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《勝負》
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「世界を守ると言われてもな……。俺、この世界が大嫌いだしよ」
「……えっ」
絶句しているルゥではあるが耳クソをほじっていたライがふぅと息を吹いた。耳クソはどうやら取れていてよく聞こえもしたようだ。
だからこそ天使のルゥには加勢できない。なぜならば自分はこの世界が嫌いだからだ。ルゥは慌てた様子で話し出した。
「大嫌いだからこそ、この世界を変貌させようと画策しているミキ様……いや、ミキを打ち破るんだよ! 君だってこの世界が今よりも滅茶苦茶になったら嫌でしょ?」
「えー……別に今でも十分おかしいしよ、別にいいじゃねぇか。どうせ困るのはそっちだろ?」
「そ、それは……!」
「天空の世界、オアシスといえばむじょーそん? って言うぐらい、こことは打って変わって楽で平和な世界だもんな」
ライは小突きながら、今度は鼻をほじろうとすればルゥの羽がわななき金目の瞳を大きくさせた。
「違うっ! それは僕たちが頑張って積み重ねてきたことなんだ。君になにがわかるの?」
「はあ? いきなりキレられてもわかんねぇつーの。なにが頑張って積み重ねてきただ? そんなの知らねぇな。俺は復讐してぇけどオアシスと地獄がごっちゃになって少しでも俺たちの気持ちがわかるのならそれでもいいぜ」
「……なんだと?」
金色の瞳が輝き折れた羽を震わせたかと思えば、すくっとルゥは立ち上がる。立ち上がった拍子になにをするんだと思ったライではあったが、先ほどまで研いでいた短刀を指さした。
「僕と勝負して。僕が勝ったら僕の羽を見繕う手助けをしてもらう」
「なに急に――」
「逆に僕が負けたら僕はこの悲惨で最悪な世界で咎人として生きるよ。君と同じ冤罪者としてね」
突如として受けた申し出だがライはやんわりと断ろうとした。さすがに怪我人相手に本気は出せない。――だがルゥは違った。人差し指をライに向けている。
「風に纏いしこの身体よ。我の手となり足となれっ!」
殺気を感じたライは短刀を手に取り自身の方向へ向けてくる突風から逃れた。家の入口付近にレレと大剣を担いでいるタキが見えた。
「おい、お前ら離れてろっ!!!」
「え……なんで――」
「いいからっ!」
レレが聞きたそうであったがライは襲ってくる突風に舌打ちをする。竜巻ほどではないがこれでは狙いが定まらない。
ルゥが折れた翼を羽ばたかせながらゆっくりと近づいてくる。だが本調子ではないのだろう。風の威力が段々と弱まってきた。
チャンスを見抜いたライは腑抜けている顔のタキの背中に突進しトランポリンの要領でバウンドさせてから上空でルゥを見定めた。ルゥが人差し指を向けているが落下速度には勝てないようだ。
「もらいっ!」
「そうはさせるかっ!」
突き立てられそうな刃先を避けてルゥはライの腕を引き寄せ仰向けしたのだ。あまりの俊敏な動きにライは動揺をしながら覚えのある動きに想起する。
ライが受け身を取りルゥに蹴りを入れようとしたが掴まれた手で決め技をされて動けない。――思いだした。
「これは、……あいつの技だな」
「うん。憎きミキが教えた技だよ」
裏返されて小手返しと呼ばれる決め技で動けなくなってまったライは痛みに悶えながらルゥの翼を取り戻すことに強制的へ同意させられたのだ。
「……えっ」
絶句しているルゥではあるが耳クソをほじっていたライがふぅと息を吹いた。耳クソはどうやら取れていてよく聞こえもしたようだ。
だからこそ天使のルゥには加勢できない。なぜならば自分はこの世界が嫌いだからだ。ルゥは慌てた様子で話し出した。
「大嫌いだからこそ、この世界を変貌させようと画策しているミキ様……いや、ミキを打ち破るんだよ! 君だってこの世界が今よりも滅茶苦茶になったら嫌でしょ?」
「えー……別に今でも十分おかしいしよ、別にいいじゃねぇか。どうせ困るのはそっちだろ?」
「そ、それは……!」
「天空の世界、オアシスといえばむじょーそん? って言うぐらい、こことは打って変わって楽で平和な世界だもんな」
ライは小突きながら、今度は鼻をほじろうとすればルゥの羽がわななき金目の瞳を大きくさせた。
「違うっ! それは僕たちが頑張って積み重ねてきたことなんだ。君になにがわかるの?」
「はあ? いきなりキレられてもわかんねぇつーの。なにが頑張って積み重ねてきただ? そんなの知らねぇな。俺は復讐してぇけどオアシスと地獄がごっちゃになって少しでも俺たちの気持ちがわかるのならそれでもいいぜ」
「……なんだと?」
金色の瞳が輝き折れた羽を震わせたかと思えば、すくっとルゥは立ち上がる。立ち上がった拍子になにをするんだと思ったライではあったが、先ほどまで研いでいた短刀を指さした。
「僕と勝負して。僕が勝ったら僕の羽を見繕う手助けをしてもらう」
「なに急に――」
「逆に僕が負けたら僕はこの悲惨で最悪な世界で咎人として生きるよ。君と同じ冤罪者としてね」
突如として受けた申し出だがライはやんわりと断ろうとした。さすがに怪我人相手に本気は出せない。――だがルゥは違った。人差し指をライに向けている。
「風に纏いしこの身体よ。我の手となり足となれっ!」
殺気を感じたライは短刀を手に取り自身の方向へ向けてくる突風から逃れた。家の入口付近にレレと大剣を担いでいるタキが見えた。
「おい、お前ら離れてろっ!!!」
「え……なんで――」
「いいからっ!」
レレが聞きたそうであったがライは襲ってくる突風に舌打ちをする。竜巻ほどではないがこれでは狙いが定まらない。
ルゥが折れた翼を羽ばたかせながらゆっくりと近づいてくる。だが本調子ではないのだろう。風の威力が段々と弱まってきた。
チャンスを見抜いたライは腑抜けている顔のタキの背中に突進しトランポリンの要領でバウンドさせてから上空でルゥを見定めた。ルゥが人差し指を向けているが落下速度には勝てないようだ。
「もらいっ!」
「そうはさせるかっ!」
突き立てられそうな刃先を避けてルゥはライの腕を引き寄せ仰向けしたのだ。あまりの俊敏な動きにライは動揺をしながら覚えのある動きに想起する。
ライが受け身を取りルゥに蹴りを入れようとしたが掴まれた手で決め技をされて動けない。――思いだした。
「これは、……あいつの技だな」
「うん。憎きミキが教えた技だよ」
裏返されて小手返しと呼ばれる決め技で動けなくなってまったライは痛みに悶えながらルゥの翼を取り戻すことに強制的へ同意させられたのだ。
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