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Day‘s Eye デイジーの花が開くとき
女神の祝福
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通常、長距離移動する際は馬車を使用する。私一人なら転送術でなんとかなるけど、魔法が使えないテオが一緒の時は馬車一択だ。
だけどその日だけは違った。
「お前のためじゃない。主のためだ。私の背中に乗れることを光栄に思えよ、犬っころ」
「狼だって言ってんだろ。素直に祝えねぇのかお前」
ルルが旧王都の大神殿まで送ってくれると自ら名乗り出てくれたのだ。
運命の番問題では一時期テオに対してピリついていたルル。しかしそれきっかけに少し仲良くなったかな? と思っていたんだけど……やっぱり前とあまり変わらないような気もする。
ルルの背中に乗ったら旧王都までひとっ飛びだ。その日は早朝からスッキリした天気だった。初春ってこともあり気温も低めだったけど、魔法で保温していたし、テオが後ろから抱きしめて守ってくれていたので全然寒くなかった。
旧王都の大神殿に入ると雰囲気がガラリと変わる。厳かな空気に飲まれてテオまで口数が少なくなっていた。…何度出向いても妙にかしこまってしまう。
今日は女神様へ結婚の報告の為にやって来た。そう、私とテオは今日夫婦になるのだ。
結婚の書類に私達の名前を書くと、それを大巫女様に差し出す。エスメラルダ王国の大巫女様はそれを恭しく受け取ると、それを祭壇へと並べた。
祭壇の上には女神フローラへの供物が所狭しと並べられている。それは結婚する男女の家族が、この2人の結婚に祝福してくださいと女神様にお願いという形で貢いでいるのだ。うちの場合、3家族からの提供なので量がすごい。祭壇じゃ足りなくてどこからか引っ張り出した机の上にもズラッと供物が並んでいる…。
大神殿の奥深く、女神と交信する水殿の奥には大きな女神像がある。これまでに大神殿には何度か行く機会があったけど、今日は少しばかり神殿内の空気が違ったような気がした。……私の気のせいだろうか。空中から視線を感じるのだ。
「我らの母フローラ様、この度夫婦となるテオ・タルコットとアステリア・デイジー・フォルクヴァルツの永久の愛と幸せをどうぞお見守りくださいませ」
大巫女様が祝詞を読み上げ、女神へと報告を行う。
私はドキドキしていた。女神様は私をシュバルツの次期王妃として推していたと聞いたことがある。女神の力でテオと引き裂かれたらどうしようとか、厳罰が下ったりしないかとか、そんな不安があったのだ。
しゅる、と大巫女様の巫女服の裾が音を立てた。彼女は膝をついて頭を下げている私達の頭の上に手のひらをそっと乗せる。
「女神フローラの元、二人の結婚を認めます」
あぁ、よかった。何事もなく、大巫女様に認められた…私は別の意味でホッとしていたのだが、次の瞬間、目を疑った。
頭を下げていた私の目の端でチカチカと輝く光のようなものが見えたのだ。それは雪が太陽の光に反射したようにちらつき……
「……?」
私が顔を上げると、天井から光の粒が降り注いでいた。
これはまるで──祝福の魔法である。
「…大巫女様、祝福の呪文をかけられましたか?」
大巫女様直々にそんな事するかな…と疑いつつも確認すると、目の前の大巫女様は困った顔をして首を横に振っていた。
「いいえ、私は魔なしなので…」
「失礼しました、すみません」
無遠慮なことを聞いてしまって申し訳ないと謝罪して、私は宙を見上げた。
「…不思議なこともあるものですね。…あなたは女神様からご加護を頂いているのかもしれません」
大巫女様の言葉に私ははたと気づく。
慈愛深く、時に残酷な女神フローラ。
彼女は私の生存をシュバルツ勢に知らせ、王妃候補として推した。
ハルベリオンのエスメラルダ襲撃を私に知らせてくれた。
何を考えているかよくわからない気まぐれな女神様だけど……
「…祝福してくれているのなら、嬉しいですね」
私は苦笑いを浮かべた。
彼女はどこかで私を見守ってくれていたのだろう。それがどういう風の吹き回しかはわからないが、きっと悪い感情ではないと思う。
