追放された少年は『スキル共有スキル』で仲間と共に最強冒険者を目指す

散士

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一難去って26

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 『狂信者』。その単語に、ヴェルナーはピクリと肩を動かし何かを言いかけ…口を閉じた。自らの組織のトップを狂信者呼ばわりされれば文句のひとつも言いたくなるのが普通だろう。しかし、ヴェルナーは言葉を飲み込んだのだ。

「まぁ、冒険者ギルドは冒険者ギルドで一枚岩じゃないからねぇ。上層部にも、色んな考えの人間がいる。例えばさぁ…『例え邪神が復活しても、それはそれで面白そうだ』なんて思ってる人間もねぇ」

「そ、そんな人が…?」

 レームの言葉にクラリスが目を丸くした。

「そうさぁ。今自分が話に出した『彼』は邪神を崇拝してる訳じゃぁない。つまり、邪神教徒って訳じゃぁないんだよ。でも、邪神が復活してもいいと公言してる…『面白いから』っていう、ただそれだけの理由でねぇ。冒険者ギルドの上層部にもさぁ、そんなぶっ飛んだ考えの持ち主がいるって事さぁ」

 絶句する一同。だが、その中でルカのみはレームの言っている言葉の意味が分かる気がした。冒険者の中には、そういう者が一定数存在している事を少年は知っていた。楽しければ、世界がどうなろうと…自分の命が失われようと構わない。危険に挑むからこその『冒険者』だ――そんな風に考えている者が。

 ルカもその気持ちが理解できないでもない。そういった想いは、ある意味で純粋なものだろう。だが、理解できても…認める訳にはいかない。この世界を滅ぼすような選択肢は。

「だから、結局話を戻すけどさぁ…冒険者ギルドと修道騎士団の上層部で共同戦線を張るってのは無理…って事になっちゃうよねぇ」

「――分かりました」

 ルカは頷いた。顔を上げたその瞳に諦めの色はない。

「冒険者ギルドと、修道騎士団で共同戦線を張るのが無理だというのなら…僕達で、共同戦線を張る事は出来ませんか?」
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