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棘先の炎
深淵を覗くと深淵は覗いている 3話
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不良に襲われた翌日。昼休みに普段通りにスネークと昼食を共にしたフライとクイラは昨日の事を彼に話した。彼は右頬を膨らませているフライの姿に初めは驚いたものの、事情を聞いて納得する。しかし2人は、青年達を罰したい訳ではない。この騒動を起こした"ラビット"という人物を裁判に掛けたいのである。ーだが、スネークは悔しげな表情を浮かべて言い放つ。
「いや…。それは無理だな。ラビットの行動は確かに問題にはなっている。俺だってラビットに対してそれなりの罰を受けて欲しいとも思っている。…だが、薔薇姫様が罰するとしたら…、フライを殴ったその不良だ。」
建前では言っているもののスネークもラビットの事をあまりよく思ってないからか?苦渋を噛むような表情を浮かべている。そして彼はペットボトルのお茶を一口飲んだ後、席を立った。
「取り敢えずこの事に関して薔薇姫様に報告する。フライ。申し訳ないが、その不良の特徴を教えろ。…そしてクイラ。お前は証人として裁判に立ち会ってもらいたい。…いいか?」
有無を言わせないと言った様子の彼にクイラは渋々と頷く。しかし、相手の心の動きが分かるクイラは彼の心に疑問を浮かべた。それは彼の心にフライを憎むような、そして、妬むような感情を秘めていたから。納得の行かない2人ではあったものの、彼等はスネークに不良の特徴を教えた。
青年は薄暗い天井を見て、そして、自分が手錠を掛けられている事に気付く。何故こうなったのかを青年は思考を巡らせていた。
(そういえば…ゲーセンに行こうとして、そしたら誰かに何かを嗅がされて…。ーそんで何処だ?此処は?)
そして彼はゆっくりと立ち上がる。すると、今度はまばゆい光が差し込んだ。目を背ける彼に対し、凛とした声が会場内を響き渡らせる。
「これより!"茨"の裁判を行います!一同、礼!」
そして周りの聴衆が礼をする。そしてその動作が終わると彼女は言い放つ。
「今回の裁判も私、薔薇姫がさせて頂きます。…皆さんの平穏無事な生活の為、尽力を尽くさせて頂きます。」
そして彼女は恭しく礼をして会場を沸かせた。自身を"薔薇姫"と言った右側を仮面で隠した金髪で碧眼の少女のような姿。だが、異常なまでに小さく見えたのは、彼女が車椅子に座っているからだと青年は後で分かった。
そんな彼に薔薇姫は言い放つ。
「今回の騒動は"茨"の組織の1人である少年が、そこにいる青年に殴られた事について裁判に掛けようと思っています。…また、その発端であるラビットにも事情を聞こうと考えています。」
そして薔薇姫は呆然と佇んでいる青年に向けて問い掛ける。
「被告であるそこの青年!…貴方は何故此処に居るのですか?」
突然問われた彼にだって、何故自分がこんな所に居るのが分からない。だが、口が勝手に言葉を発していた。
「俺はっ!俺はラビットって奴が俺のダチを怪我させたから!その…、そいつに会おうとして…。そしたら、金で解決しようとしてたからムカついたんだ!」
彼の意見を聞いた裁判官である薔薇姫は彼の証人に尋ねる。
「今回の彼の証人である、クイラさん。その話は本当ですか?」
そして彼の離れた場所からスポットライトを浴びたクイラは溜息を吐いた。
「ええ。本当ですよ。…でも、フライ君は穏便に済まそうとしてお金の話にしたと言ってましたけれど。」
一応猫を被るクイラに青年は怒りのあまり被告人席の机を叩く。
「ふざんけんなよっ!女!金で解決出来りゃ誰だって恨みなんか持たねぇよ!俺はな!ラビットに会ってぶっ飛ばしてぇんだよ!」
すると薔薇姫は疲弊の溜息を吐いた後、彼に視線を向けた。
「それでは…、貴方が会いたがっているラビットに会ってもらいますか…。私達も話を聞きたいくらいですし…。」
そして彼女は奥の席に座っているラビットを呼び出し、法廷へと導かせた。ーだが、ラビットと呼ばれた青年は文字通りウサギの仮面を被って青年の前に現れたのだ。ふざけた真似をする彼に対し青年は吠える。
「ふざけんなっ!誰が仮面を被って来いって言った!?その面外して来いっ!」
その言葉にラビットは突然、会場に響くくらい嗤い出した。そして嗤い続けた後に息を吐くように言葉を紡ぐ。
「俺が勝手に決めたんだよ。…てめぇこそでしゃばんな。このデカブツ。ーあとな。てめぇに悪い知らせがある。」
そしてラビットは何かを思い出すように言い放つ。
「お前のダチって奴?あんま覚えてねぇけど、俺が歩いてる時に勝手にぶつかってきて、勝手に俺のせいにして俺から身包み剥がそうとしたんだよ。…だからムカついたからボコっただけだ。ー薔薇姫様?これで俺の正当防衛は承認出来ましたか?」
そして薔薇姫に視線を向けるラビットに青年は青筋を立てて言い放つ。
「そんな事ねぇっ!嘘だ!そんなの!お前のハッタリだ!」
そんな彼にラビットは嘲笑する。
「…そんなにお友達の無罪を晴らしたいならさ、俺が指定した防犯カメラ見てみろよ?ーそのお友達が俺に先にぶつかってきて喧嘩吹っかけてきた姿をな!」
そう言ってラビットは仮面を外した。
露わにされた長めの前髪をピンで留めて真っ赤な血のような瞳が青年を写している。そして、嘲るように嗤う彼に青年は目を見張った。
「お前っ!まさか…。」
すると木槌を叩く音が聞こえたと共に薔薇姫は判決を言った。
「判決を言い渡す。ー被告人は有罪。しかし、それは友の事を思っての行動…。ーよって、幻影(ファントム)の刑に処する。」
冷たく言い放たれた判決に青年は何が起こるのか分からなかった。
「いや…。それは無理だな。ラビットの行動は確かに問題にはなっている。俺だってラビットに対してそれなりの罰を受けて欲しいとも思っている。…だが、薔薇姫様が罰するとしたら…、フライを殴ったその不良だ。」
建前では言っているもののスネークもラビットの事をあまりよく思ってないからか?苦渋を噛むような表情を浮かべている。そして彼はペットボトルのお茶を一口飲んだ後、席を立った。
「取り敢えずこの事に関して薔薇姫様に報告する。フライ。申し訳ないが、その不良の特徴を教えろ。…そしてクイラ。お前は証人として裁判に立ち会ってもらいたい。…いいか?」
有無を言わせないと言った様子の彼にクイラは渋々と頷く。しかし、相手の心の動きが分かるクイラは彼の心に疑問を浮かべた。それは彼の心にフライを憎むような、そして、妬むような感情を秘めていたから。納得の行かない2人ではあったものの、彼等はスネークに不良の特徴を教えた。
青年は薄暗い天井を見て、そして、自分が手錠を掛けられている事に気付く。何故こうなったのかを青年は思考を巡らせていた。
(そういえば…ゲーセンに行こうとして、そしたら誰かに何かを嗅がされて…。ーそんで何処だ?此処は?)
そして彼はゆっくりと立ち上がる。すると、今度はまばゆい光が差し込んだ。目を背ける彼に対し、凛とした声が会場内を響き渡らせる。
「これより!"茨"の裁判を行います!一同、礼!」
そして周りの聴衆が礼をする。そしてその動作が終わると彼女は言い放つ。
「今回の裁判も私、薔薇姫がさせて頂きます。…皆さんの平穏無事な生活の為、尽力を尽くさせて頂きます。」
そして彼女は恭しく礼をして会場を沸かせた。自身を"薔薇姫"と言った右側を仮面で隠した金髪で碧眼の少女のような姿。だが、異常なまでに小さく見えたのは、彼女が車椅子に座っているからだと青年は後で分かった。
そんな彼に薔薇姫は言い放つ。
「今回の騒動は"茨"の組織の1人である少年が、そこにいる青年に殴られた事について裁判に掛けようと思っています。…また、その発端であるラビットにも事情を聞こうと考えています。」
そして薔薇姫は呆然と佇んでいる青年に向けて問い掛ける。
「被告であるそこの青年!…貴方は何故此処に居るのですか?」
突然問われた彼にだって、何故自分がこんな所に居るのが分からない。だが、口が勝手に言葉を発していた。
「俺はっ!俺はラビットって奴が俺のダチを怪我させたから!その…、そいつに会おうとして…。そしたら、金で解決しようとしてたからムカついたんだ!」
彼の意見を聞いた裁判官である薔薇姫は彼の証人に尋ねる。
「今回の彼の証人である、クイラさん。その話は本当ですか?」
そして彼の離れた場所からスポットライトを浴びたクイラは溜息を吐いた。
「ええ。本当ですよ。…でも、フライ君は穏便に済まそうとしてお金の話にしたと言ってましたけれど。」
一応猫を被るクイラに青年は怒りのあまり被告人席の机を叩く。
「ふざんけんなよっ!女!金で解決出来りゃ誰だって恨みなんか持たねぇよ!俺はな!ラビットに会ってぶっ飛ばしてぇんだよ!」
すると薔薇姫は疲弊の溜息を吐いた後、彼に視線を向けた。
「それでは…、貴方が会いたがっているラビットに会ってもらいますか…。私達も話を聞きたいくらいですし…。」
そして彼女は奥の席に座っているラビットを呼び出し、法廷へと導かせた。ーだが、ラビットと呼ばれた青年は文字通りウサギの仮面を被って青年の前に現れたのだ。ふざけた真似をする彼に対し青年は吠える。
「ふざけんなっ!誰が仮面を被って来いって言った!?その面外して来いっ!」
その言葉にラビットは突然、会場に響くくらい嗤い出した。そして嗤い続けた後に息を吐くように言葉を紡ぐ。
「俺が勝手に決めたんだよ。…てめぇこそでしゃばんな。このデカブツ。ーあとな。てめぇに悪い知らせがある。」
そしてラビットは何かを思い出すように言い放つ。
「お前のダチって奴?あんま覚えてねぇけど、俺が歩いてる時に勝手にぶつかってきて、勝手に俺のせいにして俺から身包み剥がそうとしたんだよ。…だからムカついたからボコっただけだ。ー薔薇姫様?これで俺の正当防衛は承認出来ましたか?」
そして薔薇姫に視線を向けるラビットに青年は青筋を立てて言い放つ。
「そんな事ねぇっ!嘘だ!そんなの!お前のハッタリだ!」
そんな彼にラビットは嘲笑する。
「…そんなにお友達の無罪を晴らしたいならさ、俺が指定した防犯カメラ見てみろよ?ーそのお友達が俺に先にぶつかってきて喧嘩吹っかけてきた姿をな!」
そう言ってラビットは仮面を外した。
露わにされた長めの前髪をピンで留めて真っ赤な血のような瞳が青年を写している。そして、嘲るように嗤う彼に青年は目を見張った。
「お前っ!まさか…。」
すると木槌を叩く音が聞こえたと共に薔薇姫は判決を言った。
「判決を言い渡す。ー被告人は有罪。しかし、それは友の事を思っての行動…。ーよって、幻影(ファントム)の刑に処する。」
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