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Day‘s Eye 魔術師になったデイジー
生きた人形のような堅苦しい生活
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フォルクヴァルツに来て早くも数週間が過ぎようとしていた。
私は何度かうちに帰りたいと申し出たのだが、夫人からは「ここがあなたのおうちなのよ?」と悲しそうに言われ、辺境伯からは「諸々の手続きが終わっていないからもう少し待って欲しい」と言われ、ずるずる城に滞在する羽目となっていた。
ここで私が勝手な行動を起こせば、自分の家族になにか迷惑がかかるかもしれない。私の意志だとしても、貴族令嬢誘拐罪とかで処罰とか…と考えると、恐ろしくなってしまって私は強硬手段に出られなかった。
「違う!」
「いっ…」
ピシャリと扇子で手の甲を叩かれ、私はうめき声を漏らした。
ここに来てすぐに女家庭教師としての経験を持つギルダによってマナー・礼儀作法を叩き込まれた。こんなの数日で覚えられるわけじゃないのに、ちょっとミスしただけでピシャリと手を叩かれるのだ。叩かれた部分が赤くなってしまっている。
「市井で育った村娘には難しいのでしょうね。ですがいけませんよ。貴方様はフォルクヴァルツ家の娘なのですから。……出来て当然なのです」
私は歯噛みした。順調に貴族社会への嫌悪感情を育てながら、いつかこのクソバ…ギルダを見返してやろうと持ち前の負けず嫌いでこの状況を耐えてきた。
ボロクソに言われた悔しさをバネにして、次の授業では完璧にこなして見せても、彼女は私を貶してきた。
「やはり、野蛮な獣人に囲まれた娘は立ち振舞いが雑ですね」
隙あらば私だけでなく、私の家族をバカにしてくるこのおばさんのことを私は大嫌いになった。
私がフォルクヴァルツの人たちに心を開かず、彼らと信頼関係を結んでいないのをいいことに、憂さ晴らしのように指導してくるこの人は…私を力でねじ伏せようとしているのだ。
「あらなぁに? その目」
フォルクヴァルツの人たちがどんな人かもわからない。誰も信頼できない状況で私は声を上げられなかった。私が下手な行動をすれば、家族になにか危害が加えられるかもしれない。
それが恐ろしくて、私はせめてもの足掻きで反抗的な態度を取るしか出来なかったのだ。
縛られたくないから高給取りである役人の道を捨てたのに…。ふざけるな、何が貴族令嬢だ。こんな場所で飼い殺されるなんて思わなかった。
こんなことなら自分の生まれのルーツなんて探すんじゃなかった。シュバルツに入国しなければよかった。
マナーに関しては粗の目立つ部分はあるが、得意分野の勉強に関しては難なくこなした。
私は腐っても高等魔術師昇格試験に合格した人間だ。エスメラルダで魔法魔術学校を飛び級卒業済みなので学校に通う必要もない。ギルダに教わらずとも苦労しなかったが、それが面白くなかったのだろう。
「勉強しかできない女は好まれませんよ。もっと愛想よくしてはいかがですか」
ギルダの勘違いを指摘したらムッとした彼女からチクリと文句を言われた。間違いを教えようとしている自分を恥じないのか。
この人、教師向いてないよ。貴族の女性には女家庭教師の仕事か、王宮の女官、もしくは高位貴族の侍女とか仕事が限られているにしても……向いてない。
ギルダは元々どっかの貴族の出らしいけど、結婚することなく女家庭教師の仕事を続けてきたそうなのだ。
彼女の生い立ちについては興味ないけど、何故会って間もない私を敵視するのか謎すぎて…。ていうか勉強に関しては私は学ばなくても問題ない。むしろ彼女の授業内容は低レベルなので時間の無駄だ。…これを夫妻に言ったらこの時間をなしにしてくれるだろうか……。
あー言えばこう言う、黙っていてもこう言う。口うるさいギルダと、ギルダの操り人形であるメイドたちに囲まれ……私は息が詰まりそうな毎日を送っていた。
■□■
目の前のお肉を見ても食欲がわかず、私はカトラリーを置いた。
食事のマナーはすぐに身についたが、気が抜けないので全然食事が美味しくない。貴族特有の空気感のせいで砂を噛んでいるような気分になるのだ。
