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Day‘s Eye デイジーの花が開くとき
狼獣人の嫉妬と怒れる魔術師の攻防
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若返り薬で縮んでいた身体がもとに戻り、ひとりで配達に町へ出向いたある日のことだ。
「君の作った美容クリームの評判を聞きつけたんだ。そこで君の作っている美容クリームのレシピを買い取らせてほしい」
どっかで私の評判を聞きつけて、金の匂いを嗅ぎ取ったという商人から声を掛けられた。化粧水とセットにして売って、売上の5割が私の懐に入るといいうものだったが……価格を今よりも低価格にして、量産するという話だったのでお断りした。
質の低下の懸念もあるし、取り分がガクッと落ちる。私が作らなくていいという利点はあるが、あまり旨味がないのだ。
「せっかくですがお断りします。そもそも私魔術師なので薬特化なんです」
そもそも私は美容クリーム屋ではないのだ。たまたま頼まれて作っているだけであり、そういう事で名前を売りたくない。どうせなら薬で有名になりたい。
気が変わったらいつでも連絡くれと連絡先を押し付けられたが、気は変わらないと思う。手にねじ込まれた名刺を見下ろして私はため息を吐いた。
こういう権利関係は後で問題が起きそうだからなるべく関わりたくない。もしもあっちが薄利多売を目論んで手抜きしたときに健康被害が起きた場合、私に責任が押し付けられそうだし。信用信頼できないうちはうまい話に乗らない方が良い。
「……デイジー」
不機嫌さを隠さない、地を這うような声。
私が振り返ると、無表情のテオが突っ立っていた。
「…あれ、迎えに来てくれたの?」
もう若返り薬の効果が切れて、魔法も問題なく使えるようになったから、薬の配達は1人でも大丈夫だと言ったのに心配性だな。
「今の男は何だ」
しかし、彼の意識は別の方向へと向かっているようで、何故か私の手を睨みつけていた。
重々しい口調で問われた私は拍子抜けしてしまう。
「男…? あぁ、さっきの商人のこと?」
「何を貰った。恋文か?」
「いたっ」
怖い顔をしたテオは私の手を掴んで中にあったメモを引き抜いた。力任せに奪われたため私は痛みを訴えたが、テオはそのメモに穴が空くほど睨みつけていた。
私はギクリとして息を飲み込む。なんだか嫌な予感がしたのだ。
「名前に住所…お前、あんな優男の誘いに乗ったのか」
グルグルと不機嫌に喉を鳴らしたテオは見るからに怒っていた。優男の誘いって……おかしな誤解をして恐ろしい顔で私を見下ろしているではないか。
私は一歩後ろに下がる。だがテオがズイッと前に進んできた。咎めるような視線が不快なので、私は弁解してみせる。
「あの人は商人で、私が作ってる美容クリームのレシピを求めて声を」
「ふざけるなよ! そんな言い訳聞きたくねぇ!」
1人で激高しているテオを見上げた私はすぅっと頭が冷えた。
まずは聞けよ。全部話してないでしょうが。大体言い訳じゃないし。
「言い訳じゃない。あの人は商人!」
「手を握らせてただろ! あんな顔を近づけて……」
商売の話だからとヒソヒソ話をされたけど、やましい気持ちはなかったぞ。だけどそれがテオにはいやらしく映ったみたいだ。
「ならさっきの人追いかけよう。話を聞けばテオの誤解も解ける」
「お前は俺の番だろ!? 本当なら他の男と話すのすら許せねぇのに…」
ぎりぎりと歯を噛み締めて、嫉妬に狂うテオ。これだから獣人は……
「ねぇテオ、私の話を聞いて?」
「お前は肝心な時抜けてる。周りのオスたちにどんな目で見られてるか全然わかってねぇ! 俺がどれだけ気を張ってきたかわかんねぇんだろ!」
「テオ」
「やっぱり頭のいい男のほうが好きなのか? 金持ちそうな伊達男のほうが」
人の話を聞かずに勝手に浮気認定して突っ走るテオ。私が呼びかけても聞こうともしない。
普通に生活してたら他の男性と話すし、さっきのは名刺を無理やり押し付けられただけだ。ピーピーとやかましいなぁ。自分のことはどうなんだ。
イライラしていた私は、テオの言葉にカチンときた。
「黙れ」
思ったよりもドスの利いた声が私の口から飛び出してきた。決して声を張り上げたわけじゃないけど、テオの耳には大きく響いたらしい。ヤツの獣耳はビビッと毛を逆立てていた。
「あんたが運命の番にクラクラしてるとき、私は責めずに静観してやったのに。私の目の前で、皆の前で他の女とキスしてたのはどこの誰でしたっけ?」
私が目をカッ開いてテオを睨めつけると、テオはギクッとしていた。
「だってあれはしょうが」
「運命の番の衝動とか私には関係ないよ。私人間だもん。私に獣人の常識を押し付けないで。…あんた自分のことばかりなのね。いい加減にして」
私の言い分を聞かなかったんだ。よって私もあんたの言い分なんか無視してやる。
「私はまだあんたの番じゃないし、私の行動をそうやって縛るのやめて……私は何もやましいことはしていない。…これ以上騒ぐようなら怒るよ」
私はわざと魔力放出してテオを威嚇した。
最初に喧嘩を売ってきたのはテオだ。それならば私だって仕返ししてやる。あいにく私は恋人に嫉妬されてそれで傷ついて泣くような玉じゃないんだ。
私の魔力の圧によってテオの怒りは鎮まり、今は少し怯えた表情を向けていた。
「あんたの顔見たくない。しばらく話しかけてこないで」
あんたは私から離れて冷静に考える時間を作りなさい。
私は冷たく突き放すと踵を返した。
「デイジー!」
情けない顔をしたテオから追い縋られそうになったので、私はそこで転送術を使って一足先に村へ戻った。
家に帰ると両親らにテオと喧嘩したからしばらく距離を置くことにしたと告げた。家にやってきても追い返してくれとお願いし、外で行動する際はニオイ消しの香水を使って居場所を特定できないようにした。
時折道端で発見されたが、そのときは目の前で転送術を使って消えたり、ルルに乗ってどこかへと飛び去った。
私に避けられ続けて弱ったテオは家にやって来ては、綺麗なお花やら食べ物で許してもらおうとしていたが、お母さんとお父さんに壁になってもらって一切口を利かなかった。
テオが牙を失った獣人みたいに萎れていて可哀想だと言ってくる外野もいたが、そもそもテオが悪い。可哀想なのは私である。
「尻に敷かれてるな…あいつ泣きそうだぞ」
元悪ガキトリオの栗鼠獣人がテオを庇う発言をしてきたので、私は鼻で笑ってやった。
「私はどこまでいっても人間だからね、獣人に合わせるのにも限界があるよ。やってないことを疑うほうが悪い」
嫉妬深いにも限度があるだろう。そんなのそっちの問題なだけであって、私までそれに振り回される謂れはないのだ。
「結婚した後もあのまま私を束縛するつもりなら、私も結婚を考え直す。私は自立するために魔術師になったの。夫になる男に縛られて自由を失うなら結婚なんかしない」
私は自由を求めて戻ったのに、ガチガチに縛られるとかたまったもんじゃない。
相手が獣人だとしてもだ。私の自由を妨害するのであれば、その時は切り捨てる。
「手厳しいなぁ」
「理性的だと言って。獣人は本能に生きすぎなのよ。私を選んだ時点で、テオはそこを覚悟するべきだった」
あいつだって私の性格はわかっているだろう。束縛されたら私が反発するのわかってて、わけのわからん嫉妬してくるテオが悪いのだ。
じゃあなんだ、女の子に声を掛けられるテオを見つける度に感情的になって詰らなければならんのか? 一度や二度ならいいが、繰り返すとうんざりすると思うぞ? 私も疲れるからしないけど。
フンッと鼻を鳴らしていると、栗鼠獣人が斜めの方向を見て「あ」とぼやいていた。彼の視線を辿ると、こちらに駆け寄ってくる狼獣人の姿……
私は、転送術でその場から消え去ってやったのであった。
──1ヶ月とは言わないが、数週間その攻防を繰り広げていたら、テオの両親がわざわざ謝罪にやって来た。おじさんはテオが可哀想だと庇う発言をしていたが、おばさんは私寄りな意見を言っていた。
「私が言うのはなんだけど、狼獣人の男って執念深いと言うか、一途すぎるというか……うちの息子が本当ごめんね」
「大丈夫ですよ、これは躾なので」
仕事でも、生きる上でも、男性と関わることは避けられない。私をガチガチに縛ることはできないのだ。テオは私と感覚が異なることを覚えなくてはならない。
私が笑顔で言うと、おじさんが引きつった顔をしていた。
私は疑われて不快だった。過剰な束縛が鬱陶しかった。それを知らしめるためにテオを避けて無視しているのだ。ただ短気を起こしているだけじゃないんだぞ。
その後しばらくテオをお仕置きの名目で無視し続け……そろそろ反省して落ち着いたかなと思ったので、久々声をかけるとテオは無言で私を掻き抱いた。
無視されていた期間分、反動が来て人前でスーハー吸われて恥をかかされた。
また逆戻りになった気がしたが、その日からテオは感情的になるのではなく、一呼吸置いてまずは私の話を聞く努力をするようになった。長期間私に無視されたのが堪えたようである。
