が元気よく走って追いかけてきた。僕の幼なじみのレニアだ。
「ありがとう、レニア。でも……他にやっておきたい仕事があれば、別に良いよ?」
「もう! 服作りはとっくに冬の間に全部終わらせて、服が余ってるくらいだから、全然大丈夫よ」
「そうだったね。じゃ、行こう」
「ええ、しゅっぱーつ!」
ウッドゴーレムの『一式』を連れ、僕らは石灰を探した。運の良いことに、近くの崖で大量の石灰の地層が見つかった。
「じゃ、『一式』、これをアイゼンさんの所まで運んでおいて」
モルタルの作り方はアイゼンも知っているから、焼いて粉にしてくれるだろう。
「了解シマシタ」
「探し物から運搬まで、ウッドゴーレムは本当に便利ですね……」
ギルが石灰をドリルで削り出している『一式』を見ながら言う。
「まあね。でも、複雑な命令を聞くゴーレムとなるとちょっと作るのは面倒なんだ。運搬専用のゴーレムも新しく作ろうかな」
護衛用に新しく『三式』を冬の間に作っておいたけれど、人手不足を補うためには、もっとたくさん作ってもいいかもしれない。
「作るのは良いけど、たくさんはやめてよ? ゴーレムはアッシュの言うことしか聞かないから、アタシはあんまり好きじゃないし」
レニアが言ったが、別にそんなことはない。ゴーレムが理解できるような命令の仕方ならば、彼女の言うことだって聞いてくれるのだ。そこはまだまだゴーレムの改良が必要だな。
「それでアッシュ様、次はどこへ?」
「ああうん、道路の様子を見てみよう。バドさん達が引き受けてくれたけど」
「分かりました。ただ、そんなには進んでいないでしょうね……」
ギルが言うが、道路を整備するのは大変だ。それも人が通っていなかった場所に作るとなると、森を切り開き、障害物をどける必要もある。
「ま、夏が終わるまでに開通できればいいさ」
特に期限があるわけでもない。冬になれば雪が積もって、『そり』で運搬できるので、雪が積もるのを待つという方法もある。
ただ、やはり『火』は領地の発展には欠かせないだろう。じっちゃんも『人類は火を使うことによって力を得た』と言ってたし。
なるべく早く、炭鉱とボックスホームの輸送路を作っておきたかった。
「バドさん、道路の調子はどうですか」
「うむ……」
斧で木を切り倒していたバドが手を休め、難しい顔をする。
「よし! 今のうちに領地を大きくしよう! まずは炭鉱までの道を開通させるよ」
僕は領主として今年の目標を掲げた。
「分かったわ!」「おし、それなら鉄が作り放題だな!」
雪が溶けて『そり』が使えなくなるため、馬車が通る道を作っておかなければ、石炭の運搬に苦労することになるだろう。
石炭は暖を取る燃料にもなるため、食料や家造りと並んで最優先課題だ。
家造りや柵の補修をやるチームと、道を造るチーム、そして畑を造るチームの三つに分け、作業を同時進行させていく。
「アッシュ、柱の位置はこれでいいかい?」
「はい、それで大丈夫です」
他の職人達に家造りの作業をやってもらい、彼らだけでも家を建てられるように指導する。
本当は専門の好きなことを好きなだけやって暮らせるのが一番だが、今の領地経営は人手不足だ。全員が割り振られた作業に一丸となって取り組む必要があった。
幸い、食べ物についてはビニールハウスがあるので、すでに収穫の目処が立っている。
ボックスホームに先住していたバドの部下達十名と合わせて、二十人ほどの食料なら、余裕でなんとかなりそうだ。
「じゃ、僕は石灰を探してきます。何か分からない事があったら、作業を中止して待っていて下さい」
「あいよ。アッシュ、気をつけて行くんだぞ」
「はい」
モルタルが不足しているので、材料の石灰を見つけなければ、新しい家が建てられない。
「さて、貝殻が出てくる地層を探さないと」
「お供します」
ギルが護衛として付いてきてくれる。白銀に輝く剣と鎧を装備し、立派な騎士に見える。
鍛冶職人のアイゼンさんに新調してもらったものだ。
「待ってぇ! アッシュ、アタシも手伝うわ!」
栗色の髪を三つ編みにし、紺のリボンでおしゃれした少女が元気よく走って追いかけてきた。僕の幼なじみのレニアだ。
「ありがとう、レニア。でも……他にやっておきたい仕事があれば、別に良いよ?」
「もう! 服作りはとっくに冬の間に全部終わらせて、服が余ってるくらいだから、全然大丈夫よ」
「そうだったね。じゃ、行こう」
「ええ、しゅっぱーつ!」
ウッドゴーレムの『一式』を連れ、僕らは石灰を探した。運の良いことに、近くの崖で大量の石灰の地層が見つかった。
「じゃ、『一式』、これをアイゼンさんの所まで運んでおいて」
モルタルの作り方はアイゼンも知っているから、焼いて粉にしてくれるだろう。
「了解シマシタ」
「探し物から運搬まで、ウッドゴーレムは本当に便利ですね……」
ギルが石灰をドリルで削り出している『一式』を見ながら言う。
「まあね。でも、複雑な命令を聞くゴーレムとなるとちょっと作るのは面倒なんだ。運搬専用のゴーレムも新しく作ろうかな」
護衛用に新しく『三式』を冬の間に作っておいたけれど、人手不足を補うためには、もっとたくさん作ってもいいかもしれない。
「作るのは良いけど、たくさんはやめてよ? ゴーレムはアッシュの言うことしか聞かないから、アタシはあんまり好きじゃないし」
レニアが言ったが、別にそんなことはない。ゴーレムが理解できるような命令の仕方ならば、彼女の言うことだって聞いてくれるのだ。そこはまだまだゴーレムの改良が必要だな。
「それでアッシュ様、次はどこへ?」
「ああうん、道路の様子を見てみよう。バドさん達が引き受けてくれたけど」
「分かりました。ただ、そんなには進んでいないでしょうね……」
ギルが言うが、道路を整備するのは大変だ。それも人が通っていなかった場所に作るとなると、森を切り開き、障害物をどける必要もある。
「ま、夏が終わるまでに開通できればいいさ」
特に期限があるわけでもない。冬になれば雪が積もって、『そり』で運搬できるので、雪が積もるのを待つという方法もある。
ただ、やはり『火』は領地の発展には欠かせないだろう。じっちゃんも『人類は火を使うことによって力を得た』と言ってたし。
なるべく早く、炭鉱とボックスホームの輸送路を作っておきたかった。
「バドさん、道路の調子はどうですか」
「うむ……」
斧で木を切り倒していたバドが手を休め、難しい顔をする。
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