13 / 46
《説教》
しおりを挟む
今日の献立は骸骨のだしで取ったスープに類人猿のほろほろ角煮にりんごとぶどうを添えたものだ。
醤油ベースの角煮はライの舌を唸らせた。
「うまっ! お前、本当に料理上手いよな」
「そうかな、えへ。美味しくできたのなら良かったぜ!」
「うん、美味しいよ~! 本当にケイが来てくれて嬉しいな」
頬張って食しているルゥにケイが頬を染めるなかライは食べながらマイ箸で二人を指さした。
「そうだ。今後の予定だがな――」
「ライ、行儀が悪い。箸は下ろして、指も差さないで」
一瞬の間が空いたのちライは苦悶の表情を見せたかと思えば、箸を置いて手をしっかり地面に付けた。
「んで、話に戻る。これから先が地獄の門に近づくルートだ。油断も隙も見せるな」
「うん。でもその道は近道なの?」
「まぁ近道だな。だが地図によると、――森林のなかに天然温泉があるらしいんだ」
また間が空いた。だがそれは束の間であった。
ルゥが折れた羽をバタつかせジャンプする。
「お風呂に入れるの!?? やったーー!!!!」
「えっ!? ふ、風呂!?」
「おう。地図によると明日行く場所がそのあたりを通るんだ。修行だけじゃなくてたまにはそういうのも良いだろう?」
「いいよ~!」
ルゥがくるくる回りだしているが、ケイは赤面をしていた。どういうことかわからなかったライが首を傾げれば「ルゥも一緒に……なの?」ケイは口をすぼめ俯いていた。
ますます意味不明であった。
「あたりめぇだろ。こいつも男なんだからよ」
「え、お、男!?? 男だったの!??」
ケイが飛び上がったのと同時にルゥを凝視する。大きな縁取った金目に艶やかな長い髪はどうみても女の子だ。しかも声も甲高い。
ルゥは呆れた様子でなぜかライを見た。
「僕は男だよ……。でもどっかの誰かさんみたいに軽々しく胸とか触らないでよね」
「む、胸、触ったの!??」
「胸もなにもお前がよくわかんなかったんだから仕方ねぇだろう。別に減るもんじゃねぇしよ~」
口を開閉させて驚愕している様子のケイとは打って変わり鼻をほじっている一応、端麗な顔つきであるはずのライではあったが反省の色は見せていない。
だが本当に男であるので確かに減るものではないかな、そうルゥは思いを抱きつつ「失礼に値するからね!」一応説教はしておいた。
この優しいが粗野で馬鹿な男は本物の女性に対してもしそうだなと感じたからだ。
「女でもよ、武器とか持ってたらどーすんだよ?」
「武器が持っていたら戦えばいいじゃないか。君のやっていることは地上の世界やオアシスでいうセクハラです」
「なにそれ?」
「最低行為のことです!」
ルゥに再び説教を受けられているライではあるが、ケイは内心ではそれは地獄でもそうだと思うと感じていたのであった。
「最低行為だなんて、そんなわけないだろ」
「そんなことあるの! ったく、君って本当に、本当にはた迷惑なことしているよね」
「迷惑なわけじゃない。自分の身の安全を磨くためだろ」
反省のはの字も見せないライにルゥは盛大に息を吐き出した。その様子を見ていたケイは二人の見事なボケとツッコミに息を呑み、ふと笑んだ。
ライは笑っているケイに首を傾げる。
「なに笑ってんだ? ケイだって迷惑だと思わないよな?」
「あははっ、いや。二人が真逆だけど似ていて面白いなぁ~って。波長が合うというか?」
今度はルゥが首を傾けて「そんなわけないでしょ」などと言う。その姿がまた可愛らしさもあるが、やはりこの二人は似ているなとケイはふと思うのであった。
醤油ベースの角煮はライの舌を唸らせた。
「うまっ! お前、本当に料理上手いよな」
「そうかな、えへ。美味しくできたのなら良かったぜ!」
「うん、美味しいよ~! 本当にケイが来てくれて嬉しいな」
頬張って食しているルゥにケイが頬を染めるなかライは食べながらマイ箸で二人を指さした。
「そうだ。今後の予定だがな――」
「ライ、行儀が悪い。箸は下ろして、指も差さないで」
一瞬の間が空いたのちライは苦悶の表情を見せたかと思えば、箸を置いて手をしっかり地面に付けた。
「んで、話に戻る。これから先が地獄の門に近づくルートだ。油断も隙も見せるな」
「うん。でもその道は近道なの?」
「まぁ近道だな。だが地図によると、――森林のなかに天然温泉があるらしいんだ」
また間が空いた。だがそれは束の間であった。
