18 / 23
棘先の炎
閑話休題 レイトとレイラ
しおりを挟む
車のワゴンが孤児院に停まる。すると麗斗は笑みを浮かべてから車内へと入り込んだ。そして乗り込んだ後、彼は自分の主人に連絡する。
「申し訳ないです。今回はやられました…。…はい。でも、院長の帷は俺の手で下したので、あの薔薇姫の思い通りにはならないかと。ーあとは細工をしておいたので。…それでは。」
着信を切り窓を見つめる麗斗。彼は孤児院にとある仕掛けをしておいた。…それは時限式爆弾。あと10分もすれば孤児院諸共火の海であろう。
(それまでに麗良は逃げ切れるかって感じだけどね…。)
体格や身長は違うが自分と瓜二つの妹であるクイラ…いや、麗良の事を思いながら車の窓を覗く。すると、緑頭の青年が慌ただしく指揮を取る姿が見えた。恐らく爆弾に気が付いたのであろう。子供達を優先的に避難させている姿を自分が昔、麗良の事を思って庇っていた自分の姿と重なった。舌打ちをする麗斗ではあったものの運転席にいる部下に車を走らせるように命じた。
主人…いや、首領の所へいけば嫌味の一つや二つは言われるはずだ。そんな予感がして麗斗は溜息を吐く。ーだが、それだけでは無かった。
(あの場所で麗良には会いたくなかったな…。ー俺を地獄へ堕とした実の妹…。俺の両親と同じくらい許せないはずなのに…。それでも俺を救おうとしてくれている。…助けようとしている。)
冷酷な麗斗の心を動かしたのは先程の麗良の真剣な言葉であった。
『私は!…私は兄さんを諦めない!!!…絶対に元の優しい兄さんに戻させる!!!…だから、私にそんな冷たい殺意で見ないでよ…。』
泣きそうな表情を見せた麗良は、まるで自分が親のせいで売り飛ばされた時の顔と同じであったから。…本当は麗良が売られるはずであったのにもかかわらず。両親は女で端正な顔立ちをしている幼い麗良を組に売ろうとしてしていたのだから。…それを止めたのは自分自身であった。
(あれから5年…。俺と瓜二つの顔しているけどさ。ーやっぱり人形みたいな綺麗な顔立ちしてたな~。)
あんなに心も汚い父母から、どうやって自分達のような人形みたいな顔をして産まれさせたのかは知らない。…恐らくは実の父母では無い可能性の方が高いが、それでも自分達はあの父母の元で育った。…あの卑しい人間達に。後部座席の背中に身体を預け、麗斗はふと思う。自分と瓜二つの、鏡のように似ている麗良に。…だが自分の姿は真っ赤に染まった猟犬であった。だから麗斗は会いたくなかったのだ。己の汚く愚かな心を自分の妹に見せたくなかったのだから。深く息をしてから麗斗は考える。
(俺を突き落とした妹が俺を助けるね…。そんなの矛盾してるじゃん?…何考えてんの?あいつ。)
そして麗斗は乾いた笑いをしていると、サイレンを鳴らした消防車とパトカーがワゴンの隣を走り抜ける。その様子を見て麗斗は呟くのだ。
「俺に会いたかったら生きていろ。…そんで今度はお前を地獄に堕としてやるよ。」
実の妹に向けた狂愛に満ち足りた言葉を麗斗は紡いだ。
「申し訳ないです。今回はやられました…。…はい。でも、院長の帷は俺の手で下したので、あの薔薇姫の思い通りにはならないかと。ーあとは細工をしておいたので。…それでは。」
着信を切り窓を見つめる麗斗。彼は孤児院にとある仕掛けをしておいた。…それは時限式爆弾。あと10分もすれば孤児院諸共火の海であろう。
(それまでに麗良は逃げ切れるかって感じだけどね…。)
体格や身長は違うが自分と瓜二つの妹であるクイラ…いや、麗良の事を思いながら車の窓を覗く。すると、緑頭の青年が慌ただしく指揮を取る姿が見えた。恐らく爆弾に気が付いたのであろう。子供達を優先的に避難させている姿を自分が昔、麗良の事を思って庇っていた自分の姿と重なった。舌打ちをする麗斗ではあったものの運転席にいる部下に車を走らせるように命じた。
主人…いや、首領の所へいけば嫌味の一つや二つは言われるはずだ。そんな予感がして麗斗は溜息を吐く。ーだが、それだけでは無かった。
(あの場所で麗良には会いたくなかったな…。ー俺を地獄へ堕とした実の妹…。俺の両親と同じくらい許せないはずなのに…。それでも俺を救おうとしてくれている。…助けようとしている。)
冷酷な麗斗の心を動かしたのは先程の麗良の真剣な言葉であった。
『私は!…私は兄さんを諦めない!!!…絶対に元の優しい兄さんに戻させる!!!…だから、私にそんな冷たい殺意で見ないでよ…。』
泣きそうな表情を見せた麗良は、まるで自分が親のせいで売り飛ばされた時の顔と同じであったから。…本当は麗良が売られるはずであったのにもかかわらず。両親は女で端正な顔立ちをしている幼い麗良を組に売ろうとしてしていたのだから。…それを止めたのは自分自身であった。
(あれから5年…。俺と瓜二つの顔しているけどさ。ーやっぱり人形みたいな綺麗な顔立ちしてたな~。)
あんなに心も汚い父母から、どうやって自分達のような人形みたいな顔をして産まれさせたのかは知らない。…恐らくは実の父母では無い可能性の方が高いが、それでも自分達はあの父母の元で育った。…あの卑しい人間達に。後部座席の背中に身体を預け、麗斗はふと思う。自分と瓜二つの、鏡のように似ている麗良に。…だが自分の姿は真っ赤に染まった猟犬であった。だから麗斗は会いたくなかったのだ。己の汚く愚かな心を自分の妹に見せたくなかったのだから。深く息をしてから麗斗は考える。
(俺を突き落とした妹が俺を助けるね…。そんなの矛盾してるじゃん?…何考えてんの?あいつ。)
そして麗斗は乾いた笑いをしていると、サイレンを鳴らした消防車とパトカーがワゴンの隣を走り抜ける。その様子を見て麗斗は呟くのだ。
「俺に会いたかったら生きていろ。…そんで今度はお前を地獄に堕としてやるよ。」
実の妹に向けた狂愛に満ち足りた言葉を麗斗は紡いだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。
ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。
彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。
婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。
そして迎えた学園卒業パーティー。
ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。
ガッツポーズを決めるリリアンヌ。
そのままアレックスに飛び込むかと思いきや――
彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ワシの子を産んでくれんか
KOU/Vami
ライト文芸
妻に先立たれ、息子まで亡くした老人は、息子の妻である若い未亡人と二人きりで古い家に残された。
「まだ若い、アンタは出て行って生き直せ」――そう言い続けるのは、彼女の未来を守りたい善意であり、同時に、自分の寂しさが露見するのを恐れる防波堤でもあった。
しかし彼女は去らない。義父を一人にできないという情と、家に残る最後の温もりを手放せない心が、彼女の足を止めていた。
昼はいつも通り、義父と嫁として食卓を囲む。けれど夜になると、喪失の闇と孤独が、二人の境界を静かに溶かしていく。
ある夜を境に、彼女は“何事もない”顔で日々を回し始め、老人だけが遺影を直視できなくなる。
救いのような笑顔と、罪のような温もり。
二人はやがて、外の世界から少しずつ音を失い、互いだけを必要とする狭い家の中へ沈んでいく――。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる