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SAGE

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序章

pt4

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「いらっしゃいませー」
「・・・」
「ポイントカードお持ちですか」

セージ。俺とお前は同じグループのメンバーだよな。俺は信じているぞ。

一応説明しておくけど、偉そうな態度でふてぶてしくレジ打ちする大男(約181cm)は俺のメンバーでベースを担当しているセージだ。
その大きな体格に合わせて喋り方とかもゆっくりしてて落ち着いた感じのやつだ。
「いつの時代の大男設定だよ!」ってツッコミを入れてくる人もいるかもしれないが、安心しろ。
俺、もう慣れたから。

その山のフドぅーをすらっとさせたような男は、メンバーである俺が目の前にいることに気がつかない。
このまま俺が何も言わずにいると、マジでこのまま自然にレジを打ち終わって次の人の番になる気がする。
っていうか、絶対そうなるぞ、このテンポ感は!
マジでリズムが狂わないな。ここでメトロノーム練習が生かされてるのかもな。
いやいや。

しかし、ギタリストの俺としては向こうから気がついて欲しいと思っている。
だってそうだろ?
ギタリストが目立たなくてどうする!
いや、百歩譲ってサイドギターなら黒子のような存在でも許せる。
でも俺ってリードギターだと思うんだよね。
「リードギターって何?」って聞かれたら「ギターの目立ってる方」という説明が一番しっくりくるポジショニングだぞ!

目立たないギタリストって、俺からすればチャーシューを入れ忘れた醤油ラーメンぐらいそっけないぜ!
確かに、最近は黒子も目立つ時代だけど、それはバスケ的な話であってここでは流用できないはずだ。
しかも、結局あの黒子は主人公だから超目立つけどね。

・・・。

だめだ。

「いや、セージ。気付こうよ」
「お!アークじゃないか!全然気づかなかったわ。何してんの?」
「いや、別に用はないんだけど。さっきの人なに?」
「さっきの人?誰のこと?」
「いやさっき、男の人と出てきたじゃん」
「あ、あれかー。まぁ、色々あるんだよ。」

おっさんを「あれ」呼ばわりか!客じゃ無いのかよ!?
っていうかその色々の部分が超気になるんだけど!
なんでアンタはいつもそうやって無駄にはぐらかしてくるんだよ?

「それよりも、アークどうしたんだよその前髪。イメチェンかい?」
「はい?」
「いや。前髪だけ金髪にしてんじゃん。なんかアニメキャラみたいだな」
「え?金になってる?」
「あー、なってるね。って、え?自分でやったんでしょ?あ、いやまて、混んできた。すまん」
「あ、ごめん。じゃまた今度」
「おう、じゃねー」
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