「アステリア、もう食べないの?」
「口に合わないか?」
「残してしまってすみません、もう休ませていただきます」
こんな状況下でフォルクヴァルツの人に心開けるはずもなく。信用できない相手との会話の少ない食事も息苦しくて仕方ない。
私は日に日に食が細くなっていき、元気をなくしていた。
家族へ手紙を送りたいのに、私を四六時中監視しているギルダとメイドたちに妨害され、連絡を取る手段すらない。魔力のない家族は伝書鳩を扱えないから、手紙じゃないと意思疎通が測れないのだ。
手紙を送るだけなのに、何故駄目なのかと訴えてもあの女は呆れた様子でこちらを見下すように駄目だと言うのだ。彼らはただの平民じゃない。私を育ててくれた恩人なのだ。失礼にもほどがあるだろう。
「立場を弁えください。貴方様はフォルクヴァルツ辺境伯令嬢なのですよ。平民と気軽に付き合うだなんて褒められたことではありませんことよ」
ギルダの偉そうな言葉に私は歯噛みをする。
ここにいる人達みんな信用できない。
助けを求めたところできっと何もしてくれないはずだ。血縁ですらそうだ、全然信じられない。
じわじわと真綿で首を絞められているようだ。…急に自由が奪われてしまった。外に出ることも許されず、私は城の中で過ごすことが増えた。
前だったら本さえあれば屋内でいつまでも過ごせると思っていたが、今のこの状況ではそうは思えない。
村の大自然を自由に駆け回りたい気分に襲われた。──帰りたい。家族のもとに帰りたい。お母さんの料理が食べたい。お父さんと兄さんたちのおしゃべりが聞きたい…
見送ってくれたテオは、私が旅立つことに嫌な予感を感じ取っていた。あいつの不安を笑って一蹴するんじゃなくて、テオの勘を信じてみればよかったなんて後悔しても、それはタラレバの話。
……きっとアイツも子分が音信不通だから心配してるんだろうなぁ…。私がこんなドレス着てお姫様みたいな生活してるって知ったらきっと馬鹿にして笑うんだろうなぁ。いつもはそれがムカつくのに、もうそれすら恋しくって、アイツの声が無性に聞きたくなった。
ここでは大好きな読書も満足にできない。薬作りも出来ない。おしゃべりしながら気軽に食事も出来ないし、大切な家族も、鬱陶しいくらいにかまってくる友人も、親分気取りの幼馴染もいない。
貴族令嬢としては不便ない生活であろうが、村育ちの高等魔術師としては不便すぎる生活を強いられていた。
……今の私の足には貴族という見えない鎖のついた足枷がはめられ、自由に動き回ることを制限されてしまった。
まるで太陽の光を浴びられずに、みすぼらしく萎れてしまったデイジーの花のように私は元気をなくし、痩せていき、小さく萎れていったのである。
定期的に手紙を送ってきたのに、急に連絡が途絶えてきっと村の家族は心配している。エドヴァルド氏のもとに預かってもらっているルルのことも心配だ。
だけど手紙が送れないのだ。外部の人間と誰も連絡を取れない。ルルとも距離が離れすぎていて術を使えない。
私は悩みに悩んだ挙げ句、学生時代に色々お世話して、逆にお世話にもなった、エリーゼ・ファーナム公爵令嬢に伝書鳩を送りつけた。
夜中にこっそり伝言をしたためたので、そう長くは語れなかった。でもなりふりかまっている余裕はない。この短い期間中に私は精神的肉体的に追い詰められており、高位貴族令嬢である彼女に縋ることしか思いつかなかったのだ。
友人や家族は一般庶民なので駄目だ、権力に負けてしまう。そうなれば権力があって、理解のある彼女に縋るしか出来なかった。彼女は将来エスメラルダの王妃となる人だ。発言力がある。
……何かが変わるかもしれない。
半透明な鳩が城から夜空へと飛んでいったのを確認すると窓を締めて、寝台に戻るなり布団にくるまった。
誰にも気づかれていないだろうか。ドキドキと恐怖に震える心臓を抱えて、私はギュッと目を瞑った。
一か八かだった。
私がアステリアとしてシュバルツの戸籍を得てしまったなら、もうエスメラルダからは干渉できないかもしれない。
どうかお願い。ファーナム嬢、私のお願いを聞き入れてくれ…!
