116 / 209
Day‘s Eye 魔術師になったデイジー
届かぬ太陽・後編【テオ視点】
しおりを挟む
「…それだな? その気取ったペンダントの持ち主が例の女なんだろ。お前、騙されてんだよ。高等魔術師らしいけど、どうせ勉強ばかりの気取った女なんだろ?」
その言葉にムッとするなという方が無理だろう。
こいつにデイジーの何が分かるのか。デイジーは勤勉家の努力家なんだ。ちょっと不器用なところのある可愛い女なんだ。自分の命をかけて人を守ろうとする意志の強さがあるんだ。
……別にこいつにデイジーの可愛さをわかってもらわなくてもいいけど。興味持たれても困るし。
「……デイジーは人を騙したりしない。…あいつは今、国を守るために戦いに行ってるんだ。あいつを謗ることは許さねぇ」
そうして俺を追い詰めて、運命の番同士をくっつけてこいつは満足なのか。親も、周りも、俺の心を無視して、レイラとくっつけたらそれで満足なのか。
それはあまりにも自己満足すぎないか。
好きなものを好きと言って何が悪い。
受け入れられないから拒絶しているのに、俺にはその権利すらないのか。心を殺して受け入れろというのか。
定められた運命なんかくそくらえだ。俺は運命に振り回されるために生きてるわけじゃない。
「……無理やり番わされたとしても、俺はレイラを愛せないと思う」
このまま心を殺してレイラと結婚したとして、自分が彼女を番として愛せるかと言われたらわからない。本能で抱けるだろうけど、心はきっと一生デイジーを想い続けるに違いない。
──それは、レイラに対して失礼に当たるのではないだろうか。
ブルーノはあんぐりと口を開いて、しばし呆然としていた。そしてゆっくりと口を閉ざして言葉を飲み込むと俯いた。
再度顔を上げた奴は、ぎりぎりと歯を噛み締めて射殺すような目で俺を睨みつけていた。
…きっと俺を最低な奴だと思っているんだろうな。…こいつはレイラが好きだから、レイラのために俺を説得しに来たんだろうに……それには申し訳ない気持ちしかない。
「……こんなものがあるから、いつまでも女みたいにズルズル引きずるんだよっ!」
「!?」
ぐんっと前のめりに身体を引かれたかと思えば、ぶちり、と首元で嫌な音が聞こえてきた。
腕を大きく振りかぶったブルーノはどこかへと何かを投げ捨てた。……翠色の鉱石が太陽光で反射して、俺ははっとする。
宙を舞うそれは、デイジーが上級魔術師として合格した時に授与されたペンダントだ。俺はそれをいつも身につけていた。俺とあいつを繋ぐ唯一のものだったのだ。なのに。
呆然とする他ない。どこに落下したか全くわからない。よりによって、村の外れにある丘の更に向こう…森の中に投げ飛ばされたのである。
「どーせ、その女もお前を裏切って同じ貴族の男と結婚するだろーに! 運命の番を切り捨てようとするなんてお前は馬鹿だ! 愚か者だ!」
その言葉に俺はブルーノを睨みつけた。喉奥から唸り声を漏らし、犬歯をぎりぎり噛み締めながらブルーノに殺気を送る。
それに怯んだ様子で奴が後ずさっていたが、こいつよりも大切なペンダントだ。俺はブルーノから背を向けて走り出した。
俺とデイジーを繋ぐペンダントを追って、そのまま丘を駆け下り、あてもなく探しはじめた。
日が暮れ始め、日が落ちた後も続いた。暗いと捜索は難航する。枝木で引っ掛けてところどころ切り傷をこさえたが捜索の手を止めなかった。
デイジーは俺を騙してない。
旅立つ時あいつは突き放すような事を言った。俺は振られたんだ。俺が勝手に一方的にあいつを想い続けているだけ。
未練たらしいのはわかってる。だらだら想っていても無駄だってわかっているさ。
それでも、俺の長年の想いはそんな簡単に忘れられるものじゃない。いくら運命であろうと、あいつを想いながら他の女を抱くとかそんなの地獄すぎる。
後ろ指をさされたとしても、俺にはデイジーへの想いを捨てることなんか出来なかった。
「おーいテオー」
「お前何してんだよ、おばさんが心配してたぞ」
「探したぞ」
真っ暗闇の森の中、松明明かりを持った人物たちが近寄ってきた。俺の幼馴染で、昔から特別仲良くしていた奴らだ。象獣人と栗鼠獣人、獅子獣人と変な組み合わせではあったが、全員性格がバラバラな分仲良くやってきた。
いつまでも俺が帰ってこないのを心配した母ちゃんに声を掛けられたから、わざわざ俺を探しに来たのだという。…母ちゃんは過保護すぎないか。俺はもう子どもじゃないんだぞ。放っておけばいいのに。
まさか俺の気が触れて世を儚むとでも思われてるんだろうか。
「よつん這いになって何してんだ。野生に還るのか」
幼馴染のひとりである獅子獣人が皮肉交じりな問いかけをしてくる。端から見たら俺の姿は滑稽そのもの。そう思われても仕方ないであろう。
「…探してんだよ、デイジーにもらった上級魔術師のペンダント……レイラの幼馴染にキレられて、ぶん投げられたんだ」
俺が小さくつぶやくと、奴らはお互い視線を合わせていた。なにか言葉を交わすわけでもなく、お互い意志が通じたように同時に頷いていた。
「……しかたねーなぁ。今度なんかおごれよぉ」
「俺、木の上に登ってみるわ」
「もっと明かり持ってくる」
気のいい奴らは、俺を窘めるわけでも宥めるわけでもなく、捜索に加わってくれた。いくら夜目が利く俺らでも小さなペンダントはなかなか見つからなかった。
その後、ペンダント捜索は夜中になっても続き、空のてっぺんにはきれいな三日月が輝いていた。
「──あったぞ!」
その声に俺ははっとして顔を上げる。
栗鼠獣人のダチが木から飛び降りると、スタッと軽快な音を立てて地面に着地した。彼の手には見慣れたペンダント。チェーンがちぎれているが、大きな損傷は…
「…あ」
松明明かりに照らした時、誰かが声を漏らした。
「翠石が割れちまってる…」
「…投げられたときに強くぶつけたのかもな」
ひび割れて欠けた翠石を目にした俺は急にもの凄い不安に襲われた。
そんな俺の心の変化に気づいた象獣人のダチがバシッと力いっぱい俺の背中を叩く。
「大丈夫だって、死線を越えて来たデイジーだぜ?」
「例の戦闘狂メガネ女と貴族のお兄様も現場にいるんだし、大丈夫だろ」
「とりあえずお前の家に戻ろう。おばさんたちきっと心配してるぜ」
幼馴染たちに引きずられるようにして帰宅した家では、父ちゃんと母ちゃんが寝ないで俺の帰りを待っていた。
てっきりゲンコツのひとつくらいはもらうかなと思ったが、両親は何も言わずに出迎えてくれた。
「…なにか食べる?」
母ちゃんから腹は減ってないかと言われたが、食欲が無いので首を横にふる。何も食べたくないんだ。
「おじさん。おばさん。あのさ、生意気なこと言ってもいいかな」
そんな俺を見た象獣人のダチは何を思ったのか、口を挟んできた。
「他所の家庭のことだから、今まで黙っていたけどさ……今回の件、テオの気持ち置いてけぼりにしすぎだぜ」
ダチの言葉に俺は固まった。
続けて、獅子獣人、栗鼠獣人のダチも口を開いた。
「獣人にとっては運命に従うのが自然なんだろうけど、テオは抗ってる。テオの中にはデイジーがいるんだよ。このまま無理やりくっつけても幸せになんねぇよ」
「デイジーは貴族の姫さんだ。現実的に2人が結ばれるとは俺も思わない。だけどよ、このままゴリ押してもテオの心が壊れちまうよ」
──それでも無理やり番わせるのか?