ルゥが折れた羽をバタつかせジャンプする。
「お風呂に入れるの!?? やったーー!!!!」
「えっ!? ふ、風呂!?」
「おう。地図によると明日行く場所がそのあたりを通るんだ。修行だけじゃなくてたまにはそういうのも良いだろう?」
「いいよ~!」
ルゥがくるくる回りだしているが、ケイは赤面をしていた。どういうことかわからなかったライが首を傾げれば「ルゥも一緒に……なの?」ケイは口をすぼめ俯いていた。
ますます意味不明であった。
「あたりめぇだろ。こいつも男なんだからよ」
「え、お、男!?? 男だったの!??」
ケイが飛び上がったのと同時にルゥを凝視する。大きな縁取った金目に艶やかな長い髪はどうみても女の子だ。しかも声も甲高い。
ルゥは呆れた様子でなぜかライを見た。
「僕は男だよ……。でもどっかの誰かさんみたいに軽々しく胸とか触らないでよね」
「む、胸、触ったの!??」
「胸もなにもお前がよくわかんなかったんだから仕方ねぇだろう。別に減るもんじゃねぇしよ~」
口を開閉させて驚愕している様子のケイとは打って変わり鼻をほじっている一応、端麗な顔つきであるはずのライではあったが反省の色は見せていない。
だが本当に男であるので確かに減るものではないかな、そうルゥは思いを抱きつつ「失礼に値するからね!」一応説教はしておいた。
この優しいが粗野で馬鹿な男は本物の女性に対してもしそうだなと感じたからだ。
「女でもよ、武器とか持ってたらどーすんだよ?」
「武器が持っていたら戦えばいいじゃないか。君のやっていることは地上の世界やオアシスでいうセクハラです」
「なにそれ?」
「最低行為のことです!」
ルゥに再び説教を受けられているライではあるが、ケイは内心ではそれは地獄でもそうだと思うと感じていたのであった。
「最低行為だなんて、そんなわけないだろ」
「そんなことあるの! ったく、君って本当に、本当にはた迷惑なことしているよね」
「迷惑なわけじゃない。自分の身の安全を磨くためだろ」
反省のはの字も見せないライにルゥは盛大に息を吐き出した。その様子を見ていたケイは二人の見事なボケとツッコミに息を呑み、ふと笑んだ。
ライは笑っているケイに首を傾げる。
「なに笑ってんだ? ケイだって迷惑だと思わないよな?」
「あははっ、いや。二人が真逆だけど似ていて面白いなぁ~って。波長が合うというか?」
今度はルゥが首を傾けて「そんなわけないでしょ」などと言う。その姿がまた可愛らしさもあるが、やはりこの二人は似ているなとケイはふと思うのであった。
0
あなたにおすすめの小説
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ワケありなのに、執事がはなしてくれません!? ~庶子令嬢は、今日も脱出を試みる~
若松だんご
キャラ文芸
――お迎えに上がりました。ティーナお嬢さま。
そう言って、白い手袋をはめた手を胸に当て、うやうやしく頭を下げたアイツ。アタシのいた寄宿学校に、突然現れた見知らぬ謎の若い執事。手にしていたのは、兄の訃報。8つ年上の、異母兄が事故で亡くなったというもの。
――亡き異母兄さまに代わって、子爵家の相続人となりました。
え? は? 女子の、それも庶子だったアタシが?
兄さまは母を亡くしたアタシを妹として迎え入れてくれたけど、結局は庶子だし。兄さまのお母さまには嫌われてたからこうして寄宿学校に放り込まれてたアタシが? 下町育ちのアタシが? 女子相続人? 子爵令嬢として?
――つきましては、この先ともに子爵家を守り立ててゆける伴侶をお探しください。
いや、それ、絶対ムリ。子爵家ってオマケがついても、アタシを選んでくれる酔狂なヤツはいないって。
なんて思うアタシの周り。どうやらいろいろ狙われてるみたいで。海に突き落とされそうになったり、襲われたり。なんだかんだで命が危ない。
アタシ、このままじゃ殺される? なんかいろいろヤバくない? 逃げたほうがいいんじゃない?
「どうしましたか、マイ・レディ」
目の前で優雅に一礼するこの執事、キース。コイツが一番怪しいのよねえ。
※ 2024年1月に開催される、「第7回キャラ文芸大賞」にエントリーしました。コンテストでも応援いただけると幸いです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる