私の上官に手を出すな

こる

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第四話 最後の獲物

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「『電気ショック』」

 ほんの数発殴っただけで、次の獲物を教えてくれたアリミラン氏三二歳最近プロポーズに失敗して傷心中を電撃で昏倒させておいて、次の獲物へと足を向ける。
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 そうやって、どんどん狩りを続けていった。
 
 途中、本日の来賓ではない人間の名が出て、連れてくるのに少し時間が掛かったり、嘘の名前を吐かれてぶち切れてしまったりと、色々あったけれど。

 最後の人物に辿り着いた時にはすっかりと夜が明けていた。

 紳士淑女の皆様は、それぞれ壁に背を預けたり、お互いに支えあったりして仲良くぐったりされている。相手のいない人は寂しく壁に体を預けて、ぼんやりしている。
 バリアの中には二桁になる獲物が死屍累々。バリアを境界線にくっきりと血の跡が途切れている、流石私のチート魔法、血のにおいや声はしっかりと通して、物質は止めてくれる素晴らしい性能だ。



「とうとう、私まで辿り着いたか、小娘」

 立派な椅子に、悠々と座っていた初老の男性が、目の前に立った私に声を掛ける。
 私は片足を引いて腰を落として丁寧に礼の形を取り、誘うように手を差し出した。

「どうぞ、私と共に、祭りの舞台へ上がって頂けますか? 伯爵様」


「その御仁は、こちらに渡して貰えるかな? エイシャ・ユーリカ嬢」

 疲れを見せない凜とした声に阻まれ、祭りの終演を知る。

 今の今まで私に好きなようにさせてくれていた、この宴の主催者である王弟殿下が歩いてくる。
 私は無礼を承知で、これ見よがしに溜め息を吐き、泰然と座ったままの男の前を退いて、この会場で最も身分の高いお方と向き合う。
 殿下を守るように両脇を屈強な衛兵が立ち、決して私から視線を外さない。
 蹴り、殴り、魔法をこれでもかと使って、暴れたからこの対応は理解できる。
「さて、彼が最後の人物であるならば、もう他の者達に用はなかろう?」
 殿下の言葉に、小さく笑う。
「折角ここまで観覧して頂いたのですから。最後まで聴衆でいて頂きたかったのですが、仕方有りませんね」
 右手を胸の高さにあげてパチンと指を鳴らせば、殿下を守る兵が警戒を露わにするが、それには構わずに口を開く。
「障壁を解除致しましたので、皆様ご自由に外に出られますよ」
 私の声を聞き取った高貴なる方々が、我先にと広間から逃げだした。

 残ったのは、血祭りの参加者諸氏、王弟殿下、衛兵、伯爵、そして物言わぬ上官と彼に付き従う従僕。
 体が動く人達は皆、私の挙動に注視している。


 倒れている上官を視界に入れないようにしながら視線を巡らせて、息苦しさにこのまま気を失いたくなった。

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