追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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兄妹6

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「悪かったな、アレクシア」

 屋敷から出た後、レオンゼーレが申し訳なさそうに言った。

「まさかレオンフォルテフォルテの奴があんな事を考えてるとは思ってなくてな…屋敷には連れて来ない方が良かったな」

「叔父上の責任ではありません。兄上がバウムガルデン大臣との縁談を考えていたのであれば、いずれは私を探し出したでしょうから。むしろ、兄上をなだめていただき感謝しています」

 アレクシアは叔父に告げた後、ルカに視線を移す。

「ルカ君。君には不快な思いをさせてしまって申し訳なかったね。そして――私のためを思って兄上に発言してくれた事、心より感謝しているよ」

「いえ…結局、僕は何もできませんでしたから」

 そう答えるルカの声は沈んでいた。

「そんな事はないよ。君の言葉で私は救われた。私の事を想ってくれる仲間がいるというその事実が…私は、嬉しいんだ」

 アレクシアは笑顔を作る。しかし、それはすぐに曇った。

「私は公爵夫人となって王都で暮らす事になるだろうが…冒険者として君と過ごした日々の事は忘れないよ」

「公爵夫人って…縁談を受けるって事ですか!?」

「まだ決めた訳ではないけれど、そうせざるを得ないだろうね。拒んだ所で兄上は様々な手を使ってくるだろうし…それで君たちに迷惑をかける訳にもいかない」

「…」

 縁談なんて断ってしまえばいい――そう言いたいルカだったが、話がそう簡単ではない事は分かっている。

 何も出来ない自分が不甲斐なかった。せめてもう一度レオンフォルテに会って説得を試みたかったが、それは許可されないだろう。

「それじゃあ、俺はここで」

 そう言ってレオンゼーレが足を止めた。気が付けば、闘技場コロシアムの前まで戻って来ていた。

「俺はトーナメントの運営にも関わってるんでな。俺に相談したい事があったら、受付の人間に連絡してくれ。何も出来ないかもしれないが…ま、話くらいは聞けるからな」

「トーナメント…」

 そういえば…とルカは思い出す。

「レオンフォルテさんは、この闘技場コロシアムで開催されるトーナメントの来賓としてティネンに来てるんですよね?」

「ああ、そうだ。レオンフォルテフォルテはシュタインベルグ王族である上にアルトゥース流皆伝だからな。こういった催しの来賓としてはもってこいって訳だ」

「こういった催しでは、来賓の方が優勝者を称えるのが通例…でしたよね?」

「ん…まあ、そうだな。優勝すれば、レオンフォルテフォルテ直々にメダルの授与が行われて、その後レオンフォルテフォルテも同席する夕食会への参加も認められるはずだ」

 つまり、トーナメントで優勝すればもう一度レオンフォルテを説得する機会を得る事が出来るという訳だ。それでアレクシアの縁談が覆る可能性は低い。けれど…何もやらないよりはマシだ。

「僕をトーナメントにエントリーさせてもらえませんか?」
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