祈りを込めて、私はファーナム嬢に助けを求めたのである。
私は何度かうちに帰りたいと申し出たのだが、夫人からは「ここがあなたのおうちなのよ?」と悲しそうに言われ、辺境伯からは「諸々の手続きが終わっていないからもう少し待って欲しい」と言われ、ずるずる城に滞在する羽目となっていた。
ここで私が勝手な行動を起こせば、自分の家族になにか迷惑がかかるかもしれない。私の意志だとしても、貴族令嬢誘拐罪とかで処罰とか…と考えると、恐ろしくなってしまって私は強硬手段に出られなかった。
「違う!」
「いっ…」
ピシャリと扇子で手の甲を叩かれ、私はうめき声を漏らした。
ここに来てすぐに女家庭教師としての経験を持つギルダによってマナー・礼儀作法を叩き込まれた。こんなの数日で覚えられるわけじゃないのに、ちょっとミスしただけでピシャリと手を叩かれるのだ。叩かれた部分が赤くなってしまっている。
「市井で育った村娘には難しいのでしょうね。ですがいけませんよ。貴方様はフォルクヴァルツ家の娘なのですから。……出来て当然なのです」
私は歯噛みした。順調に貴族社会への嫌悪感情を育てながら、いつかこのクソバ…ギルダを見返してやろうと持ち前の負けず嫌いでこの状況を耐えてきた。
ボロクソに言われた悔しさをバネにして、次の授業では完璧にこなして見せても、彼女は私を貶してきた。
「やはり、野蛮な獣人に囲まれた娘は立ち振舞いが雑ですね」
隙あらば私だけでなく、私の家族をバカにしてくるこのおばさんのことを私は大嫌いになった。
私がフォルクヴァルツの人たちに心を開かず、彼らと信頼関係を結んでいないのをいいことに、憂さ晴らしのように指導してくるこの人は…私を力でねじ伏せようとしているのだ。
「あらなぁに? その目」
フォルクヴァルツの人たちがどんな人かもわからない。誰も信頼できない状況で私は声を上げられなかった。私が下手な行動をすれば、家族になにか危害が加えられるかもしれない。
それが恐ろしくて、私はせめてもの足掻きで反抗的な態度を取るしか出来なかったのだ。
縛られたくないから高給取りである役人の道を捨てたのに…。ふざけるな、何が貴族令嬢だ。こんな場所で飼い殺されるなんて思わなかった。
こんなことなら自分の生まれのルーツなんて探すんじゃなかった。シュバルツに入国しなければよかった。
マナーに関しては粗の目立つ部分はあるが、得意分野の勉強に関しては難なくこなした。
私は腐っても高等魔術師昇格試験に合格した人間だ。エスメラルダで魔法魔術学校を飛び級卒業済みなので学校に通う必要もない。ギルダに教わらずとも苦労しなかったが、それが面白くなかったのだろう。
「勉強しかできない女は好まれませんよ。もっと愛想よくしてはいかがですか」
ギルダの勘違いを指摘したらムッとした彼女からチクリと文句を言われた。間違いを教えようとしている自分を恥じないのか。
この人、教師向いてないよ。貴族の女性には女家庭教師の仕事か、王宮の女官、もしくは高位貴族の侍女とか仕事が限られているにしても……向いてない。
ギルダは元々どっかの貴族の出らしいけど、結婚することなく女家庭教師の仕事を続けてきたそうなのだ。
彼女の生い立ちについては興味ないけど、何故会って間もない私を敵視するのか謎すぎて…。ていうか勉強に関しては私は学ばなくても問題ない。むしろ彼女の授業内容は低レベルなので時間の無駄だ。…これを夫妻に言ったらこの時間をなしにしてくれるだろうか……。
あー言えばこう言う、黙っていてもこう言う。口うるさいギルダと、ギルダの操り人形であるメイドたちに囲まれ……私は息が詰まりそうな毎日を送っていた。
■□■
目の前のお肉を見ても食欲がわかず、私はカトラリーを置いた。
食事のマナーはすぐに身についたが、気が抜けないので全然食事が美味しくない。貴族特有の空気感のせいで砂を噛んでいるような気分になるのだ。