多分これからも私とテオは衝突することがあるであろうが、私達は違う種族な分、価値観とか感覚が異なるから仕方ない。ぶつかり合いながらも、お互い譲れない部分と譲る部分を見つけあっていくしかないのである。
「君の作った美容クリームの評判を聞きつけたんだ。そこで君の作っている美容クリームのレシピを買い取らせてほしい」
どっかで私の評判を聞きつけて、金の匂いを嗅ぎ取ったという商人から声を掛けられた。化粧水とセットにして売って、売上の5割が私の懐に入るといいうものだったが……価格を今よりも低価格にして、量産するという話だったのでお断りした。
質の低下の懸念もあるし、取り分がガクッと落ちる。私が作らなくていいという利点はあるが、あまり旨味がないのだ。
「せっかくですがお断りします。そもそも私魔術師なので薬特化なんです」
そもそも私は美容クリーム屋ではないのだ。たまたま頼まれて作っているだけであり、そういう事で名前を売りたくない。どうせなら薬で有名になりたい。
気が変わったらいつでも連絡くれと連絡先を押し付けられたが、気は変わらないと思う。手にねじ込まれた名刺を見下ろして私はため息を吐いた。
こういう権利関係は後で問題が起きそうだからなるべく関わりたくない。もしもあっちが薄利多売を目論んで手抜きしたときに健康被害が起きた場合、私に責任が押し付けられそうだし。信用信頼できないうちはうまい話に乗らない方が良い。
「……デイジー」
不機嫌さを隠さない、地を這うような声。
私が振り返ると、無表情のテオが突っ立っていた。
「…あれ、迎えに来てくれたの?」
もう若返り薬の効果が切れて、魔法も問題なく使えるようになったから、薬の配達は1人でも大丈夫だと言ったのに心配性だな。
「今の男は何だ」
しかし、彼の意識は別の方向へと向かっているようで、何故か私の手を睨みつけていた。
重々しい口調で問われた私は拍子抜けしてしまう。
「男…? あぁ、さっきの商人のこと?」
「何を貰った。恋文か?」
「いたっ」
怖い顔をしたテオは私の手を掴んで中にあったメモを引き抜いた。力任せに奪われたため私は痛みを訴えたが、テオはそのメモに穴が空くほど睨みつけていた。
私はギクリとして息を飲み込む。なんだか嫌な予感がしたのだ。
「名前に住所…お前、あんな優男の誘いに乗ったのか」
グルグルと不機嫌に喉を鳴らしたテオは見るからに怒っていた。優男の誘いって……おかしな誤解をして恐ろしい顔で私を見下ろしているではないか。
私は一歩後ろに下がる。だがテオがズイッと前に進んできた。咎めるような視線が不快なので、私は弁解してみせる。
「あの人は商人で、私が作ってる美容クリームのレシピを求めて声を」
「ふざけるなよ! そんな言い訳聞きたくねぇ!」
1人で激高しているテオを見上げた私はすぅっと頭が冷えた。
まずは聞けよ。全部話してないでしょうが。大体言い訳じゃないし。
「言い訳じゃない。あの人は商人!」
「手を握らせてただろ! あんな顔を近づけて……」
商売の話だからとヒソヒソ話をされたけど、やましい気持ちはなかったぞ。だけどそれがテオにはいやらしく映ったみたいだ。
「ならさっきの人追いかけよう。話を聞けばテオの誤解も解ける」
「お前は俺の番だろ!? 本当なら他の男と話すのすら許せねぇのに…」
ぎりぎりと歯を噛み締めて、嫉妬に狂うテオ。これだから獣人は……
「ねぇテオ、私の話を聞いて?」
「お前は肝心な時抜けてる。周りのオスたちにどんな目で見られてるか全然わかってねぇ! 俺がどれだけ気を張ってきたかわかんねぇんだろ!」
「テオ」
「やっぱり頭のいい男のほうが好きなのか? 金持ちそうな伊達男のほうが」
人の話を聞かずに勝手に浮気認定して突っ走るテオ。私が呼びかけても聞こうともしない。
普通に生活してたら他の男性と話すし、さっきのは名刺を無理やり押し付けられただけだ。ピーピーとやかましいなぁ。自分のことはどうなんだ。
イライラしていた私は、テオの言葉にカチンときた。
「黙れ」
思ったよりもドスの利いた声が私の口から飛び出してきた。決して声を張り上げたわけじゃないけど、テオの耳には大きく響いたらしい。ヤツの獣耳はビビッと毛を逆立てていた。
「あんたが運命の番にクラクラしてるとき、私は責めずに静観してやったのに。私の目の前で、皆の前で他の女とキスしてたのはどこの誰でしたっけ?」
私が目をカッ開いてテオを睨めつけると、テオはギクッとしていた。
「だってあれはしょうが」
「運命の番の衝動とか私には関係ないよ。私人間だもん。私に獣人の常識を押し付けないで。…あんた自分のことばかりなのね。いい加減にして」
