この時を待っていた。

諏訪彼方

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悲壮感か、本能か、義務か

運命にさえも

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「…」
「なんか言ってよ」
「…」
「諦めないから。絶対に。運命にさえも絶対負けない。」
「せつ菜…」

 諦めがついた人と逃げ道を作ってそこに走った人が正しいこの世界。せつ菜が運命にも宿命にも抗えないのは明らか。認めたくないからこその強気な発言。
せつ菜も分かってるはず。私には時間がなくて、せつ菜はいずれ1人で強く生きなくてはならないと。

「だから…諦め…ない…」
そう言ってせつ菜は気を失って床に倒れてしまった。慌ててナースコールで看護師さんを呼ぶ。すぐに看護師さん数人と、お母さんが来てくれた。
 駆けつけてくれた看護師さんたちは、せつ菜をストレッチャー?で運んでいき、私とお母さんだけの空間になった。

「せつ菜には、刺激が過ぎるかも…」
「多分勘づいてる。自分を責めたり変なことしなきゃいいけど。」
「そうね。」
「お母さんも、だからね」
「…」
「何か言ってよ」
「ええ…」
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