シュバルツが戦禍に飲まれた日から今日まで、私の人生は大きく変わったけれど、私は自分の選択を悔いていない。
私は貴族であることを拒絶した。実力で手に入れた高等魔術師という地位で、組織に縛られず自由にのびのび働く事を選んだ。
これからはテオと一緒に平凡で穏やかな幸せを築き上げたい。そこには豪華なドレスもごちそうも無い。立派なお城も使用人もいないけど、私の幸せは、魔術師として困っている人々を助けること、そして大切な人たちと過ごす平凡な日々なんだ。
それが自分の幸せのカタチだと気づけたのだ。
私はテオの背に抱きついて、顔を隠した。
「デイジー?」
テオが心配して声を掛けてきたが、私は顔を彼の背中に押し付けたまま動かなかった。これまでのことを思い出して、目頭が熱くなってしまって涙がこぼれそうだったから。
お祝いの日に涙を見せたくなかった。だけど涙はしばらく止まってくれなかった。
■□■
手続きを終えて村に戻るとお披露目式の準備が整っていた。フォルクヴァルツから選抜された使用人らが腕によりをかけてくれたそうだ。村人の結婚お披露目式にしては派手になるだろうなと思っていたが、予想通りである。
後は主役の私達が着飾るだけ。送ってくれたルルの背中から降りた途端、メイド数人に拉致され、手抜かりなくしっかり磨かれた。
そこに私の意見など必要としない。彼女たちは私を立派な花嫁にすべく、目を血走らせて仕事を見せつけてくれた。
「本当に、本当に綺麗よ、アステリア」
「娘が嫁ぐってのはこんなに嬉しくて寂しいもんなんだねぇ…」
フォルクヴァルツから出張してきたメイド達に塗りたくられ、絞られて完成した花嫁姿の私を前にして、2人の母が涙を流していた。その後ろでお父さんが顔を真っ赤にしてむせび泣き、兄さんたちに背中を擦られている。
フォルクヴァルツの父上と兄上は比較的冷静だが、私は気づいている。父上の目が赤くなっていることを。
母上が職人と喧嘩しながら出来上がったドレスは豪華そのもの。ドレスにはパールが縫い込まれており、歩く度に光の反射でキラキラ光る。その御蔭でとても重いが、ウェディングドレスというものは元々重いものらしい。黒髪は細かく結われて、頭の上には母上から譲り受けたティアラが輝いていた。
こんな田舎町の結婚お披露目式なのに少々豪勢すぎないか? と思ったが、お互いの家の格を見せつけることでもあるから問題ないと彼らは笑って言った。
私は血のつながった両親と兄を見上げてしんみりした気分になっていた。短い間の親子関係だったのに、ここまでしてくれて本当に…
「お嫁に行って名字が変わっても、あなたは私達の娘なのよ。それを忘れないで」
私の心でも読んだのであろうか。母上がハンカチで私の目元を軽く拭ってきた。
「それにわたくし気づいてしまったの。貴族でなく、テオさんに嫁いだのであれば、いつでもあなたに会えるのだって」
貴族として嫁いだら、領地から出ていかなくてならない。仮に私が王太子妃になってしまえば天上の人となり、滅多に会えなくなっていたはずだ。そして他の貴族に嫁いだとしても同様。結婚したら婚家に従うのが常。生家は出しゃばらず、一歩下がっているのが常識だからだ。
平民家庭でもそういう家庭があるけど、うちの村ではそういうの無いからなぁ。村の娘が他所に嫁いだとしても、夫婦揃って頻繁に里帰りしてくるし。
獣人は仲間内の団結が強いので、味方と判断されたら心強い。家族と会う理由であれば、テオも止めたりしないだろう。彼らが遊びに来たら素直に歓迎すると思われる。
母上はその利点を見出したらしく、私が嫁いでも、母娘として交流できると楽しみにしているようだ。彼女らしい言葉に私は笑ってしまった。
「そうそう、離れて暮らしていた期間が長かろうと、血がつながっていなかろうと、あたしたちとあんたは親子なんだよ」
「困ったことがあったらすぐに言ってちょうだい。いつでも力になるわ」
育ててくれたお母さんも温かい言葉を投げかけてくれた。私は2人からの言葉にたまらなくなった。衣装にシワが寄るのもいとわずに、2人のお母さんに抱きつく。
「ありがとう、お母さんたち……産んでくれて、育ててくれて…」
私は口下手なのでそれしか言えなかった。
口を開けば涙が溢れ出しそうだったから。
だけど私の気持ちは彼女たちに充分伝わったみたいだ。私の背中を撫でるその温かい手。ぐす、と鼻を啜る音が双方から聞こえてくる。
私は幸せものだ。こんなに優しい人たちに見守られて嫁いでいけるのだから。
だけどその日だけは違った。
「お前のためじゃない。主のためだ。私の背中に乗れることを光栄に思えよ、犬っころ」
「狼だって言ってんだろ。素直に祝えねぇのかお前」
ルルが旧王都の大神殿まで送ってくれると自ら名乗り出てくれたのだ。
運命の番問題では一時期テオに対してピリついていたルル。しかしそれきっかけに少し仲良くなったかな? と思っていたんだけど……やっぱり前とあまり変わらないような気もする。
ルルの背中に乗ったら旧王都までひとっ飛びだ。その日は早朝からスッキリした天気だった。初春ってこともあり気温も低めだったけど、魔法で保温していたし、テオが後ろから抱きしめて守ってくれていたので全然寒くなかった。
旧王都の大神殿に入ると雰囲気がガラリと変わる。厳かな空気に飲まれてテオまで口数が少なくなっていた。…何度出向いても妙にかしこまってしまう。
今日は女神様へ結婚の報告の為にやって来た。そう、私とテオは今日夫婦になるのだ。
結婚の書類に私達の名前を書くと、それを大巫女様に差し出す。エスメラルダ王国の大巫女様はそれを恭しく受け取ると、それを祭壇へと並べた。
祭壇の上には女神フローラへの供物が所狭しと並べられている。それは結婚する男女の家族が、この2人の結婚に祝福してくださいと女神様にお願いという形で貢いでいるのだ。うちの場合、3家族からの提供なので量がすごい。祭壇じゃ足りなくてどこからか引っ張り出した机の上にもズラッと供物が並んでいる…。
大神殿の奥深く、女神と交信する水殿の奥には大きな女神像がある。これまでに大神殿には何度か行く機会があったけど、今日は少しばかり神殿内の空気が違ったような気がした。……私の気のせいだろうか。空中から視線を感じるのだ。
「我らの母フローラ様、この度夫婦となるテオ・タルコットとアステリア・デイジー・フォルクヴァルツの永久の愛と幸せをどうぞお見守りくださいませ」
大巫女様が祝詞を読み上げ、女神へと報告を行う。
私はドキドキしていた。女神様は私をシュバルツの次期王妃として推していたと聞いたことがある。女神の力でテオと引き裂かれたらどうしようとか、厳罰が下ったりしないかとか、そんな不安があったのだ。
しゅる、と大巫女様の巫女服の裾が音を立てた。彼女は膝をついて頭を下げている私達の頭の上に手のひらをそっと乗せる。
「女神フローラの元、二人の結婚を認めます」
あぁ、よかった。何事もなく、大巫女様に認められた…私は別の意味でホッとしていたのだが、次の瞬間、目を疑った。
頭を下げていた私の目の端でチカチカと輝く光のようなものが見えたのだ。それは雪が太陽の光に反射したようにちらつき……
「……?」
私が顔を上げると、天井から光の粒が降り注いでいた。
これはまるで──祝福の魔法である。
「…大巫女様、祝福の呪文をかけられましたか?」
大巫女様直々にそんな事するかな…と疑いつつも確認すると、目の前の大巫女様は困った顔をして首を横に振っていた。
「いいえ、私は魔なしなので…」
「失礼しました、すみません」
無遠慮なことを聞いてしまって申し訳ないと謝罪して、私は宙を見上げた。
「…不思議なこともあるものですね。…あなたは女神様からご加護を頂いているのかもしれません」
大巫女様の言葉に私ははたと気づく。
慈愛深く、時に残酷な女神フローラ。
彼女は私の生存をシュバルツ勢に知らせ、王妃候補として推した。
ハルベリオンのエスメラルダ襲撃を私に知らせてくれた。
何を考えているかよくわからない気まぐれな女神様だけど……
「…祝福してくれているのなら、嬉しいですね」
私は苦笑いを浮かべた。
彼女はどこかで私を見守ってくれていたのだろう。それがどういう風の吹き回しかはわからないが、きっと悪い感情ではないと思う。
シュバルツが戦禍に飲まれた日から今日まで、私の人生は大きく変わったけれど、私は自分の選択を悔いていない。
私は貴族であることを拒絶した。実力で手に入れた高等魔術師という地位で、組織に縛られず自由にのびのび働く事を選んだ。
これからはテオと一緒に平凡で穏やかな幸せを築き上げたい。そこには豪華なドレスもごちそうも無い。立派なお城も使用人もいないけど、私の幸せは、魔術師として困っている人々を助けること、そして大切な人たちと過ごす平凡な日々なんだ。
それが自分の幸せのカタチだと気づけたのだ。
私はテオの背に抱きついて、顔を隠した。
「デイジー?」
テオが心配して声を掛けてきたが、私は顔を彼の背中に押し付けたまま動かなかった。これまでのことを思い出して、目頭が熱くなってしまって涙がこぼれそうだったから。
お祝いの日に涙を見せたくなかった。だけど涙はしばらく止まってくれなかった。
■□■
手続きを終えて村に戻るとお披露目式の準備が整っていた。フォルクヴァルツから選抜された使用人らが腕によりをかけてくれたそうだ。村人の結婚お披露目式にしては派手になるだろうなと思っていたが、予想通りである。
後は主役の私達が着飾るだけ。送ってくれたルルの背中から降りた途端、メイド数人に拉致され、手抜かりなくしっかり磨かれた。
そこに私の意見など必要としない。彼女たちは私を立派な花嫁にすべく、目を血走らせて仕事を見せつけてくれた。
「本当に、本当に綺麗よ、アステリア」
「娘が嫁ぐってのはこんなに嬉しくて寂しいもんなんだねぇ…」
フォルクヴァルツから出張してきたメイド達に塗りたくられ、絞られて完成した花嫁姿の私を前にして、2人の母が涙を流していた。その後ろでお父さんが顔を真っ赤にしてむせび泣き、兄さんたちに背中を擦られている。
フォルクヴァルツの父上と兄上は比較的冷静だが、私は気づいている。父上の目が赤くなっていることを。
母上が職人と喧嘩しながら出来上がったドレスは豪華そのもの。ドレスにはパールが縫い込まれており、歩く度に光の反射でキラキラ光る。その御蔭でとても重いが、ウェディングドレスというものは元々重いものらしい。黒髪は細かく結われて、頭の上には母上から譲り受けたティアラが輝いていた。
こんな田舎町の結婚お披露目式なのに少々豪勢すぎないか? と思ったが、お互いの家の格を見せつけることでもあるから問題ないと彼らは笑って言った。
私は血のつながった両親と兄を見上げてしんみりした気分になっていた。短い間の親子関係だったのに、ここまでしてくれて本当に…
「お嫁に行って名字が変わっても、あなたは私達の娘なのよ。それを忘れないで」
私の心でも読んだのであろうか。母上がハンカチで私の目元を軽く拭ってきた。
「それにわたくし気づいてしまったの。貴族でなく、テオさんに嫁いだのであれば、いつでもあなたに会えるのだって」
貴族として嫁いだら、領地から出ていかなくてならない。仮に私が王太子妃になってしまえば天上の人となり、滅多に会えなくなっていたはずだ。そして他の貴族に嫁いだとしても同様。結婚したら婚家に従うのが常。生家は出しゃばらず、一歩下がっているのが常識だからだ。
平民家庭でもそういう家庭があるけど、うちの村ではそういうの無いからなぁ。村の娘が他所に嫁いだとしても、夫婦揃って頻繁に里帰りしてくるし。
獣人は仲間内の団結が強いので、味方と判断されたら心強い。家族と会う理由であれば、テオも止めたりしないだろう。彼らが遊びに来たら素直に歓迎すると思われる。
母上はその利点を見出したらしく、私が嫁いでも、母娘として交流できると楽しみにしているようだ。彼女らしい言葉に私は笑ってしまった。
「そうそう、離れて暮らしていた期間が長かろうと、血がつながっていなかろうと、あたしたちとあんたは親子なんだよ」
「困ったことがあったらすぐに言ってちょうだい。いつでも力になるわ」
育ててくれたお母さんも温かい言葉を投げかけてくれた。私は2人からの言葉にたまらなくなった。衣装にシワが寄るのもいとわずに、2人のお母さんに抱きつく。
「ありがとう、お母さんたち……産んでくれて、育ててくれて…」
私は口下手なのでそれしか言えなかった。
口を開けば涙が溢れ出しそうだったから。
だけど私の気持ちは彼女たちに充分伝わったみたいだ。私の背中を撫でるその温かい手。ぐす、と鼻を啜る音が双方から聞こえてくる。
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