「アステリア、もう食べないの?」
「口に合わないか?」
「残してしまってすみません、もう休ませていただきます」
こんな状況下でフォルクヴァルツの人に心開けるはずもなく。信用できない相手との会話の少ない食事も息苦しくて仕方ない。
私は日に日に食が細くなっていき、元気をなくしていた。
家族へ手紙を送りたいのに、私を四六時中監視しているギルダとメイドたちに妨害され、連絡を取る手段すらない。魔力のない家族は伝書鳩を扱えないから、手紙じゃないと意思疎通が測れないのだ。
手紙を送るだけなのに、何故駄目なのかと訴えてもあの女は呆れた様子でこちらを見下すように駄目だと言うのだ。彼らはただの平民じゃない。私を育ててくれた恩人なのだ。失礼にもほどがあるだろう。
「立場を弁えください。貴方様はフォルクヴァルツ辺境伯令嬢なのですよ。平民と気軽に付き合うだなんて褒められたことではありませんことよ」
ギルダの偉そうな言葉に私は歯噛みをする。
ここにいる人達みんな信用できない。
助けを求めたところできっと何もしてくれないはずだ。血縁ですらそうだ、全然信じられない。
じわじわと真綿で首を絞められているようだ。…急に自由が奪われてしまった。外に出ることも許されず、私は城の中で過ごすことが増えた。
前だったら本さえあれば屋内でいつまでも過ごせると思っていたが、今のこの状況ではそうは思えない。
村の大自然を自由に駆け回りたい気分に襲われた。──帰りたい。家族のもとに帰りたい。お母さんの料理が食べたい。お父さんと兄さんたちのおしゃべりが聞きたい…
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ここでは大好きな読書も満足にできない。薬作りも出来ない。おしゃべりしながら気軽に食事も出来ないし、大切な家族も、鬱陶しいくらいにかまってくる友人も、親分気取りの幼馴染もいない。
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……今の私の足には貴族という見えない鎖のついた足枷がはめられ、自由に動き回ることを制限されてしまった。
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定期的に手紙を送ってきたのに、急に連絡が途絶えてきっと村の家族は心配している。エドヴァルド氏のもとに預かってもらっているルルのことも心配だ。
だけど手紙が送れないのだ。外部の人間と誰も連絡を取れない。ルルとも距離が離れすぎていて術を使えない。
私は悩みに悩んだ挙げ句、学生時代に色々お世話して、逆にお世話にもなった、エリーゼ・ファーナム公爵令嬢に伝書鳩を送りつけた。
夜中にこっそり伝言をしたためたので、そう長くは語れなかった。でもなりふりかまっている余裕はない。この短い期間中に私は精神的肉体的に追い詰められており、高位貴族令嬢である彼女に縋ることしか思いつかなかったのだ。
友人や家族は一般庶民なので駄目だ、権力に負けてしまう。そうなれば権力があって、理解のある彼女に縋るしか出来なかった。彼女は将来エスメラルダの王妃となる人だ。発言力がある。
……何かが変わるかもしれない。
半透明な鳩が城から夜空へと飛んでいったのを確認すると窓を締めて、寝台に戻るなり布団にくるまった。
誰にも気づかれていないだろうか。ドキドキと恐怖に震える心臓を抱えて、私はギュッと目を瞑った。
一か八かだった。
私がアステリアとしてシュバルツの戸籍を得てしまったなら、もうエスメラルダからは干渉できないかもしれない。
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