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番外編
あーちゃんとお父さん・前編【三人称視点】
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あやめ生まれたて~2歳半あたり
ーーーーーーーーーーーーーーーー
人の紹介で出会った女性と交際の後結婚した青年は、夫となり、そして父になった。
男というものはお腹に赤子を宿す女性よりも、親としての自覚が芽生えるのに時間がかかるとは言うが、彼は…。
初夏の夕暮れ時、とある産婦人科の分娩室の中で元気な産声が上がった。
「おめでとうございます、元気な女の子てすよ」
ずっとお腹にいた赤子をこの世に産み落とし、初めてその腕に抱いた母親は産声を上げている赤子を見て、その元気な様子にホッとしていた。
付添いをしてくれた実母に「男の子みたいに大きな泣き声ねぇ」と言われ、彼女は苦笑いする。小さくて弱々しいのに、力強く泣いている娘を早く彼に見せてあげたいと思っていると、バタバタバタと部屋の外で廊下を走る音と「走らないでください!」という叱責の声が響き渡ってきた。
分娩室の扉を看護師が開くと、そこにスーツ姿の男性が飛び込んできた。
「貴子っ! 無事っ!?」
「真人さん大丈夫よ。見て、とっても元気な女の子」
「あぁぁお猿さんみたいだなぁ~可愛いなぁ~! もう絶対嫁にはやらないからなぁ~」
この物語の主人公の父親である、田端真人は生まれて間もない娘を嫁にはやらない宣言をしていた。
「バカなこと言わないの。この子の名前はあやめよ。ひらがなであやめ……いいでしょ?」
「あやめ…うん!いいんじゃないかな! あーたん~お父さんですよぉ~」
「…気持ち悪いわ、真人さん」
「うぎゃぁぁぁぁん!」
妻とその母親にさりげなくドン引きされていることに気づいていない真人は、生まれたての娘の頬にチュッチュとキスを落として、娘を泣かせていた。
「あーたん!? どうしたお腹すいたか!」
「びゃぁぁぁぁん!」
「真人さん貸しなさい! 首が座っていない赤ちゃんなのよ、雑に扱わないで!」
「あやめ、大丈夫よ、泣かないで~」
妻の母親に娘を奪い去られ、娘は妻の腕に逆戻りした。真人はこの世の終わりのような顔をしていた。
彼は、この後も娘可愛さにちょっかいを掛け、娘を不機嫌にさせては、妻と姑に怒られるというなんとも学習能力のないことを繰り返すことになる。
ーーこれは、彼女の父親が娘ラブになるまでの軌跡を描いた、愛と感動(?)の小話である。
■□■
田端家に長女あやめが誕生したその約2年後、もうひとり家族が増えた。予定ならばあやめと2学年差があったはずなのだが、滑り込みセーフで1学年差に生まれたのは、長男和真である。
和真は生まれた当初から未熟児で、成長スピードが長女のあやめと違ってゆっくりめ。あやめよりも夜泣きはひどいわ、すぐに体調を崩すわで、母親の貴子は和真につきっきりになることも多々。
あやめはその間、ひとりで幼児向け番組を観たり、斜向かいの山浦さんの家で面倒を見てもらったりしていた。お父さんが帰ってくれば、溺愛しているあやめの相手をしてくれるので、ずっと孤独なわけではなかった。
だけど、あやめは面白くはなかった。
あやめだってまだお母さん離れしていない幼子だ。だけどお母さんに「和真は体が弱いの。あやめはお姉ちゃんだから、我慢してね」と言い聞かせられたら、小さいながらも我慢するしか出来ない。
あやめは弟に嫉妬していた。いつもお母さんを独り占めする弟のことが嫌いになりかけていた。
「あやめ、お風呂入ろうか」
「や! おかしゃんはカズと入れば! あーちゃんはおとしゃんと入るの!」
我慢と不満を重ね続け、とうとうあやめは反抗するようになった。反抗とは言っても、こういう状況で母親の言うことを聞かないという事なのだが、母親の貴子は参っていた。
長男の世話だけでも大変で、長女をほったらかしにしている事は自覚していたが、貴子にはどうしようもなかった。余裕がなかったのだ。
「…そんな事言わないで? お父さんはお仕事でまだ帰ってこないのよ? あやめは起きていられないでしょう?」
「おきてるも! おとしゃ待ってるもん!」
ほっぺたをぷくりと膨らませたあやめは不貞腐れるようにそっぽを向いた。
貴子はため息を吐く。普段は物わかりがいいのに、最近こうして口答えするようになってしまった娘に、なんとしてでもお風呂に入ってもらおうと説得を始めた。
「あやめ、わがまま言わないで。お父さんを待ってるって言っても、あやめは遅くまで起きていられないでしょう?」
諭すように声を掛けたつもりだったが、貴子の内心の苛立ちが声に現れたらしく、それを察したあやめはビクリと怯える様子を見せた。
黒目がちの大きな眼にじわじわと涙が浮かぶのをみて、貴子は自分の失敗に焦った。
「あ、あやめごめんね、お母さん」
「あーちゃん、悪くないもん! おかしゃん嫌い!」
あやめは泣くのを堪えた。
幼いが故に語彙が少ないながらも、必死に不満を訴えようとしていた。何故姉だからと我慢しなくてはならないのか、母は自分のことより弟のほうが大事なのかという苛立ちを隠さずにあやめは訴えていた。
だがそれは貴子に伝わってはいなかった。ただのワガママだと思われていたのだ。
「お願い、あやめ…お姉ちゃんでしょ? そんな事、言わないの」
あやめの地雷になりつつある「お姉ちゃんでしょ」を口にした貴子。あやめは堪えていた涙をダラダラ流し、ビャアーッと大声で泣き出した。
大人が思う以上にその言葉は呪縛となって子供を苦しめる。だが貴子自身も余裕がないためにそれに気がつくことがなかった。
あやめの泣き声に反応した和真も泣き出してしまい、幼子2人の大合唱が家中に響き渡る。途方に暮れた貴子は廊下で放心していた。
「ただいまー」
そんなタイミングで一家の大黒柱が帰宅してきた。あやめは即座に反応すると、帰ってきた父親のもとに駆け寄った。
「おとしゃん! おかえり!」
「あーちゃん、ただいまぁ~何ー? お出迎えスタンバイしてくれたの? …あれ、どしたの? 泣いてたの?」
真人に抱っこをねだって抱き上げてもらったあやめは父親の首に抱きついてしゃくり上げていた。
落ち着かせるように背中をポンポン叩かれていくうちに落ち着いたあやめは目をグシグシ擦りながら、父親に訴えた。
「あーちゃん、おとしゃんとお風呂はいるの、おかしゃんがダメって…」
「あーお父さんは帰ってくるのがいつも遅いもんねぇ…でも今日は特別だよ! お父さん早く帰ってきたからね!」
「…ん」
「あやめの好きなおもちゃ持っておいで。あ、水に濡れてもいいやつだよ?」
下に降ろされたあやめは嬉しそうに笑うと、自分のおもちゃが保管された場所に駆けていく。あやめが選んだのは、友達が愛と勇気しかいないパンヒーローのお風呂セットだ。あやめは「ひゃっふー!」と奇声をあげながらバケツを持ってお風呂場に突撃した。
その後お風呂場からごきげんなあやめの歌声が聞こえて来て、貴子はホッとした。だがしかし、先程娘に言われた嫌いという言葉にさりげなく凹んでいた。凹んでいたが、あやめの本当の訴えは彼女には届いておらず、貴子はあやめの反発を単なる魔の2歳児と呼ばれる反抗期故だと片付けてしまっていた。
「おとしゃん、ねるの!」
お父さんに髪の毛まで乾かしてもらったあやめは、家族みんなで眠っている寝室の子ども用布団に潜り込むと、ポンポンと敷き布団を叩いて父親を呼んだ。一緒に寝るところまでセットらしい。
親ばかの真人は「仕方ないなぁ~」と言いながら布団に入ると、娘を寝付かせた。無邪気な寝顔を暫し観察すると、真人は夕食を取るためにそっと抜け出した。
仕事でどんなに疲れても辛いことがあっても、子どもたちの顔を見れば疲れは吹っ飛ぶ。特に娘のあやめは真人に懐いていたし、真人はあやめを目に入れても痛くない位娘を可愛がっていた。
こうした流れもあり、あやめはお父さんにベッタリになっていた。
「あやめが最近聞き分けがなくて…今まではもっと素直に言うことを聞いてくれたのに…」
「…ちょっと早いけど、幼稚園に入れてもいいんじゃないかな? 会社の人が言ってたけど慣らし期間で幼稚園に入れるんだろ? あやめにお友達が出来たら世界も広がると思うよ」
真人の提案に貴子はぎょっとした顔をした。彼の提案には賛成できないようである。
「あやめはまだ2歳なのよ? 3歳になって幼稚園に入ってしまえば一緒にいる時間が無くなってしまうのに」
「あやめは寂しいんだよ。貴子は今、和真のことで手が一杯で、あやめと向き合う時間が作れていないだろう? …あやめの為だよ」
真人は出来る限りで娘の相手をしてあげているが、平日の日中は流石に無理だ。
あやめと貴子の仲が微妙になってしまっているのはさっきの二人のやり取りでわかった。あやめはお風呂から上がった時に貴子の補助を受けずに、自分で濡れた体を拭いて、悪戦苦闘しながらパジャマを着ていたからだ。髪の毛をドライヤーで乾かすにしてもお母さんでは嫌だと拒否をしていた。自分が出てくるまで濡れた髪を放置していた。
反抗期というよりも、弟の相手ばかりな母親に反発しているのではないかと読み取った真人は、渋る貴子を説得した。真人の言い分には貴子も反論できなかったらしい。あやめのためと言われたらこれ以上反対できなかったのだ。
その後日、途中入園が出来て、送迎バスがある幼稚園にいくつか問い合わせ・見学をした。
その中であやめと相性の良さそうな幼稚園へのプレ入園手続きを進めたのである。
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人の紹介で出会った女性と交際の後結婚した青年は、夫となり、そして父になった。
男というものはお腹に赤子を宿す女性よりも、親としての自覚が芽生えるのに時間がかかるとは言うが、彼は…。
初夏の夕暮れ時、とある産婦人科の分娩室の中で元気な産声が上がった。
「おめでとうございます、元気な女の子てすよ」
ずっとお腹にいた赤子をこの世に産み落とし、初めてその腕に抱いた母親は産声を上げている赤子を見て、その元気な様子にホッとしていた。
付添いをしてくれた実母に「男の子みたいに大きな泣き声ねぇ」と言われ、彼女は苦笑いする。小さくて弱々しいのに、力強く泣いている娘を早く彼に見せてあげたいと思っていると、バタバタバタと部屋の外で廊下を走る音と「走らないでください!」という叱責の声が響き渡ってきた。
分娩室の扉を看護師が開くと、そこにスーツ姿の男性が飛び込んできた。
「貴子っ! 無事っ!?」
「真人さん大丈夫よ。見て、とっても元気な女の子」
「あぁぁお猿さんみたいだなぁ~可愛いなぁ~! もう絶対嫁にはやらないからなぁ~」
この物語の主人公の父親である、田端真人は生まれて間もない娘を嫁にはやらない宣言をしていた。
「バカなこと言わないの。この子の名前はあやめよ。ひらがなであやめ……いいでしょ?」
「あやめ…うん!いいんじゃないかな! あーたん~お父さんですよぉ~」
「…気持ち悪いわ、真人さん」
「うぎゃぁぁぁぁん!」
妻とその母親にさりげなくドン引きされていることに気づいていない真人は、生まれたての娘の頬にチュッチュとキスを落として、娘を泣かせていた。
