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一難去って32
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「え…レーム様達は、シュトライゼンで起こった事件の対応に向かわれているのではないのですか?」
支部長は、意外とでも言いたげに目を丸くする。しかしレーム側の立場に立ってみれば、それは当然だった。支部長の言う『大事件』が起きたのは僅か数日前。支部長ですら、その『大事件』について知ったのは今日の昼過ぎなのだ。王都から遠い場所にいたルカ達一行がその事件を耳にしていないのは当然だった。
「うぅん、自分達はそんな事件なんて知らないよぉ。――それで、シュトライゼンで何があったんだぁい?」
「はい、それは…」
支部長は一瞬、気遣わしげにアレクシアに視線を走らせた後、事件について語り始める。
「私共の耳に届いた情報によりますと…シュタインベルグ王家が近衛総長、レオンハルト・ツヴァイク殿が襲撃を受け…命を落とされたという事です」
「そんな…それは、何かの間違いでは…!?」
アレクシアが身を乗り出した。レオンハルト・ツヴァイクとは、言うまでもなくアレクシアの祖父。
「御祖父様が戦いに敗れ命を落とすなど…考えられない」
それは、アレクシアが身内贔屓で言っている訳ではない。レオンハルト・ツヴァイクはシュタインベルグ王国で最強の…いや、現代最強とさえ言われる剣士。それを倒せる者となれば、オイフェやエリュクスといった時代を超えた伝説級の者達だけだろう。だが、そういった者がそうそういるとは思えない。
「はい、私共も当代最強の剣士、レオンハルト殿が敗れたなどとはにわかには信じられません。ですから、これは誤報ではないのかと訝しんでいるのですが…しかし、誤報にしてはあまりに突飛な話でして」
支部長の言葉にも一理ある、とアレクシアも認めざるを得ない。レオンハルトの強さは多くの者が知る所。このような内容の誤報が広まるなど、考え辛い事だった。
支部長は、意外とでも言いたげに目を丸くする。しかしレーム側の立場に立ってみれば、それは当然だった。支部長の言う『大事件』が起きたのは僅か数日前。支部長ですら、その『大事件』について知ったのは今日の昼過ぎなのだ。王都から遠い場所にいたルカ達一行がその事件を耳にしていないのは当然だった。
「うぅん、自分達はそんな事件なんて知らないよぉ。――それで、シュトライゼンで何があったんだぁい?」
「はい、それは…」
支部長は一瞬、気遣わしげにアレクシアに視線を走らせた後、事件について語り始める。
「私共の耳に届いた情報によりますと…シュタインベルグ王家が近衛総長、レオンハルト・ツヴァイク殿が襲撃を受け…命を落とされたという事です」
「そんな…それは、何かの間違いでは…!?」
アレクシアが身を乗り出した。レオンハルト・ツヴァイクとは、言うまでもなくアレクシアの祖父。
「御祖父様が戦いに敗れ命を落とすなど…考えられない」
それは、アレクシアが身内贔屓で言っている訳ではない。レオンハルト・ツヴァイクはシュタインベルグ王国で最強の…いや、現代最強とさえ言われる剣士。それを倒せる者となれば、オイフェやエリュクスといった時代を超えた伝説級の者達だけだろう。だが、そういった者がそうそういるとは思えない。
「はい、私共も当代最強の剣士、レオンハルト殿が敗れたなどとはにわかには信じられません。ですから、これは誤報ではないのかと訝しんでいるのですが…しかし、誤報にしてはあまりに突飛な話でして」
支部長の言葉にも一理ある、とアレクシアも認めざるを得ない。レオンハルトの強さは多くの者が知る所。このような内容の誤報が広まるなど、考え辛い事だった。
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