追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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「わ、わたしが冒険者に…ですか?」

 ルカの言葉を聞き少女は目を丸くした。

「はい。その方が今後何かと便利だと思うんです。冒険者になって腕輪をもらえば身分の証明になります。それに、お姉さんくらいの強さがあれば冒険者として十分やっていけるはずです」

 ルカの持ちかけた提案。それは、少女が冒険者となりギルドに所属するというものだった。

「でも、そのぅ…冒険者って誰にでもなれるものなんですか?」

「条件がない訳でもないですけど、現役冒険者の推薦があれば問題ありません。もちろん、お姉さんが望まないというのであれば無理にとは言いませんけど…」

「冒険者…わたしが、冒険者ですか…」

 そう言って少女は口元に手をあて、俯いた。

 ――嫌だろうか?

 ルカはそう思った。

 この世界において、冒険者という職業については好意的な感情を持っている者と反感を持っている者の両者が存在している。

 反感を持っている者達は、冒険者などは乱暴者の集まりで盗賊とさして変わりはしない――というのだ。

 その言葉、必ずしも間違ってはいない。そういった荒くれたちも冒険者の中には一定数存在している。無論、重大な犯罪行為は冒険者ギルドからの罰則対象となるが、些細なトラブルについてまではギルドも口を出さない。

 また、そういった荒くれ冒険者ばかりではないと分かっていたとしても…単純に、冒険者というのは非常に不安定な職業でもある。

 依頼をこなせなければ収入は入らないし、移動を繰り返す事が多いためひとつの町に落ち着いて留まる事ができない。

 そういった部分を嫌って冒険者をやめる者も多い。

 さらに言えば、魔物モンスターと対峙する事も多いため危険な職業でもある。

 少女がそれらの事情を完璧に把握しているとは思えないが、冒険者という存在の特異さはある程度察しはついているだろう。

 それ故に、冒険者になるのを嫌がっているのかと思ったのだが――、

「それって…サイコーじゃないですか!」

 少女は目を輝かせた。

「わたし、小学生の頃はRPGとか結構やってたんですよ!今はソシャゲがメインになっちゃいましたけど…でも、今でも仲間と一緒に冒険、そしてそこでのロマンス…ってのは、正直憧れてます!というかわたし、素手で戦う女子パーティメンバーとか…リメイクも出た某有名RPGの七作目に出てくるあの人気キャラっぽくないですか!?」

 と、興奮している様子だ。テンションが上がると早口になってしまうのがこの少女の癖らしい。

「そうですか…良かったです」

 正直、ルカには少女の言葉の意味が半分も分からない。だが、彼女から伝わってくる熱気は十分に感じとる事が出来た。そして、その熱気に好意を覚えた。何故ならば、ルカも冒険者という職業に対して強い熱意を持っているからだ。

「それじゃあ、ギルドに行って冒険者として登録する…という事でいいでしょうか」

「はい!」

 少女は頷く。

「じゃあ、これからはパーティメンバーとして…改めてよろしくお願いします、お姉さん」

「こちらこそ、よろし…」

 と言いかけ、少女はハッとなる。

「そ、そういえばわたし、まだ自分の名前…言ってなかったですよね、ごめんなさい!わたしの名前は来島くるしま安鶴沙あづさ。えーっと、この世界だとアヅサ・クルシマになるのかな…とにかく、アヅサと呼んでください!よろしくお願いします!」
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