幼馴染たちの声は、自信がなさそうに聞こえた。疑問すら浮かんでいる。多分彼らも正解がなにかわからずじまいだったのだろう。
だけど俺の気持ちを優先して味方をしてくれた。俺はそれが心強くて、それだけで救われた気分になれた。俺の想いを否定しないで発言してくれたことが嬉しかった。
両親は幼馴染の言葉に反論することなく黙り込んでいた。もう遅いから家に帰って休みなさいと彼らを追い出した後は、俺にも休むように促しただけだった。
だけど両親には幼馴染らの言葉は響いたようだ。その翌日から俺とレイラを番わせようと圧力を掛けることはなくなった。その代わり、心配そうにこちらを伺うようにはなったけど。
……俺は運命の番を受け入れない。親不孝な息子で本当に申し訳ない。レイラにはこれからも引き続き頭を下げて謝罪して、誠意を見せるしか出来ないのである。
誰がなんと言おうと、俺の心を占拠しているはデイジーなのだ。貴族でも村娘でもそれは変わらない。
彼女の甘い香りが嗅ぎたい。
落ち着いた声が聞きたい。
──…会いたい。
今も国を守るべく戦っているであろう彼女の無事を願って、俺は今日も淡々と味気のない一日を過ごすのである。
その言葉にムッとするなという方が無理だろう。
こいつにデイジーの何が分かるのか。デイジーは勤勉家の努力家なんだ。ちょっと不器用なところのある可愛い女なんだ。自分の命をかけて人を守ろうとする意志の強さがあるんだ。
……別にこいつにデイジーの可愛さをわかってもらわなくてもいいけど。興味持たれても困るし。
「……デイジーは人を騙したりしない。…あいつは今、国を守るために戦いに行ってるんだ。あいつを謗ることは許さねぇ」
そうして俺を追い詰めて、運命の番同士をくっつけてこいつは満足なのか。親も、周りも、俺の心を無視して、レイラとくっつけたらそれで満足なのか。
それはあまりにも自己満足すぎないか。
好きなものを好きと言って何が悪い。
受け入れられないから拒絶しているのに、俺にはその権利すらないのか。心を殺して受け入れろというのか。
定められた運命なんかくそくらえだ。俺は運命に振り回されるために生きてるわけじゃない。
「……無理やり番わされたとしても、俺はレイラを愛せないと思う」
このまま心を殺してレイラと結婚したとして、自分が彼女を番として愛せるかと言われたらわからない。本能で抱けるだろうけど、心はきっと一生デイジーを想い続けるに違いない。
──それは、レイラに対して失礼に当たるのではないだろうか。
ブルーノはあんぐりと口を開いて、しばし呆然としていた。そしてゆっくりと口を閉ざして言葉を飲み込むと俯いた。
再度顔を上げた奴は、ぎりぎりと歯を噛み締めて射殺すような目で俺を睨みつけていた。
…きっと俺を最低な奴だと思っているんだろうな。…こいつはレイラが好きだから、レイラのために俺を説得しに来たんだろうに……それには申し訳ない気持ちしかない。
「……こんなものがあるから、いつまでも女みたいにズルズル引きずるんだよっ!」
「!?」
ぐんっと前のめりに身体を引かれたかと思えば、ぶちり、と首元で嫌な音が聞こえてきた。
腕を大きく振りかぶったブルーノはどこかへと何かを投げ捨てた。……翠色の鉱石が太陽光で反射して、俺ははっとする。
宙を舞うそれは、デイジーが上級魔術師として合格した時に授与されたペンダントだ。俺はそれをいつも身につけていた。俺とあいつを繋ぐ唯一のものだったのだ。なのに。
呆然とする他ない。どこに落下したか全くわからない。よりによって、村の外れにある丘の更に向こう…森の中に投げ飛ばされたのである。
「どーせ、その女もお前を裏切って同じ貴族の男と結婚するだろーに! 運命の番を切り捨てようとするなんてお前は馬鹿だ! 愚か者だ!」
その言葉に俺はブルーノを睨みつけた。喉奥から唸り声を漏らし、犬歯をぎりぎり噛み締めながらブルーノに殺気を送る。
それに怯んだ様子で奴が後ずさっていたが、こいつよりも大切なペンダントだ。俺はブルーノから背を向けて走り出した。
俺とデイジーを繋ぐペンダントを追って、そのまま丘を駆け下り、あてもなく探しはじめた。
日が暮れ始め、日が落ちた後も続いた。暗いと捜索は難航する。枝木で引っ掛けてところどころ切り傷をこさえたが捜索の手を止めなかった。
デイジーは俺を騙してない。
旅立つ時あいつは突き放すような事を言った。俺は振られたんだ。俺が勝手に一方的にあいつを想い続けているだけ。
未練たらしいのはわかってる。だらだら想っていても無駄だってわかっているさ。
それでも、俺の長年の想いはそんな簡単に忘れられるものじゃない。いくら運命であろうと、あいつを想いながら他の女を抱くとかそんなの地獄すぎる。
後ろ指をさされたとしても、俺にはデイジーへの想いを捨てることなんか出来なかった。
