116 / 209
Day‘s Eye 魔術師になったデイジー
届かぬ太陽・後編【テオ視点】
しおりを挟む
「…それだな? その気取ったペンダントの持ち主が例の女なんだろ。お前、騙されてんだよ。高等魔術師らしいけど、どうせ勉強ばかりの気取った女なんだろ?」
その言葉にムッとするなという方が無理だろう。
こいつにデイジーの何が分かるのか。デイジーは勤勉家の努力家なんだ。ちょっと不器用なところのある可愛い女なんだ。自分の命をかけて人を守ろうとする意志の強さがあるんだ。
……別にこいつにデイジーの可愛さをわかってもらわなくてもいいけど。興味持たれても困るし。
「……デイジーは人を騙したりしない。…あいつは今、国を守るために戦いに行ってるんだ。あいつを謗ることは許さねぇ」
そうして俺を追い詰めて、運命の番同士をくっつけてこいつは満足なのか。親も、周りも、俺の心を無視して、レイラとくっつけたらそれで満足なのか。
それはあまりにも自己満足すぎないか。
好きなものを好きと言って何が悪い。
受け入れられないから拒絶しているのに、俺にはその権利すらないのか。心を殺して受け入れろというのか。
定められた運命なんかくそくらえだ。俺は運命に振り回されるために生きてるわけじゃない。
「……無理やり番わされたとしても、俺はレイラを愛せないと思う」
このまま心を殺してレイラと結婚したとして、自分が彼女を番として愛せるかと言われたらわからない。本能で抱けるだろうけど、心はきっと一生デイジーを想い続けるに違いない。
──それは、レイラに対して失礼に当たるのではないだろうか。
ブルーノはあんぐりと口を開いて、しばし呆然としていた。そしてゆっくりと口を閉ざして言葉を飲み込むと俯いた。
再度顔を上げた奴は、ぎりぎりと歯を噛み締めて射殺すような目で俺を睨みつけていた。
…きっと俺を最低な奴だと思っているんだろうな。…こいつはレイラが好きだから、レイラのために俺を説得しに来たんだろうに……それには申し訳ない気持ちしかない。
「……こんなものがあるから、いつまでも女みたいにズルズル引きずるんだよっ!」
「!?」
ぐんっと前のめりに身体を引かれたかと思えば、ぶちり、と首元で嫌な音が聞こえてきた。
腕を大きく振りかぶったブルーノはどこかへと何かを投げ捨てた。……翠色の鉱石が太陽光で反射して、俺ははっとする。
宙を舞うそれは、デイジーが上級魔術師として合格した時に授与されたペンダントだ。俺はそれをいつも身につけていた。俺とあいつを繋ぐ唯一のものだったのだ。なのに。
呆然とする他ない。どこに落下したか全くわからない。よりによって、村の外れにある丘の更に向こう…森の中に投げ飛ばされたのである。
「どーせ、その女もお前を裏切って同じ貴族の男と結婚するだろーに! 運命の番を切り捨てようとするなんてお前は馬鹿だ! 愚か者だ!」
その言葉に俺はブルーノを睨みつけた。喉奥から唸り声を漏らし、犬歯をぎりぎり噛み締めながらブルーノに殺気を送る。
それに怯んだ様子で奴が後ずさっていたが、こいつよりも大切なペンダントだ。俺はブルーノから背を向けて走り出した。
俺とデイジーを繋ぐペンダントを追って、そのまま丘を駆け下り、あてもなく探しはじめた。
日が暮れ始め、日が落ちた後も続いた。暗いと捜索は難航する。枝木で引っ掛けてところどころ切り傷をこさえたが捜索の手を止めなかった。
デイジーは俺を騙してない。
旅立つ時あいつは突き放すような事を言った。俺は振られたんだ。俺が勝手に一方的にあいつを想い続けているだけ。
未練たらしいのはわかってる。だらだら想っていても無駄だってわかっているさ。
それでも、俺の長年の想いはそんな簡単に忘れられるものじゃない。いくら運命であろうと、あいつを想いながら他の女を抱くとかそんなの地獄すぎる。
後ろ指をさされたとしても、俺にはデイジーへの想いを捨てることなんか出来なかった。
「おーいテオー」
「お前何してんだよ、おばさんが心配してたぞ」
「探したぞ」
真っ暗闇の森の中、松明明かりを持った人物たちが近寄ってきた。俺の幼馴染で、昔から特別仲良くしていた奴らだ。象獣人と栗鼠獣人、獅子獣人と変な組み合わせではあったが、全員性格がバラバラな分仲良くやってきた。
いつまでも俺が帰ってこないのを心配した母ちゃんに声を掛けられたから、わざわざ俺を探しに来たのだという。…母ちゃんは過保護すぎないか。俺はもう子どもじゃないんだぞ。放っておけばいいのに。
まさか俺の気が触れて世を儚むとでも思われてるんだろうか。
「よつん這いになって何してんだ。野生に還るのか」
幼馴染のひとりである獅子獣人が皮肉交じりな問いかけをしてくる。端から見たら俺の姿は滑稽そのもの。そう思われても仕方ないであろう。
「…探してんだよ、デイジーにもらった上級魔術師のペンダント……レイラの幼馴染にキレられて、ぶん投げられたんだ」
俺が小さくつぶやくと、奴らはお互い視線を合わせていた。なにか言葉を交わすわけでもなく、お互い意志が通じたように同時に頷いていた。
「……しかたねーなぁ。今度なんかおごれよぉ」
「俺、木の上に登ってみるわ」
「もっと明かり持ってくる」
気のいい奴らは、俺を窘めるわけでも宥めるわけでもなく、捜索に加わってくれた。いくら夜目が利く俺らでも小さなペンダントはなかなか見つからなかった。
その後、ペンダント捜索は夜中になっても続き、空のてっぺんにはきれいな三日月が輝いていた。
「──あったぞ!」
その声に俺ははっとして顔を上げる。
栗鼠獣人のダチが木から飛び降りると、スタッと軽快な音を立てて地面に着地した。彼の手には見慣れたペンダント。チェーンがちぎれているが、大きな損傷は…
「…あ」
松明明かりに照らした時、誰かが声を漏らした。
「翠石が割れちまってる…」
「…投げられたときに強くぶつけたのかもな」
ひび割れて欠けた翠石を目にした俺は急にもの凄い不安に襲われた。
そんな俺の心の変化に気づいた象獣人のダチがバシッと力いっぱい俺の背中を叩く。
「大丈夫だって、死線を越えて来たデイジーだぜ?」
「例の戦闘狂メガネ女と貴族のお兄様も現場にいるんだし、大丈夫だろ」
「とりあえずお前の家に戻ろう。おばさんたちきっと心配してるぜ」
幼馴染たちに引きずられるようにして帰宅した家では、父ちゃんと母ちゃんが寝ないで俺の帰りを待っていた。
てっきりゲンコツのひとつくらいはもらうかなと思ったが、両親は何も言わずに出迎えてくれた。
「…なにか食べる?」
母ちゃんから腹は減ってないかと言われたが、食欲が無いので首を横にふる。何も食べたくないんだ。
「おじさん。おばさん。あのさ、生意気なこと言ってもいいかな」
そんな俺を見た象獣人のダチは何を思ったのか、口を挟んできた。
「他所の家庭のことだから、今まで黙っていたけどさ……今回の件、テオの気持ち置いてけぼりにしすぎだぜ」
ダチの言葉に俺は固まった。
続けて、獅子獣人、栗鼠獣人のダチも口を開いた。
「獣人にとっては運命に従うのが自然なんだろうけど、テオは抗ってる。テオの中にはデイジーがいるんだよ。このまま無理やりくっつけても幸せになんねぇよ」
「デイジーは貴族の姫さんだ。現実的に2人が結ばれるとは俺も思わない。だけどよ、このままゴリ押してもテオの心が壊れちまうよ」
──それでも無理やり番わせるのか?
