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《始まり》
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地底世界である通称”地獄”と呼ばれている世界では、地上の世界から堕とされた人間たちが働かされて生かされている。
彼らは地上の世界に居た者で罪を犯して住み着いた者も居れば、無慈悲に突き落とされて生かされた人間も居る。
いわゆる冤罪と呼ばれている人間のなかにその青年は居た。
地上の世界のさらに上に存在する天空の世界”オアシス”へ行くために幼かった青年を地獄へ突き落とした者が居た。そのおかげでその者はオアシスに移住することができたが、どうして青年を地獄へ突き落したのかは不明である。
恩師であった憎き師匠により地獄で生きる羽目になった青年は、恨みつらみを抱きながら仲間と共に今でもしぶとく生きている。――いずれ自分が地上へ戻れることを信じて今日もまた怪物と戦い生きている。
痛んでしまったミディアムな黒髪を結い上げ、濃紺の浴衣を羽織り、下駄を履き鳴らして短刀片手に怪物を倒す様はなんと勇猛で豪快な戦いぶりだ。
「ぜってぇアイツを……殺すっ!」
短剣を振るい化け物たちに戦いを挑む様はまさに龍のようであった。彼の仲間たちは色黒の青年をこう呼んでいる。跳躍の黒龍――ライと。
三人の青年は大木に身を潜め状況把握を望んだ。
「レレ、あの怪物の進行方向は?」
「待ってよライ。あいつは今、こっちには向かっていないよ?」
「どうするリーダー? あいつ、美味そうっすよ!」
「こらタキ、ライの指示が先だよ。……どうするライ?」
双眼鏡を片手にライの指令を待つ水色の髪の青年のレレは物陰に隠れる。すると短刀を振り回しているライと、大剣を担いでいる後輩のタキは互いに見合わせてから「殺すっ!」意気込んで走り出した。
黒い髪を振り乱し高く登るように跳躍し、毛の多い類人猿のような怪物を切り裂いた。その後ろで大剣を振りかざしたタキが白髪の髪をなびかせて踊るように怪物の足を切り落とす。
怪物の上体が崩れた。
「今っす!!!」
合図と共に手を伸ばして合わせたタキの両手に足を乗せて――高く高く跳躍する。ふわりと身体が浮いたかと思えば落下していく勢いで短剣を怪物の頭上目掛けた。
「――死ねっっっ!!!」
血飛沫と共にライは受け身を取るように地面へ宙返りをした。怪物が呻くような野太く低い声を上げて――ドサリと倒れた。
ライが無事に着地した。だが血が付いた短剣を見てうんざりしたかと思えば、勢いよく一文字に振った。
「やっぱりすげぇな~ライは」
「あんなデカブツを仕留めるとはな!」
自分たちよりも前々から陰に隠れていた仲間たちが称賛の拍手を送る。だがタキは「ちょっと待てよ! 俺は?」などと言って自分を指さした。仲間たちは笑い合う。
「タキはあともう少しだな!」
「もっと頑張れよ~」
タキが項垂れて「俺も頑張ったのに……アシストしたのに!」涙ぐみながら仲間たちと共に怪物の毛皮を剥いで仲間分の食糧を捌いていく。
ライが頭を振っていると「なんか嫌なことでもあった?」副リーダーであるレレが水を染み込ませて絞ったタオルを渡した。ほどよく冷えていて気持ちが良かった。
「もうこの暮らしにうんざりしてんだよ。俺たちは殺人も強盗もなにも犯してないのによ」
レレが困ったように微笑んだ。少しタレ目の碧眼は宝石のようだ。
「仕方ないよ。この世界が変わらない限り、僕たちはこの地獄で生きていくしかないんだから」
「……まぁ、そうだよな。あぁ、――アイツを殺してぇ」
ライは暗い空を見上げた。そして自分を地獄に堕とした師匠を恨んで睨みつけた――かと思えば、空がきらりと輝いたのだ。
黄金に輝きなびくなにかが勢いよく落下をして……呆然としていたライに衝突したのだ。レレとタキは唖然とした。
彼らは地上の世界に居た者で罪を犯して住み着いた者も居れば、無慈悲に突き落とされて生かされた人間も居る。
いわゆる冤罪と呼ばれている人間のなかにその青年は居た。
地上の世界のさらに上に存在する天空の世界”オアシス”へ行くために幼かった青年を地獄へ突き落とした者が居た。そのおかげでその者はオアシスに移住することができたが、どうして青年を地獄へ突き落したのかは不明である。
恩師であった憎き師匠により地獄で生きる羽目になった青年は、恨みつらみを抱きながら仲間と共に今でもしぶとく生きている。――いずれ自分が地上へ戻れることを信じて今日もまた怪物と戦い生きている。
痛んでしまったミディアムな黒髪を結い上げ、濃紺の浴衣を羽織り、下駄を履き鳴らして短刀片手に怪物を倒す様はなんと勇猛で豪快な戦いぶりだ。
「ぜってぇアイツを……殺すっ!」
短剣を振るい化け物たちに戦いを挑む様はまさに龍のようであった。彼の仲間たちは色黒の青年をこう呼んでいる。跳躍の黒龍――ライと。
三人の青年は大木に身を潜め状況把握を望んだ。
「レレ、あの怪物の進行方向は?」
「待ってよライ。あいつは今、こっちには向かっていないよ?」
「どうするリーダー? あいつ、美味そうっすよ!」
「こらタキ、ライの指示が先だよ。……どうするライ?」
双眼鏡を片手にライの指令を待つ水色の髪の青年のレレは物陰に隠れる。すると短刀を振り回しているライと、大剣を担いでいる後輩のタキは互いに見合わせてから「殺すっ!」意気込んで走り出した。
黒い髪を振り乱し高く登るように跳躍し、毛の多い類人猿のような怪物を切り裂いた。その後ろで大剣を振りかざしたタキが白髪の髪をなびかせて踊るように怪物の足を切り落とす。
怪物の上体が崩れた。
「今っす!!!」
合図と共に手を伸ばして合わせたタキの両手に足を乗せて――高く高く跳躍する。ふわりと身体が浮いたかと思えば落下していく勢いで短剣を怪物の頭上目掛けた。
「――死ねっっっ!!!」
血飛沫と共にライは受け身を取るように地面へ宙返りをした。怪物が呻くような野太く低い声を上げて――ドサリと倒れた。
ライが無事に着地した。だが血が付いた短剣を見てうんざりしたかと思えば、勢いよく一文字に振った。
「やっぱりすげぇな~ライは」
「あんなデカブツを仕留めるとはな!」
自分たちよりも前々から陰に隠れていた仲間たちが称賛の拍手を送る。だがタキは「ちょっと待てよ! 俺は?」などと言って自分を指さした。仲間たちは笑い合う。
「タキはあともう少しだな!」
「もっと頑張れよ~」
タキが項垂れて「俺も頑張ったのに……アシストしたのに!」涙ぐみながら仲間たちと共に怪物の毛皮を剥いで仲間分の食糧を捌いていく。
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「仕方ないよ。この世界が変わらない限り、僕たちはこの地獄で生きていくしかないんだから」
「……まぁ、そうだよな。あぁ、――アイツを殺してぇ」
ライは暗い空を見上げた。そして自分を地獄に堕とした師匠を恨んで睨みつけた――かと思えば、空がきらりと輝いたのだ。
黄金に輝きなびくなにかが勢いよく落下をして……呆然としていたライに衝突したのだ。レレとタキは唖然とした。
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