私の言い分を聞かなかったんだ。よって私もあんたの言い分なんか無視してやる。
「私はまだあんたの番じゃないし、私の行動をそうやって縛るのやめて……私は何もやましいことはしていない。…これ以上騒ぐようなら怒るよ」
私はわざと魔力放出してテオを威嚇した。
最初に喧嘩を売ってきたのはテオだ。それならば私だって仕返ししてやる。あいにく私は恋人に嫉妬されてそれで傷ついて泣くような玉じゃないんだ。
私の魔力の圧によってテオの怒りは鎮まり、今は少し怯えた表情を向けていた。
「あんたの顔見たくない。しばらく話しかけてこないで」
あんたは私から離れて冷静に考える時間を作りなさい。
私は冷たく突き放すと踵を返した。
「デイジー!」
情けない顔をしたテオから追い縋られそうになったので、私はそこで転送術を使って一足先に村へ戻った。
家に帰ると両親らにテオと喧嘩したからしばらく距離を置くことにしたと告げた。家にやってきても追い返してくれとお願いし、外で行動する際はニオイ消しの香水を使って居場所を特定できないようにした。
時折道端で発見されたが、そのときは目の前で転送術を使って消えたり、ルルに乗ってどこかへと飛び去った。
私に避けられ続けて弱ったテオは家にやって来ては、綺麗なお花やら食べ物で許してもらおうとしていたが、お母さんとお父さんに壁になってもらって一切口を利かなかった。
テオが牙を失った獣人みたいに萎れていて可哀想だと言ってくる外野もいたが、そもそもテオが悪い。可哀想なのは私である。
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「私はどこまでいっても人間だからね、獣人に合わせるのにも限界があるよ。やってないことを疑うほうが悪い」
嫉妬深いにも限度があるだろう。そんなのそっちの問題なだけであって、私までそれに振り回される謂れはないのだ。
「結婚した後もあのまま私を束縛するつもりなら、私も結婚を考え直す。私は自立するために魔術師になったの。夫になる男に縛られて自由を失うなら結婚なんかしない」
私は自由を求めて戻ったのに、ガチガチに縛られるとかたまったもんじゃない。
相手が獣人だとしてもだ。私の自由を妨害するのであれば、その時は切り捨てる。
「手厳しいなぁ」
「理性的だと言って。獣人は本能に生きすぎなのよ。私を選んだ時点で、テオはそこを覚悟するべきだった」
あいつだって私の性格はわかっているだろう。束縛されたら私が反発するのわかってて、わけのわからん嫉妬してくるテオが悪いのだ。
じゃあなんだ、女の子に声を掛けられるテオを見つける度に感情的になって詰らなければならんのか? 一度や二度ならいいが、繰り返すとうんざりすると思うぞ? 私も疲れるからしないけど。
フンッと鼻を鳴らしていると、栗鼠獣人が斜めの方向を見て「あ」とぼやいていた。彼の視線を辿ると、こちらに駆け寄ってくる狼獣人の姿……
私は、転送術でその場から消え去ってやったのであった。
──1ヶ月とは言わないが、数週間その攻防を繰り広げていたら、テオの両親がわざわざ謝罪にやって来た。おじさんはテオが可哀想だと庇う発言をしていたが、おばさんは私寄りな意見を言っていた。
「私が言うのはなんだけど、狼獣人の男って執念深いと言うか、一途すぎるというか……うちの息子が本当ごめんね」
「大丈夫ですよ、これは躾なので」
仕事でも、生きる上でも、男性と関わることは避けられない。私をガチガチに縛ることはできないのだ。テオは私と感覚が異なることを覚えなくてはならない。
私が笑顔で言うと、おじさんが引きつった顔をしていた。
私は疑われて不快だった。過剰な束縛が鬱陶しかった。それを知らしめるためにテオを避けて無視しているのだ。ただ短気を起こしているだけじゃないんだぞ。
その後しばらくテオをお仕置きの名目で無視し続け……そろそろ反省して落ち着いたかなと思ったので、久々声をかけるとテオは無言で私を掻き抱いた。
無視されていた期間分、反動が来て人前でスーハー吸われて恥をかかされた。
また逆戻りになった気がしたが、その日からテオは感情的になるのではなく、一呼吸置いてまずは私の話を聞く努力をするようになった。長期間私に無視されたのが堪えたようである。
多分これからも私とテオは衝突することがあるであろうが、私達は違う種族な分、価値観とか感覚が異なるから仕方ない。ぶつかり合いながらも、お互い譲れない部分と譲る部分を見つけあっていくしかないのである。
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