両翼の絆

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

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《ハレルヤ》

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 ライの翼に刻まれた呪文を見た途端、シキは血相を変えた。
「その呪術は……、それは地の龍様の力の源ではないか!?」
「え、そうなの?」
「あぁ。どうしてこんなところに……? ミキが持っていたのか?」
 耳クソを掘っていたライが頷けば「それではミキが知らぬうちに地の龍様の力を吸い取っていたのか」どこか納得しているようなシキにルゥも疑念を感じる。
 するとシキはこんなことを言い出した。
「十数年前に、私が公務でオアシスへ行っていた代わりにミキにこの地底世界を頼んだんだ。そしたら地の龍様の力が弱体化しつつあったので問い詰めたのだが……あの風来坊だ。なんでもないよなどと抜かして去ってしまったんだ」
「じゃあつまり……師匠は自分でやっておいて、ヒトサマへこんなにメーワク掛けたってことか?」
「……申し訳なかった」
 シキがライとルゥに深々と謝罪をするなかで事情を知らないケイが「じゃあ返せば良いじゃん」まっとうな意見を告げたのでシキはライの刻まれた呪物を水晶にかざし吸収させた。
 するとなんということか。――地の龍が水晶から割れて出現したのだ。3メートルはあろう巨体にミナが目を輝かせ「人間が出てきたのだ!」驚いて見せれば地の龍がにったりと笑う。
「黒髪の青年よ、お主のおかげで私の力がみなぎることができた。――だが、翼の方は離れなかったようだな」
 そう。ライの呪われた呪文は吸収されたのだが翼は生えたままであった。ライは後ろを確認しつつ少し微笑んでから「お願いがある」地の龍に視線を向けた。
 その黒い瞳は真剣そのものであった。
「俺にこの地底世界地獄を……いや、この世界を変えたいんだ。その為ならなんだってする」
「……お主は変えられるのか? この歪んでしまった世界を」
 ライはニヒルに微笑んだ。
「変えられるようにするからあんたの力が必要だ。それに、ルゥやケイ、ミナもな」
 呼ばれた三人が微笑み賛同すればシキが咳払いをし、「条件がある」そう告げて説明を始める。
「この地底世界を変えるのであればそれなりの勉学も武術も会得しないとならない。それはできるか?」
「ベンガク……ブジュツ?」
「学んだり戦ったりすることだよ」
 ルゥがフォローを入れてくれたおかげで納得をするライにシキは息を吐いた。果たしてこの無知な青年がこの世界を革命させられるのか。
 だが地上を選ばずに革命への戦いを挑む姿勢には感心深い。しかしもうひとつある。
「それにライ。地底世界では今は地獄だが……名前は変えないのか?」
「あ、名前か。うーん……そうだな」
 少し考えた挙句、ライは閃いた。
「晴れる日を作るってことで”ハレルヤ”はどうだ?」
 どうして知りもしない単語からチョイスできたのかは知らぬが、周囲は賛成したのだ。――地底世界ハレルヤ誕生であった。
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