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特訓11
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特訓開始から八日目。今日もルカとアレクシアは空き地で向かい合っていた。まずはルカが攻めた。『斜斬り落とし』、『平薙ぎ』、『小手払い』。初伝剣技を組み合わせ果敢に攻める。だが、アレクシアは崩れない。経験も、技量も、リーチもアレクシアが上だ。こういった相手に対して正攻法から攻めても埒が空かない。
それ故に、攻撃の最中でルカはわざと隙を作った。何度目かの『斜斬り落とし』を繰り出す際、必要以上に大きく振りかぶってみせたのだ。この隙を突こうとアレクシアが仕掛けてくれば、逆にそこでカウンターを取る。それが狙いだ。
だが――アレクシアは誘いに乗って来ない。結局、ルカは『斜斬り落とし』を繰り出す事となる。アレクシアはひらりと身を躱し、その攻撃を避けた。そしてルカの剣に目掛け攻撃を仕掛ける。初伝剣技『絡み落とし』。これは、相手の剣に対して自らの剣を打ち込む。そして剣同士を絡みつかせるように手首を返し、敵の剣を弾き飛ばすという技だ。
「うっ…」
ルカの剣が宙を舞った。だが、
(まだ…!)
ルカは後ろ腰に差している副武装に手を伸ばす。木製の短剣だ。主装備を失った所で戦いは終わりではない。かつてジョゼフが槍を失いながらも剣で戦ったように、第二の刃で挑むのみ――。
◇
アレクシアとルカの実戦稽古。その結果は、今日もルカの敗北だった。何度か立ち会ったもののアレクシアに対して有効な攻撃を与える事はできなかった。
午前中の稽古終わりにアレクシアは言った。
「いい動きだったよ。特に、主装備を失いながらもすぐに副武装に切り替えた辺りは素晴らしかった。一流の使い手でも主装備を失えば咄嗟に対処できない場合が多いからね」
「昨日、武器屋さんで主装備の長剣と副武装の短剣を両方購入していたので…ちょうどその事が頭にあって、すぐに動けました」
昨日、ルカはアレクシアの勧めにより二本ほど剣を購入していた。両方とも雑剣だが、アレクシア曰く「雑剣の中ではトップクラスの出来だね。兵剣や将剣と打ち合っても刃こぼれする事はないはずだよ」との事だ。
「でも、副武装に持ち替えてもその後押されてしまいましたけど…」
ルカはそう言いながら、不甲斐なさにぐっと掌を握りしめる。
結局、短剣に持ち替えてもアレクシアに押し切られてしまった。主装備を使って実力で劣っているのなら、副武装に持ち替えてもその差が開くのは当たり前の事ではあるのだが――。
しかし、ルカはその『当たり前』を打ち砕く事ができないだろうかと考えを巡らせる。
(例えば、副武装に相手の意表を突く何かがあれば――)
短剣ではなく、相手の裏をかくような何か別の武器を使う事ができればそこから逆転の糸口が掴めるのではないか。
「剣とは完全に違う武器…槍、弓…いや、ダメだ。かさばるから副武装に向かないし、とっさに弓を構えている余裕はないから…」
「…カ君。――ルカ君」
自分の名前を呼ばれている事に気が付き、ルカはハッとなる。顔を上げれば、アレクシアと安鶴沙がこちらを覗き込んでいた。
「す、すみません…!えっと、何でしょうか」
「お昼ご飯にしましょう、って言ったんですよ」
と安鶴沙。
「…あんまり思いつめる必要はないんだよ。さあ、安鶴沙の作ってくれたお弁当を食べてリフレッシュしよう」
アレクシアのその言葉に、ルカは頷いた。
それ故に、攻撃の最中でルカはわざと隙を作った。何度目かの『斜斬り落とし』を繰り出す際、必要以上に大きく振りかぶってみせたのだ。この隙を突こうとアレクシアが仕掛けてくれば、逆にそこでカウンターを取る。それが狙いだ。
だが――アレクシアは誘いに乗って来ない。結局、ルカは『斜斬り落とし』を繰り出す事となる。アレクシアはひらりと身を躱し、その攻撃を避けた。そしてルカの剣に目掛け攻撃を仕掛ける。初伝剣技『絡み落とし』。これは、相手の剣に対して自らの剣を打ち込む。そして剣同士を絡みつかせるように手首を返し、敵の剣を弾き飛ばすという技だ。
「うっ…」
ルカの剣が宙を舞った。だが、
(まだ…!)
ルカは後ろ腰に差している副武装に手を伸ばす。木製の短剣だ。主装備を失った所で戦いは終わりではない。かつてジョゼフが槍を失いながらも剣で戦ったように、第二の刃で挑むのみ――。
◇
アレクシアとルカの実戦稽古。その結果は、今日もルカの敗北だった。何度か立ち会ったもののアレクシアに対して有効な攻撃を与える事はできなかった。
午前中の稽古終わりにアレクシアは言った。
「いい動きだったよ。特に、主装備を失いながらもすぐに副武装に切り替えた辺りは素晴らしかった。一流の使い手でも主装備を失えば咄嗟に対処できない場合が多いからね」
「昨日、武器屋さんで主装備の長剣と副武装の短剣を両方購入していたので…ちょうどその事が頭にあって、すぐに動けました」
昨日、ルカはアレクシアの勧めにより二本ほど剣を購入していた。両方とも雑剣だが、アレクシア曰く「雑剣の中ではトップクラスの出来だね。兵剣や将剣と打ち合っても刃こぼれする事はないはずだよ」との事だ。
「でも、副武装に持ち替えてもその後押されてしまいましたけど…」
ルカはそう言いながら、不甲斐なさにぐっと掌を握りしめる。
結局、短剣に持ち替えてもアレクシアに押し切られてしまった。主装備を使って実力で劣っているのなら、副武装に持ち替えてもその差が開くのは当たり前の事ではあるのだが――。
しかし、ルカはその『当たり前』を打ち砕く事ができないだろうかと考えを巡らせる。
(例えば、副武装に相手の意表を突く何かがあれば――)
短剣ではなく、相手の裏をかくような何か別の武器を使う事ができればそこから逆転の糸口が掴めるのではないか。
「剣とは完全に違う武器…槍、弓…いや、ダメだ。かさばるから副武装に向かないし、とっさに弓を構えている余裕はないから…」
「…カ君。――ルカ君」
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「す、すみません…!えっと、何でしょうか」
「お昼ご飯にしましょう、って言ったんですよ」
と安鶴沙。
「…あんまり思いつめる必要はないんだよ。さあ、安鶴沙の作ってくれたお弁当を食べてリフレッシュしよう」
アレクシアのその言葉に、ルカは頷いた。
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