幼馴染たちの声は、自信がなさそうに聞こえた。疑問すら浮かんでいる。多分彼らも正解がなにかわからずじまいだったのだろう。
だけど俺の気持ちを優先して味方をしてくれた。俺はそれが心強くて、それだけで救われた気分になれた。俺の想いを否定しないで発言してくれたことが嬉しかった。
両親は幼馴染の言葉に反論することなく黙り込んでいた。もう遅いから家に帰って休みなさいと彼らを追い出した後は、俺にも休むように促しただけだった。
だけど両親には幼馴染らの言葉は響いたようだ。その翌日から俺とレイラを番わせようと圧力を掛けることはなくなった。その代わり、心配そうにこちらを伺うようにはなったけど。
……俺は運命の番を受け入れない。親不孝な息子で本当に申し訳ない。レイラにはこれからも引き続き頭を下げて謝罪して、誠意を見せるしか出来ないのである。
誰がなんと言おうと、俺の心を占拠しているはデイジーなのだ。貴族でも村娘でもそれは変わらない。
彼女の甘い香りが嗅ぎたい。
落ち着いた声が聞きたい。
──…会いたい。
今も国を守るべく戦っているであろう彼女の無事を願って、俺は今日も淡々と味気のない一日を過ごすのである。
その言葉にムッとするなという方が無理だろう。
こいつにデイジーの何が分かるのか。デイジーは勤勉家の努力家なんだ。ちょっと不器用なところのある可愛い女なんだ。自分の命をかけて人を守ろうとする意志の強さがあるんだ。
……別にこいつにデイジーの可愛さをわかってもらわなくてもいいけど。興味持たれても困るし。
「……デイジーは人を騙したりしない。…あいつは今、国を守るために戦いに行ってるんだ。あいつを謗ることは許さねぇ」
そうして俺を追い詰めて、運命の番同士をくっつけてこいつは満足なのか。親も、周りも、俺の心を無視して、レイラとくっつけたらそれで満足なのか。
それはあまりにも自己満足すぎないか。
好きなものを好きと言って何が悪い。
受け入れられないから拒絶しているのに、俺にはその権利すらないのか。心を殺して受け入れろというのか。
定められた運命なんかくそくらえだ。俺は運命に振り回されるために生きてるわけじゃない。
「……無理やり番わされたとしても、俺はレイラを愛せないと思う」
このまま心を殺してレイラと結婚したとして、自分が彼女を番として愛せるかと言われたらわからない。本能で抱けるだろうけど、心はきっと一生デイジーを想い続けるに違いない。
──それは、レイラに対して失礼に当たるのではないだろうか。
ブルーノはあんぐりと口を開いて、しばし呆然としていた。そしてゆっくりと口を閉ざして言葉を飲み込むと俯いた。
再度顔を上げた奴は、ぎりぎりと歯を噛み締めて射殺すような目で俺を睨みつけていた。
…きっと俺を最低な奴だと思っているんだろうな。…こいつはレイラが好きだから、レイラのために俺を説得しに来たんだろうに……それには申し訳ない気持ちしかない。
「……こんなものがあるから、いつまでも女みたいにズルズル引きずるんだよっ!」
「!?」
ぐんっと前のめりに身体を引かれたかと思えば、ぶちり、と首元で嫌な音が聞こえてきた。
腕を大きく振りかぶったブルーノはどこかへと何かを投げ捨てた。……翠色の鉱石が太陽光で反射して、俺ははっとする。
宙を舞うそれは、デイジーが上級魔術師として合格した時に授与されたペンダントだ。俺はそれをいつも身につけていた。俺とあいつを繋ぐ唯一のものだったのだ。なのに。
呆然とする他ない。どこに落下したか全くわからない。よりによって、村の外れにある丘の更に向こう…森の中に投げ飛ばされたのである。
「どーせ、その女もお前を裏切って同じ貴族の男と結婚するだろーに! 運命の番を切り捨てようとするなんてお前は馬鹿だ! 愚か者だ!」
その言葉に俺はブルーノを睨みつけた。喉奥から唸り声を漏らし、犬歯をぎりぎり噛み締めながらブルーノに殺気を送る。
それに怯んだ様子で奴が後ずさっていたが、こいつよりも大切なペンダントだ。俺はブルーノから背を向けて走り出した。
俺とデイジーを繋ぐペンダントを追って、そのまま丘を駆け下り、あてもなく探しはじめた。
日が暮れ始め、日が落ちた後も続いた。暗いと捜索は難航する。枝木で引っ掛けてところどころ切り傷をこさえたが捜索の手を止めなかった。
デイジーは俺を騙してない。
旅立つ時あいつは突き放すような事を言った。俺は振られたんだ。俺が勝手に一方的にあいつを想い続けているだけ。
未練たらしいのはわかってる。だらだら想っていても無駄だってわかっているさ。
それでも、俺の長年の想いはそんな簡単に忘れられるものじゃない。いくら運命であろうと、あいつを想いながら他の女を抱くとかそんなの地獄すぎる。
後ろ指をさされたとしても、俺にはデイジーへの想いを捨てることなんか出来なかった。
「おーいテオー」
「お前何してんだよ、おばさんが心配してたぞ」
「探したぞ」
真っ暗闇の森の中、松明明かりを持った人物たちが近寄ってきた。俺の幼馴染で、昔から特別仲良くしていた奴らだ。象獣人と栗鼠獣人、獅子獣人と変な組み合わせではあったが、全員性格がバラバラな分仲良くやってきた。
いつまでも俺が帰ってこないのを心配した母ちゃんに声を掛けられたから、わざわざ俺を探しに来たのだという。…母ちゃんは過保護すぎないか。俺はもう子どもじゃないんだぞ。放っておけばいいのに。
まさか俺の気が触れて世を儚むとでも思われてるんだろうか。
「よつん這いになって何してんだ。野生に還るのか」
幼馴染のひとりである獅子獣人が皮肉交じりな問いかけをしてくる。端から見たら俺の姿は滑稽そのもの。そう思われても仕方ないであろう。
「…探してんだよ、デイジーにもらった上級魔術師のペンダント……レイラの幼馴染にキレられて、ぶん投げられたんだ」
俺が小さくつぶやくと、奴らはお互い視線を合わせていた。なにか言葉を交わすわけでもなく、お互い意志が通じたように同時に頷いていた。
「……しかたねーなぁ。今度なんかおごれよぉ」
「俺、木の上に登ってみるわ」
「もっと明かり持ってくる」
気のいい奴らは、俺を窘めるわけでも宥めるわけでもなく、捜索に加わってくれた。いくら夜目が利く俺らでも小さなペンダントはなかなか見つからなかった。
その後、ペンダント捜索は夜中になっても続き、空のてっぺんにはきれいな三日月が輝いていた。
「──あったぞ!」
その声に俺ははっとして顔を上げる。
栗鼠獣人のダチが木から飛び降りると、スタッと軽快な音を立てて地面に着地した。彼の手には見慣れたペンダント。チェーンがちぎれているが、大きな損傷は…
「…あ」
松明明かりに照らした時、誰かが声を漏らした。
「翠石が割れちまってる…」
「…投げられたときに強くぶつけたのかもな」
ひび割れて欠けた翠石を目にした俺は急にもの凄い不安に襲われた。
そんな俺の心の変化に気づいた象獣人のダチがバシッと力いっぱい俺の背中を叩く。
「大丈夫だって、死線を越えて来たデイジーだぜ?」
「例の戦闘狂メガネ女と貴族のお兄様も現場にいるんだし、大丈夫だろ」
「とりあえずお前の家に戻ろう。おばさんたちきっと心配してるぜ」
幼馴染たちに引きずられるようにして帰宅した家では、父ちゃんと母ちゃんが寝ないで俺の帰りを待っていた。
てっきりゲンコツのひとつくらいはもらうかなと思ったが、両親は何も言わずに出迎えてくれた。
「…なにか食べる?」
母ちゃんから腹は減ってないかと言われたが、食欲が無いので首を横にふる。何も食べたくないんだ。
「おじさん。おばさん。あのさ、生意気なこと言ってもいいかな」
そんな俺を見た象獣人のダチは何を思ったのか、口を挟んできた。
「他所の家庭のことだから、今まで黙っていたけどさ……今回の件、テオの気持ち置いてけぼりにしすぎだぜ」
ダチの言葉に俺は固まった。
続けて、獅子獣人、栗鼠獣人のダチも口を開いた。
「獣人にとっては運命に従うのが自然なんだろうけど、テオは抗ってる。テオの中にはデイジーがいるんだよ。このまま無理やりくっつけても幸せになんねぇよ」
「デイジーは貴族の姫さんだ。現実的に2人が結ばれるとは俺も思わない。だけどよ、このままゴリ押してもテオの心が壊れちまうよ」
──それでも無理やり番わせるのか?
幼馴染たちの声は、自信がなさそうに聞こえた。疑問すら浮かんでいる。多分彼らも正解がなにかわからずじまいだったのだろう。
だけど俺の気持ちを優先して味方をしてくれた。俺はそれが心強くて、それだけで救われた気分になれた。俺の想いを否定しないで発言してくれたことが嬉しかった。
両親は幼馴染の言葉に反論することなく黙り込んでいた。もう遅いから家に帰って休みなさいと彼らを追い出した後は、俺にも休むように促しただけだった。
だけど両親には幼馴染らの言葉は響いたようだ。その翌日から俺とレイラを番わせようと圧力を掛けることはなくなった。その代わり、心配そうにこちらを伺うようにはなったけど。
……俺は運命の番を受け入れない。親不孝な息子で本当に申し訳ない。レイラにはこれからも引き続き頭を下げて謝罪して、誠意を見せるしか出来ないのである。
誰がなんと言おうと、俺の心を占拠しているはデイジーなのだ。貴族でも村娘でもそれは変わらない。
彼女の甘い香りが嗅ぎたい。
落ち着いた声が聞きたい。
──…会いたい。
今も国を守るべく戦っているであろう彼女の無事を願って、俺は今日も淡々と味気のない一日を過ごすのである。
10
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~
小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。
そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。
幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。
そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――?
「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」
鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。
精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる