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プロローグ 俺アレルギー!!

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 俺、雨宮優が生まれつき患っている『俺アレルギー』についての話をしよう。

 その病気の主な症状は『咳』『鼻水』『目が痒くなる』などなど……。人によって様々だが、まぁ、花粉症の俺バージョンって感じ。

ちなみに、学校へは通える。

普通の人はマスクさえしていれば大丈夫だからね。

 しかし、両親や親戚に関してはそうとも言えない。この『俺アレルギー』は、俺と過ごした時間に比例して症状が強くなってしまうのだ。

 だから俺は、母さんや父さんの顔を写真でしか見たことがない。そんな普通の人からすればおかしな現実も、俺にとっては日常の一部……。

しかし、俺は高校生。

甘酸っぱい青春くらいは、楽しむ権利があってもいいと思うんだ。

 幼馴染のアイツ、学園のアイドル、クラスメイトのあの子……。そんな子達と、俺は普通に恋愛がしたいんだ。

体育祭、文化祭、放課後デート……。

だけどね、

 今あげた子達と恋愛しようにも、仲良くなればなるほど症状が強くなってしまうというジレンマ。

正直言って無理ゲー。


──え?待って?

俺の幼馴染、普通にノーマスクじゃん! 

クラスメイトのあの子も!

そうか、分かったぞ。

俺アレルギーの症状が、全くでない人もいるんだ!

朗報

俺、恋愛できるってよ。

そう、これは雨宮優が、ごく普通の青春を送るための物語。
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