88 / 106
第四章 魔王の国を改革するための第一歩! 採用試験で自由に職業選択できる世界を目指します
8 採用試験の最終面接官に任命されました
しおりを挟む
「しかし、それは……、もしも戦いになったら……と考えると、恐ろしい能力ですね」
私とヴィネ様が軽口を叩いている横で、セパルはそのことに気付いたらしい。
仲間内であったら問題はない。
しかし、この能力を敵に対して使ったら、どうなるか。
セパルは皆まで言わず、言葉を呑み込んだ。
その顔色は青ざめている。
「とりあえず、私の今の発言は忘れて下さい。HPとやらの話は置いておくとして、体力や知性の数値がわかるということは、その者が何を得意としているか、客観的にはかることができるのですか?」
「そういうことになります。ただ、もしかしたら、そのステータスは、本人の努力次第で伸ばすことができるかもしれません。ですから、あくまでも現時点での能力ということではありますが」
「では、魔法が使えないのに、使えると嘘をついて魔術師になろうとしたとしても、その……“MP”というものがないということから、それは無理だということがそなたにはわかるのだな」
「はい」
私はヴィネ様の問いに頷いた。
「なら、そなたが採用試験の最終面接で、面接官役を務めるがよい。そこで、客観的にもっともふさわしい者を採用すればいいだろう。もちろん、それまでの試験の結果も加味した上でな。そこまでの面接で本人からヒアリングしたことは、今後、ステータスが変化するかもしれない本人の伸びしろとして考えればよい」
こうして、ヴィネ様の鶴の一声で、私が最終面接官役を務めることが決まったのである。
なぜかはわからないけれども、前世の記憶と共に授かったこの能力。その恩恵を、採用試験の最終面接で私はフルに活用させてもらうことにした。
(前世では、何百社と採用試験を受けて、箸にも棒にもかからなかった私が、最終面接官とはね。皮肉なものだわ。できれば、前世で感じた、あの、どうしようもない敗北感や絶望感は、この国の皆に味わって欲しくないわね。
自分の才能を活かして、『どこかで必要とされている自分』を感じながら、生きていってもらいたい……。この世界の普通の人たちは、毎日を生きていくのに精一杯。前世では『生きる目的』を見失っていた私だから、そんな『生きるために生きる』ことしかできない虚しさは痛いほど理解できるわ。
でも、『何のために生きているのかわからない』なんて、思わずに人生を謳歌してもらいたい。そのために、どんどん雇用を増やせるような、豊かな国にしていかないとね)
最終面接で、確認したステータスはすべて記録して残しておく。
今後、部署異動を行う際にも、活用するためだ。
もちろん、本人の希望や特技もステータスと一緒に保管しておく。
これから、何度も採用試験を重ねていくことで、国には、人材のデータバンクがどんどんと充実していくことになる。
前世のように、データベースソフトがないのですべて手作業での検索になるため、労力は要するが、情報が集積されることで、今後の人材異動が少しずつスムーズになっていくだろう。
いずれは、ハローワークのような窓口を開いて、国民の相談に乗れるようになっていければと思っている。
と同時に、たとえば、「魔法を使って金脈を探すことができる」といった能力を持つ人材がをいれば、高額な給与を払ってでも、ヘッドハントしていけるとよいのではないか、とも思う。
国が豊かになることに対して貢献できそうな能力を持っている人物がいたとしても、現在の制度下では市井に埋もれている可能性がある。そのような人物を積極的に採用していくことで、国は次第に豊かになっていくことだろう。
もちろん、本人の希望に添うことが第一ではある。しかし、高い能力を持つ者に対しては、それに見合った給与や地位、身分などを与えることで、Win-Winの関係を築きつつ、国を発展させることに寄与してもらうことができるのではないかと思っている。
私とヴィネ様が軽口を叩いている横で、セパルはそのことに気付いたらしい。
仲間内であったら問題はない。
しかし、この能力を敵に対して使ったら、どうなるか。
セパルは皆まで言わず、言葉を呑み込んだ。
その顔色は青ざめている。
「とりあえず、私の今の発言は忘れて下さい。HPとやらの話は置いておくとして、体力や知性の数値がわかるということは、その者が何を得意としているか、客観的にはかることができるのですか?」
「そういうことになります。ただ、もしかしたら、そのステータスは、本人の努力次第で伸ばすことができるかもしれません。ですから、あくまでも現時点での能力ということではありますが」
「では、魔法が使えないのに、使えると嘘をついて魔術師になろうとしたとしても、その……“MP”というものがないということから、それは無理だということがそなたにはわかるのだな」
「はい」
私はヴィネ様の問いに頷いた。
「なら、そなたが採用試験の最終面接で、面接官役を務めるがよい。そこで、客観的にもっともふさわしい者を採用すればいいだろう。もちろん、それまでの試験の結果も加味した上でな。そこまでの面接で本人からヒアリングしたことは、今後、ステータスが変化するかもしれない本人の伸びしろとして考えればよい」
こうして、ヴィネ様の鶴の一声で、私が最終面接官役を務めることが決まったのである。
なぜかはわからないけれども、前世の記憶と共に授かったこの能力。その恩恵を、採用試験の最終面接で私はフルに活用させてもらうことにした。
(前世では、何百社と採用試験を受けて、箸にも棒にもかからなかった私が、最終面接官とはね。皮肉なものだわ。できれば、前世で感じた、あの、どうしようもない敗北感や絶望感は、この国の皆に味わって欲しくないわね。
自分の才能を活かして、『どこかで必要とされている自分』を感じながら、生きていってもらいたい……。この世界の普通の人たちは、毎日を生きていくのに精一杯。前世では『生きる目的』を見失っていた私だから、そんな『生きるために生きる』ことしかできない虚しさは痛いほど理解できるわ。
でも、『何のために生きているのかわからない』なんて、思わずに人生を謳歌してもらいたい。そのために、どんどん雇用を増やせるような、豊かな国にしていかないとね)
最終面接で、確認したステータスはすべて記録して残しておく。
今後、部署異動を行う際にも、活用するためだ。
もちろん、本人の希望や特技もステータスと一緒に保管しておく。
これから、何度も採用試験を重ねていくことで、国には、人材のデータバンクがどんどんと充実していくことになる。
前世のように、データベースソフトがないのですべて手作業での検索になるため、労力は要するが、情報が集積されることで、今後の人材異動が少しずつスムーズになっていくだろう。
いずれは、ハローワークのような窓口を開いて、国民の相談に乗れるようになっていければと思っている。
と同時に、たとえば、「魔法を使って金脈を探すことができる」といった能力を持つ人材がをいれば、高額な給与を払ってでも、ヘッドハントしていけるとよいのではないか、とも思う。
国が豊かになることに対して貢献できそうな能力を持っている人物がいたとしても、現在の制度下では市井に埋もれている可能性がある。そのような人物を積極的に採用していくことで、国は次第に豊かになっていくことだろう。
もちろん、本人の希望に添うことが第一ではある。しかし、高い能力を持つ者に対しては、それに見合った給与や地位、身分などを与えることで、Win-Winの関係を築きつつ、国を発展させることに寄与してもらうことができるのではないかと思っている。
0
あなたにおすすめの小説
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。
私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?
榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」
“偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。
地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。
終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。
そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。
けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。
「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」
全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。
すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく――
これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい
椰子ふみの
恋愛
ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。
ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!
そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。
ゲームの強制力?
何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる