追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

最終試験終了5

「おはよう」

「おはようございますっ」

　最終試験終了日の翌日。闘技場コロシアムでは、元気に挨拶を交わすアレクシアと安鶴沙の姿があった。その横で、

「おはよぉう…」

　という眠たげな挨拶をするレーム。さらに、

「…おはよう、ございます」

　と、ルカは少し緊張した面持ちで答える。昨夜の事がまだ脳裏から離れず、やや緊張している。明け方に変わった夢を見た事も、緊張している要因のひとつだった。そんな4人の心情など構わず、近付いてくる者があった。

「これで試験も…終わりね…」

　どこか寂しそうに言ったのは、叡意剣士ロストアルフェ・ツヴァイク。

「アレクシアさんや…ルカさんと…もっと話をしたかったわ…」

　はぁ、とため息をついた後、ロストアルフェはアレクシアに近寄った。

「アレクシアさん…いいえ、アレクシアちゃん。あなたともっと色々と話をしたいけど…私も忙しくて、そうもいかないの…」

「はい、ロストアルフェ殿。私あなたに色々とお聞きしたいと思っています。――いずれ機会があれば、ぜひ」

「ありがとう…。流石は…レオンハルトの孫ね…」

　と、ロストアルフェは当代最強と言われるレオンハルト・ツヴァイクを呼び捨てにした。エルフであるため若く見えるが、ロストアルフェはアレクシアの祖父、レオンハルトよりもかなり年上だ。

「それじゃあ…せめて…これを」

　ロストアルフェは小さな手帳のようなものをアレクシアに渡す。

「これは…？」

「私なりにアルトゥース流剣技の技術を纏めてみたものよ。良かったら…参考にしてみて」

「ロストアルフェ殿の…？これは、貴重なものを…ありがとうございます、参考にさせていただきます」