書物革命

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

文字の大きさ
19 / 49

19.力を示せ。

しおりを挟む
炎が襲い掛かる中で豊は無我夢中で槍で…武器化したリィナで振り払うことしか出来ない。それは豊にとっての正義とはかけ離れており、なんて自分の正義は弱いのだと彼は火のこによって火傷をした身体を引きずってレジーナに立ち向かう。しかし不思議と槍の…白銀の姿になったリィナの輝きが増したように見えた。それに少し嬉しがる気持ちも束の間、レジーナは炎を膨張させて術を唱える。

「わがしもべにおいて降臨せよ!…不死鳥フェニックス!」

すると炎は巨大な鳥の姿となって豊の前に君臨したのだ。そのおぞましい姿に恐れおののき、後退りしてしまいそうになる豊ではあるが、彼の背中を押すように少女の声が聞こえる。その声に耳を傾ければリィナはこのような指示を豊に命令する。

『今からお前の言葉で私の力を少しだけ入れる。でも少しだけだ。…あとはお前が何とかしろ。』

「そ…そんな。どうやってやったら?」

『それは簡単だ。私が変化した武器に言葉を乗せて薙ぎ払え。…そうすれば、なんとかなるかもしれない。』

リィナの博打に付き合うかどうか。でも豊は向かってくる火の鳥に向けて術という呪文を唱えるのだ。

「…て!戦略の情報タクティスデータベース!!!」

そして大きく槍を突き上げて上空へと上げて見せれば、白銀の槍は瞬く間に輝いて、そして、大きな火の鳥たちまち消失させてしまった。いや、消失したというよりかは槍の姿になったリィナに吸収されてしまったと言うべきか?しかしそんなことよりも豊は振り回した槍を地面に置いてしまい息を荒くする。炎を吸収するたびに槍が…リィナが重くなった感覚がしたのだ。呼吸を荒くしてなんとか立ち上がろうとする豊に、リィナは人間の姿に戻り、レジーナから豊を守るように前に立ちはだかる。驚く豊ではあるが彼女は彼に向けて不器用な言い方をする。

「借りは返さないと気が済まない。…お前が回復するまで、立ち上がれるまで。…私がお前を守る。」

「リィナ…。どうして?」

するとリィナは凛としたまっすぐな声で、想いで彼に伝えるのだ。

「私はお前の相棒パートナーだからだ。相棒を守るのは当然の義務だしな。…でもそれよりも、お前が私の為に思ってこの勝負を受けたというのなら、それも尊重しないといけないんだろ?…だったら私だってお前を…志郎を尊重したいし、相棒として守りたいんだ。」

「……リィナ。」

決心をしたような強い言葉に豊は唖然とすればレジーナは深い溜息を吐いてからジッポライターを消す。彼女の気が変わったのか戦闘は終わりを告げたようだ。彼女の行動を見て安堵を示したリィナは豊の隣にしゃがみこみ怪我の様子を見る。軽くだが火傷の跡が多数ありこのままでは残ってしまうだろう。だからリィナは自身の本当の能力である”反魂”を使おうとした。しかしやはりだが豊は彼女の行為を止めて言い放つ。

「大丈夫だよリィナ。…俺は平気だから、大丈夫」

「大丈夫じゃない!いいから黙ってろ!」

急に怒りだすリィナに豊は戸惑いつつも彼女は集中して彼に皮膚への反魂の施しを受けさせる。やはりリィナは苦しそうな表情を見せるので心配をする豊ではあるが、彼の施しを終えたリィナは軽く笑う。

「互いを守りあうのもいいだろ?…お前は1人で背負い込みすぎだ。たまには私にも能力を使わせてくれ。…腕がなまるからな。」

「でも…そしたら君は苦しむし…。」

「良いんだそれで。でもこれだけは約束しろ。…私もお前を守るからお前も…、志郎も私を守れ。いいな?」

「……うん。分かった。約束する。」

そしてリィナが笑いかければ豊も負けじと笑った。そんな傍から見たらイチャイチャしている恋人のような2人を見てレジーナは痺れを切らし場に入り込んだ。そしてリィナに向けて質問をする。

「そんなバカなカップルごっこはどうでもいいのよ!!!あー!!!うざいったらありゃしない!…でリィナ?どうやってあんた、私の炎を消したのかしら?いや…消した、というより吸収したに近いかしら?」

レジーナの問い掛けに彼女はこのような説明をするのだ。

「レジーナの炎をとして起こして自分の中に吸収したんだ。」

「…文字?あんたそんなこと今までできたの?」

「いや、まだ不安定な状態ではある。でも、反魂っていう意味を自分なりに解釈をしたらこうなったんだ。文字だって消えてしまえば書き直すだろ?それと同じ要領でやってみたんだ。」

彼女の説明に驚く1人と1冊ではあるが、そんな彼らにリィナは少し微笑んだ。

「…でもそのおかげで私はそこまで苦しむことは無いし回復もできるんだが…その文字数の量が膨大だと重みが増してしまうんだ。…だからどこかで排出しないと制御が出来なくなってしまう。…あとは、そうだな。」

リィナは豊を一瞥してから申し訳なそうな表情をさせた。なんでそのような表情をしたのかは分からずにいた彼ではあるが彼女は気まずそうな顔をして言い放つ。

「…私がその槍、まぁ仮の名で”データフォース”と名付けよう。そのデータフォースは私にとってはかなり都合がいいが、志郎にとっては分が悪い。なんせ反魂の力をお前に授けられていないからだ。扱いきれていないのならそれも問題。…使いこなせないと、私が文字としてお前の体力を奪ってしまう可能性が高い。」

「……そっか。そうなんだね。」

何も言葉が出ないだろうと言いそうなリィナではあるが豊の反応は違った。自分がもっと使いこなせられれば、リィナが武器化したデータフォースを使って敵を倒せるかもしれないと。リィナがあまり苦しむことが無く、自分が彼女を守れると。だから彼は決意した。自分の正義のために。

「それでもいいよ。…俺、頑張るから。…君に心配されないように頑張るから。」

青年の決意は固く身を結ばせた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~

shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて 無名の英雄 愛を知らぬ商人 気狂いの賢者など 様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。 それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま 幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...