「あーたん!? どうしたお腹すいたか!」
「びゃぁぁぁぁん!」
「真人さん貸しなさい! 首が座っていない赤ちゃんなのよ、雑に扱わないで!」
「あやめ、大丈夫よ、泣かないで~」
妻の母親に娘を奪い去られ、娘は妻の腕に逆戻りした。真人はこの世の終わりのような顔をしていた。
彼は、この後も娘可愛さにちょっかいを掛け、娘を不機嫌にさせては、妻と姑に怒られるというなんとも学習能力のないことを繰り返すことになる。
ーーこれは、彼女の父親が娘ラブになるまでの軌跡を描いた、愛と感動(?)の小話である。
■□■
田端家に長女あやめが誕生したその約2年後、もうひとり家族が増えた。予定ならばあやめと2学年差があったはずなのだが、滑り込みセーフで1学年差に生まれたのは、長男和真である。
和真は生まれた当初から未熟児で、成長スピードが長女のあやめと違ってゆっくりめ。あやめよりも夜泣きはひどいわ、すぐに体調を崩すわで、母親の貴子は和真につきっきりになることも多々。
あやめはその間、ひとりで幼児向け番組を観たり、斜向かいの山浦さんの家で面倒を見てもらったりしていた。お父さんが帰ってくれば、溺愛しているあやめの相手をしてくれるので、ずっと孤独なわけではなかった。
だけど、あやめは面白くはなかった。
あやめだってまだお母さん離れしていない幼子だ。だけどお母さんに「和真は体が弱いの。あやめはお姉ちゃんだから、我慢してね」と言い聞かせられたら、小さいながらも我慢するしか出来ない。
あやめは弟に嫉妬していた。いつもお母さんを独り占めする弟のことが嫌いになりかけていた。
「あやめ、お風呂入ろうか」
「や! おかしゃんはカズと入れば! あーちゃんはおとしゃんと入るの!」
我慢と不満を重ね続け、とうとうあやめは反抗するようになった。反抗とは言っても、こういう状況で母親の言うことを聞かないという事なのだが、母親の貴子は参っていた。
長男の世話だけでも大変で、長女をほったらかしにしている事は自覚していたが、貴子にはどうしようもなかった。余裕がなかったのだ。
「…そんな事言わないで? お父さんはお仕事でまだ帰ってこないのよ? あやめは起きていられないでしょう?」
「おきてるも! おとしゃ待ってるもん!」
ほっぺたをぷくりと膨らませたあやめは不貞腐れるようにそっぽを向いた。
貴子はため息を吐く。普段は物わかりがいいのに、最近こうして口答えするようになってしまった娘に、なんとしてでもお風呂に入ってもらおうと説得を始めた。
「あやめ、わがまま言わないで。お父さんを待ってるって言っても、あやめは遅くまで起きていられないでしょう?」
諭すように声を掛けたつもりだったが、貴子の内心の苛立ちが声に現れたらしく、それを察したあやめはビクリと怯える様子を見せた。
黒目がちの大きな眼にじわじわと涙が浮かぶのをみて、貴子は自分の失敗に焦った。
「あ、あやめごめんね、お母さん」
「あーちゃん、悪くないもん! おかしゃん嫌い!」
あやめは泣くのを堪えた。
幼いが故に語彙が少ないながらも、必死に不満を訴えようとしていた。何故姉だからと我慢しなくてはならないのか、母は自分のことより弟のほうが大事なのかという苛立ちを隠さずにあやめは訴えていた。
だがそれは貴子に伝わってはいなかった。ただのワガママだと思われていたのだ。
「お願い、あやめ…お姉ちゃんでしょ? そんな事、言わないの」
あやめの地雷になりつつある「お姉ちゃんでしょ」を口にした貴子。あやめは堪えていた涙をダラダラ流し、ビャアーッと大声で泣き出した。
大人が思う以上にその言葉は呪縛となって子供を苦しめる。だが貴子自身も余裕がないためにそれに気がつくことがなかった。
あやめの泣き声に反応した和真も泣き出してしまい、幼子2人の大合唱が家中に響き渡る。途方に暮れた貴子は廊下で放心していた。
「ただいまー」
そんなタイミングで一家の大黒柱が帰宅してきた。あやめは即座に反応すると、帰ってきた父親のもとに駆け寄った。
「おとしゃん! おかえり!」
「あーちゃん、ただいまぁ~何ー? お出迎えスタンバイしてくれたの? …あれ、どしたの? 泣いてたの?」
真人に抱っこをねだって抱き上げてもらったあやめは父親の首に抱きついてしゃくり上げていた。
落ち着かせるように背中をポンポン叩かれていくうちに落ち着いたあやめは目をグシグシ擦りながら、父親に訴えた。
「あーちゃん、おとしゃんとお風呂はいるの、おかしゃんがダメって…」
「あーお父さんは帰ってくるのがいつも遅いもんねぇ…でも今日は特別だよ! お父さん早く帰ってきたからね!」
「…ん」
「あやめの好きなおもちゃ持っておいで。あ、水に濡れてもいいやつだよ?」
下に降ろされたあやめは嬉しそうに笑うと、自分のおもちゃが保管された場所に駆けていく。あやめが選んだのは、友達が愛と勇気しかいないパンヒーローのお風呂セットだ。あやめは「ひゃっふー!」と奇声をあげながらバケツを持ってお風呂場に突撃した。
その後お風呂場からごきげんなあやめの歌声が聞こえて来て、貴子はホッとした。だがしかし、先程娘に言われた嫌いという言葉にさりげなく凹んでいた。凹んでいたが、あやめの本当の訴えは彼女には届いておらず、貴子はあやめの反発を単なる魔の2歳児と呼ばれる反抗期故だと片付けてしまっていた。
「おとしゃん、ねるの!」
お父さんに髪の毛まで乾かしてもらったあやめは、家族みんなで眠っている寝室の子ども用布団に潜り込むと、ポンポンと敷き布団を叩いて父親を呼んだ。一緒に寝るところまでセットらしい。
親ばかの真人は「仕方ないなぁ~」と言いながら布団に入ると、娘を寝付かせた。無邪気な寝顔を暫し観察すると、真人は夕食を取るためにそっと抜け出した。
仕事でどんなに疲れても辛いことがあっても、子どもたちの顔を見れば疲れは吹っ飛ぶ。特に娘のあやめは真人に懐いていたし、真人はあやめを目に入れても痛くない位娘を可愛がっていた。
こうした流れもあり、あやめはお父さんにベッタリになっていた。
「あやめが最近聞き分けがなくて…今まではもっと素直に言うことを聞いてくれたのに…」
「…ちょっと早いけど、幼稚園に入れてもいいんじゃないかな? 会社の人が言ってたけど慣らし期間で幼稚園に入れるんだろ? あやめにお友達が出来たら世界も広がると思うよ」
真人の提案に貴子はぎょっとした顔をした。彼の提案には賛成できないようである。
「あやめはまだ2歳なのよ? 3歳になって幼稚園に入ってしまえば一緒にいる時間が無くなってしまうのに」
「あやめは寂しいんだよ。貴子は今、和真のことで手が一杯で、あやめと向き合う時間が作れていないだろう? …あやめの為だよ」
真人は出来る限りで娘の相手をしてあげているが、平日の日中は流石に無理だ。
あやめと貴子の仲が微妙になってしまっているのはさっきの二人のやり取りでわかった。あやめはお風呂から上がった時に貴子の補助を受けずに、自分で濡れた体を拭いて、悪戦苦闘しながらパジャマを着ていたからだ。髪の毛をドライヤーで乾かすにしてもお母さんでは嫌だと拒否をしていた。自分が出てくるまで濡れた髪を放置していた。
反抗期というよりも、弟の相手ばかりな母親に反発しているのではないかと読み取った真人は、渋る貴子を説得した。真人の言い分には貴子も反論できなかったらしい。あやめのためと言われたらこれ以上反対できなかったのだ。
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