風の唄 森の声

坂井美月

文字の大きさ
9 / 49

出会い①

しおりを挟む
森の中を歩いていた美咲と修治は、中々恭介と出会えずに居た。
美咲は切り株に座り
「修治~、疲れた」
そう言うと溜め息を吐く。
折角お洒落をして来たのに、結局、恭介と離れてしまった。
どうしていつもこうなんだろうと…美咲が溜め息を吐いていると
「あ!居た居た!」
と、背後から声がした。
美咲と修治が振り向くと、自分達の存在がバレていないと思っているらしく、風太と座敷童子が無遠慮に2人の顔をガン見している。
「座敷童子、あいつ等変な格好してるぜ」
風太は興味深々の顔で2人を見て
「男の方、頭悪そうな顔してないか?」
風太がそう言うと、座敷童子と2人で笑ってる。
美咲は2人の前に立ちはだかると
「ちょっと!確かに修治は頭悪そうだけど、そう言うのは聞こえるように言っちゃダメでしょう!」
と言って怒った顔をした。
すると2人は驚いた顔をして
「お前等、オイラ達が見えるのか?」
って聞かれた。
美咲は呆れた顔をして
「当たり前でしょう!何?それともきみ達は幽霊なわけ?」
と続けた。
すると2人は顔を見合わせて
「益々ヤバいぞ!早く空に知らせないと!」
そう言って走り去ろうとした。
美咲は慌てて2人の腕を掴み
「ちょっと待ちなさい!あなた達、こんな山奥に子供だけで来たら危ないでしょう!」
と叫んだ。
風太と座敷童子は美咲に捕まると
「離せ!ここはオイラ達の縄張りなんだからな!お前等が勝手に入って来たんだぞ!」
そう叫んで、美咲の手に風太が噛み付いた。
「痛い!」
美咲が手を離した瞬間
「ば~か!ば~か!」
って言いながらお尻を叩いてあかんべをした。
その様子に怒って
「馬鹿にして!」
と言って追いかけようとした瞬間、恭介が現れて逃げようとした風太の身体を抱き上げた。
「藤野君、きみ達は子供相手に何してるんですか!」
と言われて、美咲が笑顔を浮かべる。
「教授!もしかして、私達が心配で戻って来てくれたんですか?」
「いや、帰ろうとしたら此処に戻ってしまうんだよ」
美咲の言葉に間髪入れずに答えた恭介に、美咲はうふふって微笑むと
「又々、照れちゃって。本当は美咲達が心配で戻って来てくれたんですよね」
と言って抱き着いた。
片手に風太を抱いているので、美咲を引き剥がせずにいる恭介は
「片桐君!藤野君をなんとかしてくれ!」
そう叫んだ。
すると修治は両手を頭の後で組んで
「え~!美咲、邪魔したら怒るし~」
と言って、知らん顔している。
「分かった!離してくれたら、次の課題を免除してやる」
これ幸いと抱き着いて離れない美咲に困って恭介が叫ぶと
「マジ!それ、約束っすよ!」
と言うと、恭介が抱いている風太の身体を恭介から預かった。
恭介は両手が空くと、直ぐに美咲を引き剥がす。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...