「おーいテオー」
「お前何してんだよ、おばさんが心配してたぞ」
「探したぞ」
真っ暗闇の森の中、松明明かりを持った人物たちが近寄ってきた。俺の幼馴染で、昔から特別仲良くしていた奴らだ。象獣人と栗鼠獣人、獅子獣人と変な組み合わせではあったが、全員性格がバラバラな分仲良くやってきた。
いつまでも俺が帰ってこないのを心配した母ちゃんに声を掛けられたから、わざわざ俺を探しに来たのだという。…母ちゃんは過保護すぎないか。俺はもう子どもじゃないんだぞ。放っておけばいいのに。
まさか俺の気が触れて世を儚むとでも思われてるんだろうか。
「よつん這いになって何してんだ。野生に還るのか」
幼馴染のひとりである獅子獣人が皮肉交じりな問いかけをしてくる。端から見たら俺の姿は滑稽そのもの。そう思われても仕方ないであろう。
「…探してんだよ、デイジーにもらった上級魔術師のペンダント……レイラの幼馴染にキレられて、ぶん投げられたんだ」
俺が小さくつぶやくと、奴らはお互い視線を合わせていた。なにか言葉を交わすわけでもなく、お互い意志が通じたように同時に頷いていた。
「……しかたねーなぁ。今度なんかおごれよぉ」
「俺、木の上に登ってみるわ」
「もっと明かり持ってくる」
気のいい奴らは、俺を窘めるわけでも宥めるわけでもなく、捜索に加わってくれた。いくら夜目が利く俺らでも小さなペンダントはなかなか見つからなかった。
その後、ペンダント捜索は夜中になっても続き、空のてっぺんにはきれいな三日月が輝いていた。
「──あったぞ!」
その声に俺ははっとして顔を上げる。
栗鼠獣人のダチが木から飛び降りると、スタッと軽快な音を立てて地面に着地した。彼の手には見慣れたペンダント。チェーンがちぎれているが、大きな損傷は…
「…あ」
松明明かりに照らした時、誰かが声を漏らした。
「翠石が割れちまってる…」
「…投げられたときに強くぶつけたのかもな」
ひび割れて欠けた翠石を目にした俺は急にもの凄い不安に襲われた。
そんな俺の心の変化に気づいた象獣人のダチがバシッと力いっぱい俺の背中を叩く。
「大丈夫だって、死線を越えて来たデイジーだぜ?」
「例の戦闘狂メガネ女と貴族のお兄様も現場にいるんだし、大丈夫だろ」
「とりあえずお前の家に戻ろう。おばさんたちきっと心配してるぜ」
幼馴染たちに引きずられるようにして帰宅した家では、父ちゃんと母ちゃんが寝ないで俺の帰りを待っていた。
てっきりゲンコツのひとつくらいはもらうかなと思ったが、両親は何も言わずに出迎えてくれた。
「…なにか食べる?」
母ちゃんから腹は減ってないかと言われたが、食欲が無いので首を横にふる。何も食べたくないんだ。
「おじさん。おばさん。あのさ、生意気なこと言ってもいいかな」
そんな俺を見た象獣人のダチは何を思ったのか、口を挟んできた。
「他所の家庭のことだから、今まで黙っていたけどさ……今回の件、テオの気持ち置いてけぼりにしすぎだぜ」
ダチの言葉に俺は固まった。
続けて、獅子獣人、栗鼠獣人のダチも口を開いた。
「獣人にとっては運命に従うのが自然なんだろうけど、テオは抗ってる。テオの中にはデイジーがいるんだよ。このまま無理やりくっつけても幸せになんねぇよ」
「デイジーは貴族の姫さんだ。現実的に2人が結ばれるとは俺も思わない。だけどよ、このままゴリ押してもテオの心が壊れちまうよ」
──それでも無理やり番わせるのか?
幼馴染たちの声は、自信がなさそうに聞こえた。疑問すら浮かんでいる。多分彼らも正解がなにかわからずじまいだったのだろう。
だけど俺の気持ちを優先して味方をしてくれた。俺はそれが心強くて、それだけで救われた気分になれた。俺の想いを否定しないで発言してくれたことが嬉しかった。
両親は幼馴染の言葉に反論することなく黙り込んでいた。もう遅いから家に帰って休みなさいと彼らを追い出した後は、俺にも休むように促しただけだった。
だけど両親には幼馴染らの言葉は響いたようだ。その翌日から俺とレイラを番わせようと圧力を掛けることはなくなった。その代わり、心配そうにこちらを伺うようにはなったけど。
……俺は運命の番を受け入れない。親不孝な息子で本当に申し訳ない。レイラにはこれからも引き続き頭を下げて謝罪して、誠意を見せるしか出来ないのである。
誰がなんと言おうと、俺の心を占拠しているはデイジーなのだ。貴族でも村娘でもそれは変わらない。
彼女の甘い香りが嗅ぎたい。
落ち着いた声が聞きたい。
──…会いたい。
今も国を守るべく戦っているであろう彼女の無事を願って、俺は今日も淡々と味気のない一日を過ごすのである。
10
あなたにおすすめの小説
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる