君の記憶が、終わるまで

諏訪彼方

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何者か

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「……誰?」

 その声に、いおりは一瞬だけ瞬きをした。
 予想外の展開だった。死神の姿は通常の人間には見えないはずだから。
 それなのに、目の前の少女――彩香ははっきりといおりを見ている。まっすぐに。その黒い瞳には、疑いも恐れもない。

「あなた……お見舞いの人?」
 柔らかい声だった。病室の白に溶けるような、静かな響き。いおりは答えなかった。ただ黙って、彼女の顔を見つめる。
「……でも、制服じゃないし、友達でもなさそうだし……夜だし……」

 彩香は少しだけ首を傾げて笑った。
 いおりの無言に対して、まるで気にする様子もない。

「もしかして……天使とか?」

 いおりは、わずかに目を細めた。
「違う。私は“記録係”。それだけよ」
「記録……?」

 不思議そうに呟く彩香。その声にいおりは何も説明しなかった。

 だが、彩香はそのまま話を続ける。
「ふふ……まあいいや。あなたが悪い人じゃないのはわかったから。」

 その笑顔を見て、いおりは一歩だけ少女に近づいた。
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